スペースシャトル・オービター
スペースシャトル・オービター、スペースシャトル・オービタ(英語: Space Shuttle Orbiter、スペースシャトル軌道船)とは、スペースシャトルを構成するモジュールのうち、実際に宇宙と地上を往還する宇宙船本体部分である[1]。 概要スペースシャトル・オービターはロケットであり宇宙船であり飛行機でもある有翼の"スペースプレーン"である。このスペースプレーンは地球を周回する軌道へ乗員と貨物を輸送し、大気圏を滑空機のように飛行して帰還する。 胴体後尾に再使用可能な液体ロケットエンジンSSMEを3基搭載し、オービター外部に取りつける固体ロケットブースタの推力を合わせて、ロケットのように打ち上げられる。宇宙空間で活動を行った後、大気圏に再突入し、グライダーのように滑空して地上の滑走路に着陸する。完全なリフティングボディでなく、帰還時の滑空に翼による揚力を利用しているため、従来の宇宙船に比べると飛行機に近い形状をしており、垂直尾翼も設置されている。胴体前部にキャビンがあり、胴体中央部は貨物室となっている。機体腹面には大気圏再突入時の摩擦熱と断熱圧縮による高温に耐えるために耐熱タイルが貼り巡らされている。 大気圏内の長距離輸送はシャトル輸送機(SCA)と呼ばれる専用のボーイング747改造機に搭載される。この際、胴体尾部にはエンジン保護と空力改善のためのフェアリングが被せられる。 ちなみに、ロシア(ソ連)が開発したブランもオービターと呼ばれ、外見はアメリカのスペースシャトルと比べて多少鋭角的なこと以外ほとんど同じだが、中身はかなり違う。詳細はブラン (オービタ)を参照 全部でエンタープライズ、コロンビア、チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティス、エンデバーの6機あり、全機が南カリフォルニアを拠点とするロックウェル・インターナショナルで生産された。最初に飛行したエンタープライズは1977年にボーイング747旅客機を改造したシャトル輸送機に載せられて滑空、着陸試験に使用され、実際に宇宙飛行を行う他のスペースシャトルに役立てられた。 コロンビアは1981年に打ち上げられた宇宙飛行を行った初のスペースシャトルである。チャレンジャー、ディスカバリー、アトランティスの初飛行はそれぞれ1983年、1984年、1985年である。1986年にチャレンジャー号爆発事故によってチャレンジャーが失われたのでエンデバーが代替機として建造され1992年に初めて打ち上げられた。2003年にはコロンビアが大気圏再突入時にコロンビア号空中分解事故によって失われた。そのため、3機で運用されるようになった。アトランティスは2010年5月、ディスカバリーは11月、エンデバーは2011年1月に退役する予定だったがいずれも延長され、2011年7月8日のアトランティスの打ち上げが最後となった。 特異な操縦特性とやり直しのきかないアプローチに習熟するため、NASAではガルフストリーム IIを改造したシャトル訓練機での着陸訓練を行っていた。
諸元(エンデバー, OV-105の場合)
オービターの最大滑空比/揚抗比は速度によって変化する。極超音速では1:1、超音速では2:1、接近から着陸にかけての亜音速では4.5:1である[2]。 一覧運用開始順に記載する。
上記のほか、模型のパスファインダー (Pathfinder) もオービターとしてカウントされることがある。さらに試験用以外にも展示用として、いくつかの実物大のオービターが作られた。
脚注
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