シャーロック・ホームズの冒険『シャーロック・ホームズの冒険』(シャーロック・ホームズのぼうけん、The Adventures of Sherlock Holmes)は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編集。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、五つの短編集のうち最初に発行された作品である。1892年の発行で、イギリスの『ストランド・マガジン』1891年7月号から1892年6月号にかけて発表された12の短編を収録している[1]。 『ストランド・マガジン』連載時にはシドニー・パジェットが挿絵を担当した。 初版イギリスでの初版はジョージ・ニューンズ社から1892年10月14日に、アメリカでの初版はハーパー・アンド・ブラザーズ社から10月15日に出版された[2]。 イギリスで出版された単行本の初版は1万部で、大量に発行された『ストランド・マガジン』の合本版と競合していた。年内に8000部が売れていたが、ドイルは翌1893年1月に新聞各紙へ自腹を切って『シャーロック・ホームズの冒険』の広告を出している。初版は間もなく完売し、1893年と1894年に5000部ずつ増刷された[3]。 第一シリーズと第二シリーズ収録された12の短編は、第一シリーズの6編と第二シリーズの6編に分けることができ、見出しの相違ではっきり区別する事ができる[3]。 第一シリーズは1891年7月号から『Adventures of Sherlock Holmes』(シャーロック・ホームズの冒険)のタイトルで連載が始まり、題名は「Adventures of Sherlock Holmes. ADVENTURE I.―A SCANDAL IN BOHEMIA.」(冒険その一――ボヘミアの醜聞)、「Adventures of Sherlock Holmes. ADVENTURE II.―THE RED-HEADED LEAGUE.」(冒険その二――赤毛組合)のような形式であった[4][3]。 ドイル自身はホームズ物語の執筆は6編で終わりにしようと考えていたが、『ストランド・マガジン』での連載が好評だったため、編集部から続きを書くよう強く依頼された。はじめドイルはこれを拒絶していたが、原稿料の上昇などにより、執筆を継続することになる[3]。 第二シリーズは引き続き1892年1月号から連載された。短編の題は「The Adventure of」をつけたものへ変わり、「Adventures of Sherlock Holmes. VII.―THE ADVENTURE OF THE BLUE CARBUNCLE.」(その七――青い紅玉の冒険)、「Adventures of Sherlock Holmes. VIII.―THE ADVENTURE OF THE SPECKLED BAND.」(その八――まだらの紐の冒険)といった形式になった[4][3]。 単行本へ収録される際には、第一シリーズにも「The Adventure of」がつけられ、「The Adventures of A Scandal in Bohemia」(ボヘミアの醜聞の冒険)、「The Adventure of The Red-Headed League」(赤毛組合の冒険)などとなっている[3]。 グラナダ・テレビ版舞台や映画、テレビドラマの原作として世界中で有名になったが、中でも1980年代にグラナダテレビ制作、ジェレミー・ブレット主演でテレビドラマ化された『シャーロック・ホームズの冒険』シリーズは特に有名で、日本でもNHKが放送した(その際、ホームズ役の吹き替えは露口茂が担当)。最近ではスカパー!、ケーブルテレビなどでミステリチャンネルが放送している。 収録作品タイトルは『ストランド・マガジン』に掲載されたもの。日本語版では訳者により様々な訳題が使用されている。括弧内は掲載号。
脚注
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