セント・エルモス・ファイアー
『セント・エルモス・ファイアー』(原題: St. Elmo's Fire)は、ジョエル・シュマッカー監督の若者の成長を描いた1985年の映画作品である。エミリオ・エステベス、ロブ・ロウ、アンドリュー・マッカーシー、デミ・ムーア、ジャド・ネルソン、アリー・シーディ、メア・ウィニンガムといったブラット・パックの俳優が出演する著名な作品であり、大学卒業後の生活や大人としての責任との折り合いをつけようとするジョージタウン大学を卒業したばかりの友人グループの姿を描いている。2009年8月にABCは、このジョエル・シュマッカー作品をコメディ調のテレビドラマにする権利を獲得した[2]。 キャスト
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注1985年のもう一つの作品『ブレックファスト・クラブ』にもエステベス、ネルソン、シーディは出演している。『ブレックファスト・クラブ』では、この3人(各々22、25、22歳)がアンソニー・マイケル・ホールとモリー・リングウォルド(この映画の中では唯一のブラット・パック俳優に入っていない)と共に高校生を演じている一方で同じ年の『セント・エルモス・ファイアー』で彼らは大学卒業生を演じている。 映画の題名は映画のクライマックスでビリーがジュールズを慰める場面のセリフからの引用である。 「これはセントエルモの火だ。暗い空ならどこでも見ることのできる放電の光さ。船乗りは航海の間はずっとこの光に導かれて船を進めたということだけど、これはジョークさ。これは火じゃないし、セントエルモですらない。これは船乗りがでっち上げたものだよ。君がアレやコレやを吹いて回っているように困難な状況の時でも進み続けなくちゃならないからそんなことをでっち上げたんだ。僕らは皆これを乗り越えなきゃならない。今が正念場なんだよ。」 ビリーの説明は科学的には不正確であり、実際は:
この映画は1983年の映画『ビッグ・チル』(The Big Chill、邦題『再会の時』)に対して「リトル・チル」と呼ばれることもある。 サウンドトラック主題歌の"セント・エルモス・ファイアー(マン・イン・モーション)"(St. Elmo's Fire (Man in Motion))はカナダの作曲家デイヴィッド・フォスターの作品でジョン・パーが歌った。このヒット曲は、脊髄損傷の認知度を上げるために当時世界中を車椅子で回っていたカナダ人運動選手のリック・ハンセン(Rick Hansen)のために書かれた。ハンセンの旅は「マン・イン・モーション ツアー」と呼ばれていたが、詩は映画の中の登場人物たちが人生の新しくわくわくするようではあるが少し怖いようにも感じるような時期に差し掛かる姿に結びついている。光や火から類推されるのは、自らを如何なる存在なのかを模索する者が未知の中で探している道しるべや自身の中で燃え盛る新たな「火」としての役割である。この曲はジョン・パーのどのアルバムにも収録されていない。 映画の中で登場人物達がセント・エルモス・バー&レストランに入店するときに流れる"ギブ・ハー・ア・リトル・ドロップ・モア"(Give Her A Little Drop More)の歌はイギリスのジャズ・トランペッターのジョン・チルトン(John Chilton)が書いた。 "セント・エルモス・ファイアー(マン・イン・モーション)"は1985年9月に2週に渡りビルボード・ミュージック・チャートの第1位を獲得し、"セント・エルモス・ファイアー、愛のテーマ"(デイヴィッド・フォスター作のインストゥルメンタルの映画テーマ曲)は第15位までになった。エイミー・ホーランド(Amy Holland)とドニー・ゲラード(Donny Gerrard)の歌うフォー・ジャスト・ア・モーメント(For Just a Moment)という題名のもう1曲の"セント・エルモス・ファイアー、愛のテーマ"がサウンドトラック・アルバムの最後の曲として収録された。 撮影場所架空のセント・エルモス・バーがハリウッドの中に建てられた。セント・エルモス・バーは無名のジョージタウンにあるレストランのザ・トム(The Tombs、1226 36th St. NW)を基にしていたが、外観はサード・エディション(Third Edition、1218 Wisconsin Avenue)というジョージタウンにある別のバーを使用した。大学での場面はメリーランド大学カレッジパーク校で撮影された。 評価『セント・エルモス・ファイアー』はRotten Tomatoesで27中13位、48%の「ロッテン」・レートを獲得した[5]。 受賞と受賞候補ロブ・ロウはこの映画でゴールデンラズベリー賞の最低助演男優賞を受賞した。 主題歌の"セント・エルモス・ファイアー(マン・イン・モーション)"は1986年度アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされたが、曲がこの映画のために書かれたものではなかったため不適格とみなされて受賞を逃した。この曲は映画ができる以前に書かれ、映画の題名はこの曲に触発されてつけられた。そこでジョエル・シュマッカーは"セント・エルモス・ファイアー(マン・イン・モーション)"を映画の主題歌にした。 デイヴィッド・フォスターのインストゥルメンタル作品("セント・エルモス・ファイアー、愛のテーマ")も1986年度グラミー賞の最優秀ポップス・インストゥルメンタル賞(Best Pop Instrumental Performance)にノミネートされたがヤン・ハマーの"マイアミ・バイスのテーマ"(Miami Vice Theme)に敗れた。 テレビドラマ化『ハリウッド・リポーター』誌によると2009年8月14日にABCは、このジョエル・シュマッカー作品をコメディ調のテレビドラマにする権利を獲得した。『ザット'70sショー』出身のトファー・グレイス、ダン・ブカティンスキー(Dan Bucatinsky)やジェイミー・ターセス(Jamie Tarses)らの出演者と共にシュマッカーは既にプロデューサーに就任しており、ブカティンスキーが脚本を書いている。映画と同様にジョージタウン大学を卒業したばかりの友人グループの若者達が大人の世界と折り合いを付けていく姿を描いている。映画では7人の設定であったが、このTVドラマ版では少し捻って6人(男性3人、女性3人)に、映画の「セント・エルモス・バー & レストラン」は「セント・エルモス・バー & グリル」に変更が予定されている[6]。 1992年に日本で放映されたフジテレビのドラマ「愛という名のもとに」は、セント・エルモス・ファイヤーをモチーフにしていると言われている。 出典
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