EOS-1 / EOS-1HS(1989年発売) - EOS シリーズ最初のフラッグシップ機であり、多くのプロ・ハイアマチュアに愛用された。それまでの機種と比較してオートフォーカス性能が飛躍的に向上しており、EOS で初めて縦縞・横縞のどちらの被写体にもフォーカスできるクロスタイプオートフォーカスセンサー[2]を搭載したほか、暗所での測距性能やフォーカス速度も向上し、特に動体に対する性能は抜群であった。「水滴や汚れを拭き取りやすいことも性能の一部」とし、曲線を多用した独特なデザインは好みの分かれるところであったが、この後少しずつ形状を変えながらもデジタル一眼レフカメラに至るまで EOS-1 系という EOS のフラッグシップ系譜を形成している[3]。裏蓋のサブ電子ダイヤルが装備されたのもこの機種が最初である。姉妹機 EOS-1HS は、EOS-1 にパワードライブブースターE1を取り付けて最大秒間5.5コマの連写を実現したもの。通常の EOS-1 もパワードライブブースターE1を装着すると EOS-1HS として使えるように設計されている。
EOS RT(1989年発売) - EOS630QD をもとに開発され、オートフォーカス機のタイムラグを極力なくすべく生まれたペリクルミラー搭載モデル。一眼レフカメラはその機構上シャッターを切った瞬間にミラーアップし視野全体がブラックアウトしてしまうが、半透明のペリクルミラー(光の透過率は透過:反射が65:35)を採用することによりその問題を解決した。シャッタータイムラグは RT モードで0.008秒でありマニュアルフォーカス機を凌ぐほどであった。ペリクルミラーの採用は1972年のF-1高速モータードライブカメラ以来。なお「RT」はリアルタイム(Real Time )の略である。
EOS10QD(1990年発売) - EOS 初の多点[4]測距システム「マルチ BASIS」やスーパーインポーズ表示を採用、EOS630QD 以来の秒間5コマ高速連写機能とバーコード読み取りによる撮影モード設定機能「アートコードシステム」を備えたハイエンドモデル。新たにリモコン撮影や手ぶれ防止優先 AE モードが追加されたほか、全自動モードにおいてはワンショットオートフォーカスと AI サーボオートフォーカスを自動的に切り替えるAIフォーカスも初めて装備された。キヤノン35mm判カメラ販売累計6000万台達成を記念した限定シルバーモデルも発売された。
EOS1000QD(1990年発売) - EOS Kiss の原型となった、入門機に中級機クラスの機能を詰め込んだモデル。入門クラスの EOS で最初のフルマルチモード機である。後にパノラマ撮影に対応した EOS1000QD-P や、シャッター最高速度を1/2000にアップした EOS1000S QD などのリニューアル機種が多く作られた。軽量で多機能であり、一部のプロがサブカメラとして使うまでになったため、キヤノンは以後このクラスのカメラにより開発の力点を置くようになる。EOS1000QD 以降北米輸出分の EOS 入門機は「EOS REBEL」シリーズの名称で販売されるようになった。
EOS100QD(1991年発売) - 初めてサイレント機構を組み込んだモデルで、「静粛性」という新たな性能を世に示した。EOS-1 に続くサブ電子ダイヤル搭載機第2弾でもある。さらに内蔵スピードライトをオートズーム機能付としてより高度なシンクロ撮影を外部ストロボなしでも行えるように設計された。後にパノラマ撮影モード付の EOS100P も発売された。EOS100P には「QD」の文字はないが、日付写しこみ機能は装備されている。この機種から、北米では中級クラスの EOS は「EOS ELAN」シリーズとして販売されるようになった。
キヤノン EF-M(1991年発売) - 海外でオートフォーカス操作に慣れない人向けに販売されたマニュアルフォーカス一眼レフカメラで、EOS 用の EF マウントを持ちながらオートフォーカスができない珍機種である。
EOS Kiss(1993年10月発売) - 初心者にも使いやすく、小型軽量かつ低価格化を行ったモデルで、女性などこれまでカメラを使ったことのない層を中心に一眼レフカメラユーザーの拡大に成功し、以降 EOS の看板商品のひとつになった。この機種以後デートバックはプロユースモデル以外の EOS の標準仕様として装備され、「QD」の記号はつかなくなった。
EOS-1D X(2012年6月20日発売[7]) - スタジオ撮影向け(画素数優先タイプ)の「EOS–1Ds Mark III」と、報道・スポーツ向け(連写性能優先タイプ)の「EOS–1D Mark IV」の後継となる新たなプロフェッショナルモデル[8][9]。約1,810万画素の35mmフルサイズCMOSセンサー搭載。1D及び1Dsの後継で両方の機能を統合した機種。
EOS-1D X Mark II(2016年4月28日発売)[10] - EOS-1D Xの改良機。最大秒間14コマの高速連写が可能。
EOS-1D X Mark III(2020年2月14日発売) - EOS-1D X Mark II の改良機。有効画素数は約2,010万画素。ローパスフィルターは従来型の4点分離に代わり、新開発となる16点分離の『GDローパスフィルター』で偽色や色モアレを低減しつつ解像感を向上させている。画像処理エンジンはDIGIC X搭載で最高約16コマ/秒、ライブビュー時約20コマ/秒の連写が可能である。
EOS 5Ds / EOS 5Ds R(2015年6月18日発売) - 5,060万画素の35mmフルサイズ撮影素子を搭載したスタジオ、風景撮影向け高画素数モデル。2015年2月の製品発表時点で、中判デジタルカメラを除いたデジタル一眼レフカメラとしては最高の画素数を誇る。ローパスフィルターの機能をキャンセルした高解像度重視モデルのEOS 5Ds Rも存在する。
EOS 7D(2009年10月2日発売) - EOS 50Dの上位機となるハイアマチュア向けモデル。1,800万画素、APS-Cサイズの撮像素子を搭載。また、映像エンジン「DIGIC 4」を2個搭載し秒間8コマの連写が可能となっているほか、防塵防滴、視野率約100%[14]のファインダー、19点のクロスタイプオートフォーカスセンサー、63分割測光センサーを搭載するなど、上位機のEOS-1D系統並みの性能を持っている。
EOS D30(2000年発売) - 本格的な完全自社開発のデジタル一眼レフカメラ。独自に新開発したCMOSイメージセンサや高精度なデジタル信号処理LSI「映像エンジン」を搭載、なおかつ従来のデジタル一眼レフカメラのイメージを塗り替えるほどの小型・軽量化を実現し、また、この撮像素子内製への転換が、現在のキヤノンの優位性を決定づけることとなった。325万画素CMOSイメージセンサを搭載。
EOS 70D(2013年8月29日発売)- EOS 60Dの後継機。2,020万画素のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載。ライブビュー撮影時のAF方式として、全ての有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備える『デュアルピクセルCMOS AF』方式(キヤノン独自の像面位相差方式)をEOSで初めて採用したため、高速なオートフォーカスを実現している。また無線LANを搭載し、スマートフォンとの連携も可能となっている。
EOS 80D(2016年3月25日発売) - EOS 70Dの後継機。2,420万画素のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載。Wi-Fiに加え、NFCに対応。より気軽に接続しやすくなった。EOS2桁Dシリーズで初のファインダー視野率約100%を搭載。これによってファインダーと実際に記録される像とのずれがほぼなくなった。メインミラー、サブミラーの駆動方式がばね駆動方式からモーター直列駆動方式へ変更になった。これにより、ミラーショックが大幅に抑えられる。
EOS 90D(2020年9月20日発売) - EOS 80Dの後継機。3,250万画素のAPS-Cサイズの撮像素子を搭載。80Dから引き継いだファインダーやモーター駆動方式によるミラー機構はそのままに、DIGIC 8搭載によりEOS R、EOS Kiss M同様デジタルレンズオプティマイザが適用可能になったほか、連写10コマ/秒(公称値)まで向上し、4K動画対応を果たした。また、シングルスロットではあるものの、SDHC、SDXCのUHS-II規格に対応した。なお、グリップが大幅に80Dより深くなっている。
EOS Kissデジタル(2003年発売) - EOS Kissシリーズ初の機種。630万画素、APS-Cサイズの撮像素子を搭載、EOS 10Dの性能を受け継ぎつつも初心者にも使い易く、小型軽量化も達成。またこの機種からAPS-Cサイズデジタル一眼レフ用レンズ群「EF-Sレンズ」が登場した。かつてEOS Kissが一眼レフユーザーを拡大した時のようにこの機種によってデジタル一眼レフカメラでも小型軽量と低価格化の先鞭をつけ、一般ユーザーへのデジタル一眼レフの普及に貢献した。「キスデジ」と略称される。
EOS KissデジタルN(2005年3月17日発売)- EOS Kissデジタルを改良したパーソナルユースモデル。800万画素、APS-Cサイズの撮像素子を搭載。前機種よりも一層の軽量コンパクト化を実施、機能も強化した。またこの機種からKiss DigitalシリーズのCMに、ロックバンドのキッスに扮した4人の子供たちが、同バンドの代表曲である「ラヴィン・ユー・ベイビー」(I Was Made for Lovin' You )を歌うという内容のものを放送、話題となった(後継機のKiss デジタル XでもこのCMを継続した)。
EOS Kiss デジタル X(2006年9月8日発売)- EOS Kiss デジタル第3世代モデル。同クラスでは初めてとなる1,010万画素、APS-Cサイズの撮像素子を搭載し、さらにキヤノン製デジタル一眼レフでは初めてとなる撮像素子のほこり付着防止「EOSインテグレイテッドクリーニングシステム」も搭載した。機種名の「X」は、初代EOS Kissから数えて10機種目の機種にあたることから。
EOS Kiss X2(2008年3月21日発売)- EOS Kissデジタル第4世代モデルであるが、銀塩EOS Kissシリーズが生産中止となったため、本モデルより機種名より「デジタル」の表記が外された。1,220万画素。EOSデジタルシリーズでは初めて記録媒体がSDHC/SDメモリーカードのみとなる。
EOS M2(2013年12月20日発売) - EOS Mの後継機。従来通り、1,800万画素のAPS-Cサイズセンサーを搭載。EOS Mと比べて、幅3.7mm、高さ1.3mm、奥行き0.7mm小さくなり、24g軽くなっている。また、EOS Mと比較して対応エリアをそれぞれ80%に拡大して最大で約2.3倍高速化されたハイブリッドCMOS AF IIを搭載した。無線Wi-Fiを掲載し、専用アプリ「Camera Connect」を通じてスマートフォンなどに送ることが出来る。
EOS M3(2015年3月26日発売) - 外観は今までの直線的なフォルムから一新し、大型のグリップを備えた、よりカメラっぽい形状となった。AFは、ハイブリッドCMOS AF IIIを搭載し、AF速度はEOS M2比で約3.8倍となった。ダイヤル系が増え、より一眼レフユーザー好みになっている。2,420万画素のAPS-Cサイズセンサーを搭載し、映像エンジンは「DIGIC 6」。EVF(電子ビューファインダー)を付けることが出来るようになった。また、ストロボも折りたたみ式手動ポップアップ型が内蔵されている。
EOS M10(2015年10月29日発売) - EOS M3の下位機種的位置づけ。センサーはEOS M2と同じ1,800万画素APS-Cサイズセンサーだが、映像エンジンはEOS M3同様の「DIGIC 6」を搭載する。また、AFもEOS M2同様のハイブリッドCMOS AF IIになっており、アクセサリーシューも割愛されている。180度チルトするタッチ対応液晶モニターはEOS M3同様搭載する。ユーザーインターフェースは全メニューが縦スクロールで操作できるタイプに一新された。
EOS M5(2016年11月25日発売) - EOS M3の上位機種[22]。ミラーレスカメラで初めて「デュアルピクセルCMOS AF」を採用し、全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねて機能する。EOS Mシリーズで初めてEVFも標準搭載し、映像エンジンは「DIGIC 7」に更新された。また、ファインダー機能使用時に液晶のタッチパネルでAF位置を操作できる「タッチ&ドラッグAF」も搭載し、ピント合わせの直感性が増した。また、搭載しているBluetoothによって専用アプリ「Camera Connect」をインストールしているスマホをカメラのリモコンとして使用できるBluetoothリモートコントローラーに対応した。なお、本機ではUSB端子がこれまでのEOS MシリーズのMiniUSBからmicroUSBに変更された。
EOS M6(2017年4月20日発売) - EOS M3の後継かつM5の下位機種[23]。M5同様「デュアルピクセルCMOS AF」を採用し、AF・AE(自動露出制御)追従で最高約7.0コマ/秒、AF固定では最高約9.0コマ/秒の連写性能を実現した。映像エンジンはM5同様「DIGIC 7」を採用。M5と比べタッチ&ドラッグAFが省略、サブ電子ダイヤルが機能固定になっている。M3同様オプションのEVFに対応する。
EOS M100(2017年10月5日発売) - EOS M10の後継[24]。エントリー機で有りながら、センサーはEOS M6と同じ2420万画素で、全画素が撮像と位相差AFの両方の機能を兼ねる「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載。映像エンジンも「DIGIC 7」を搭載する。また、カメラの電源をOFFにしていてもペアリングした携帯端末からカメラ内の画像を確認することも可能になった。クリエイティブアシストには、新たにマゼンタ~グリーンの設定が追加された。ISO感度はオートモードで25600までの自動及び手動設定が可能になっている(M10は感度拡張時のみISO25600が設定可能だった)。
EOS Kiss M(2018年3月23日発売) - EOS M5の後継[25]で、EF-Mマウントでは初となるKissシリーズ[26]。映像エンジンは「DIGIC 8」になり、「デュアルピクセルCMOS AF」が通常でも99点の測距点に加え、対応レンズ装着時は拡張され最大143点の測距で素早いフォーカスが可能になった。明るさやコントラストを自然な印象に自動補正する「オートライティングオプティマイザ」の性能が向上し、液晶はEOS Mシリーズでは初めてバリアングル液晶モニターになった。
EOS M6 Mark II(2019年9月27日発売) - EOS M6の後継[27]。センサーと映像エンジンはそれぞれ約3250万画素のCMOSセンサーとDIGIC 8に強化され、キヤノンのレンズ交換式カメラで初搭載となる最高約14コマ/秒の「高速連続撮影+」と最高約30コマ/秒の「RAWバーストモード」を搭載。「瞳AF」は、サーボAF ⁄ 動画サーボAF時も設定可能になった。また、AF操作をレリーズ動作から切り離して操作できるAFスタートボタンとフォーカスモードスイッチを装備し、M6では省かれていた別売EVF装着時の「タッチ&ドラッグAF」とサブ電子ダイヤルも機能変更可能になっている。
EOS RP (2019年3月14日発売[32]) - EOS Rに次ぐフルサイズミラーレスカメラ。Rよりも小型化され、デュアルピクセルCMOS AFとRFレンズの駆動制御最適化により、最速0.05秒の高速AFを実現。瞳AFもサーボAFに対応し、中央測距点ではEV-5を達成した。5000台限定でゴールドモデルも販売される[33]。製品名のPはかつてキヤノンが発売していたポピュレール(P型)に由来する[34]。