コンラート・ファイト(Conrad Veidt、本名:Hans Walter Konrad Veidt、1893年1月22日 - 1943年4月3日)は、ドイツ出身の俳優。主な出演作は、『カリガリ博士』(1919)、『バグダッドの盗賊』(1940)、『 カサブランカ』(1942)。また、『笑う男』(1928)で演じたグウィンプレイン役が『バットマン』のジョーカーのモデルになった。[1]
略歴
若年期
1893年、彼はベルリンの労働者階級が住む地域で、Hans Walter Conrad Weidt として生まれた。(彼の初期の主張によって、ポツダム生まれと誤記された資料もある。) 彼は、1916年から亡くなるまで、100作以上の映画に出演した。彼のサイレント映画時代の最も有名な2つの作品は、残忍な夢遊病者を演じた『カリガリ博士』(1919)と、醜いサーカス芸人を演じた『笑う男』(1928)である。ロサンゼルス・タイムズは、次のように評した。「コンラート・ファイトはヴィクトル・ユーゴーの小説を基にしたセミ・サイレント映画で主役を演じた。領主の息子である彼は、彼の父親が王に無礼を働いたため、その顔に永遠の笑みを刻まれた」。
また、ファイトはマグヌス・ヒルシュフェルト脚本の、同性愛者の権利を描いた先駆的映画『他の人々とは異なって』(1919)に出演し、おそらく映画史上初の同性愛者の人物を演じた。ドイツ初のトーキー『六十八番の花嫁』(1929)にも主演した。
イギリス滞在期
ファイトはナチス政権に激しく反対し、それは1933年にユダヤ人女性 Illona Prager と結婚した一週間後にイギリスへ移住する動機になった。彼はイギリスに定住し、1938年には市民権を得た。
彼はイギリスでも映画出演を続けた。マイケル・パウエル監督の3つの作品、『スパイ』(1939)、『Contraband』(1940)、『バグダッドの盗賊』(1940)などがある。
晩年期
1940年代、彼はハリウッドへ移住し、ナチス党員とその兄弟の二役を演じた『Nazi Agent』(1942)などの数作に主演した。この時代、彼の最も有名な役は『カサブランカ』(1942)で演じたハインリッヒ・シュトラッサー少佐だった。
しかしその翌年、ロサンゼルスでゴルフをしていた時に心臓発作で倒れ、亡くなった。
私生活
結婚歴は3回。最初の妻である女優のガッシ―・ホール(en:Gussy Holl)は後にエミール・ヤニングス夫人となった。二番目の妻との間に娘が一人いる。
文化への影響
ファイトのスチール写真はジョーカーを閃くきっかけとなった。その製作者たち(ボブ・ケイン、ビル・フィンガー、ジェリー・ロビンソン)は、「実際は誰がジョーカーを思いついたのか」について長い論争を続けた。[2]
ファイトはイギリス映画『F.P.1』(1933)[3]の主題歌『Where the Lighthouse Shines Across the Bay』を歌った。この曲は当時は失敗に終わったが、1980年代のイギリスで、DJのw:Terry Woganが彼の番組でリクエスト曲として流したあとに、ヒット曲になった。その後は、リクエストのリピートが殺到した。
主な出演作品
公開年 |
邦題 原題 |
役名 |
備考
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1919 |
他の人々とは異なって Anders als die Andern |
Paul Körner |
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怪談五種 Unheimliche Geschichten |
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Nocturno der Liebe |
フレデリック・ショパン |
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1920 |
王城鬼バルサモ Der Graf von Cagliostro |
大臣 |
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サタン Satanas |
サタン 他 |
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カリガリ博士 Das Cabinet des Dr. Caligari |
チェザーレ |
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ジキル博士とハイド氏 Der Januskopf |
ウォレン博士/オコナー氏 |
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世界の黎明 Weltbrand |
クリスチャン・ヴァーンシャッフェ |
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1921 |
孟買の一夜 Das Geheimnis von Bombay |
トッシ |
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憐れみの心 Christian Wahnschaffe, 2. Teil - Die Flucht aus dem goldenen Kerker |
クリスチャン |
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恋のネルスン Lady Hamilton |
ネルソン卿 |
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1922 |
Lucrezia Borgia |
チェーザレ・ボルジア |
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1923 |
Paganini |
ニコロ・パガニーニ |
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ウイリアム・テル Wilhelm Tell |
ヘルマン・ゲスラー |
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Bride of Vengeance |
チェーザレ・ボルジア |
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1924 |
芸術家気質 Künstlerlaunen |
アルパッド |
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芸術と手術 Orlacs Hände |
ポール・オルラック |
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裏町の怪老窟 Das Wachsfigurenkabinett |
イワン雷帝 |
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ニュウ Nju - Eine unverstandene Frau |
彼 |
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1926 |
恋は盲目 Liebe macht blind |
ラマール |
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亡国病患者 Dürfen wir schweigen? |
ポール・ハーディング |
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プラーグの大学生 Der Student von Prag |
Balduin, ein Student |
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生ける仮面 Die Flucht in die Nacht |
ハインリヒ4世 |
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1927 |
我れ若し王者なりせば The Beloved Rogue |
ルイ11世 |
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ある男の過去 A Man's Past |
ポール・ラロシュ |
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最後の演技 The Last Performance |
エリック |
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1928 |
笑ふ男 The Man Who Laughs |
ギンプレーン |
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1929 |
六十八番目の花嫁 Das Land ohne Frauen |
ディック・アシュトン |
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1930 |
最後の中隊 Die letzte Kompagnie |
バーク |
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1931 |
旅愁 Der Mann, der den Mord beging |
セヴィニ卿 |
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會議は踊る Der Kongreß tanzt |
メッテルニヒ |
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1932 |
Rasputin, Dämon der Frauen |
ラスプーチン |
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黒騎士 Der schwarze Husar |
ハンスゲオルク |
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南欧横断列車510 Rome Express |
ザータ |
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1933 |
私と女王様 Ich und die Kaiserin |
Marquis de Pontignac |
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空襲と毒瓦斯 I Was a Spy |
Commandant Oberaertz |
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声なき凱歌 The Wandering Jew |
マタシァス |
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1934 |
ウイリアム・テル Wilhelm Tell |
ヘルマン・ゲスラー |
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武器なき戦ひ Jew Süss |
ジュス |
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1937 |
間諜 Dark Journey |
マルイッツ男爵 |
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1939 |
スパイ The Spy in Black |
ハルト艦長 |
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1940 |
バグダッドの盗賊 The Thief of Bagdad |
ジャファー |
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1941 |
女の顔 A Woman's Face |
トリステン・バーリング |
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嘆きの白薔薇 The Men in Her Life |
スタニスラフ |
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1942 |
カサブランカ Casablanca' |
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注記
外部リンク