ナースのお仕事
『ナースのお仕事』(ナースのおしごと)は、フジテレビ系列「火曜21時」枠の毎週火曜21:00 - 21:54(JST)に放送されたテレビドラマ。 シリーズ概要主人公のドジな新米ナース・朝倉いずみが、笑いあり・涙ありの経験を重ね、一人前の看護婦(現在の法的名称は看護師。本項では以下「看護師」と表記する)・一人の女性として成長していく姿を描く医療コメディドラマ。 いずみを演じた主演の観月ありさと指導役の先輩ナース・尾崎翔子を演じた松下由樹との「あ〜さ〜く〜ら〜!」「せ〜んぱ〜い!」の掛け合いが人気となり[1]、全シリーズを通して高視聴率を獲得。観月・松下の代表作となった。 大島冴子を演じた伊藤かずえの新境地となり、高杉健太郎を演じた藤木直人の名前を高めた作品でもある。 取り巻きナースを演じたふせえり、高田聖子、国分佐智子、患者役で出演した石井正則(アリtoキリギリス)といった、俳優以外の本業で活躍する芸能人の多くを準レギュラーとして配役しているのも特徴。 パート4終了から12年後になる2014年10月31日・11月1日の2夜連続で、新作となる「離島編」「再会編」が放送された[2][3]。 シリーズ
放送時間は全シリーズ通して火曜21:00 - 21:54である(ただし、スペシャルは金曜21:30 - 23:42(『金曜エンタテイメント』枠で放送)、離島編は金曜21:00 - 22:52(『赤と黒のゲキジョー』枠で放送)、再会編は土曜21:00 - 23:10(『土曜プレミアム』枠で放送))。シリーズ後半では番組宣伝のための特番も作られ、メイキングなどが紹介されている。 他の医療ドラマとの違い当作は看護師を主役としているコメディドラマであり、医者もののドラマで重視されるリアリティ路線よりもコメディ要素に重きが置かれている。本作以前の日本の医療ドラマでは医師を主人公としているケースが多く、看護師はドラマの色づけ程度の出演が多かった中で看護師を主役に位置付けた珍しい作品である。 また、本作は入院をしている患者が吐血するシーンが多く、各シリーズ第3話では必ず救急処置で大量の患者が搬送されるシーンがある。 若葉会総合病院このストーリーの舞台となる病院で、東京都美晴市[4] という架空の町にある(パート3では東京都港区中央2-1-10[5])。 総合病院としてかなりの規模を持ち、各科が揃っている。パート3からは総合看護部が新設されナース強化の体制が取られた。また、パート4の最終回には訪問看護科が新設されている(ただし、後のスペシャル版では訪問看護科は触れられていない)。外科にはナース内部派閥があり、主に翔子派(もしくは翔子・いずみ派)・大島派と分かれている。上原だけはどちらにも属していない中立派。 設定も医療法人系病院とし、大学病院につきものの出世争いは描いておらず、あくまでコミカルな争いである。 パート2では系列に第二病院が登場する。再会編では外科が第一外科・第二外科となっている。 舞台装置大道具・小道具に非常に凝っており、劇中に登場する医療機器は現実に使用されている機器を使用した。パート1が製作された1996年当時に現実の医療機器が舞台装置に使われるのは画期的であり、本作パート1を機としてその後に各局で製作される医療ドラマ(『救命病棟24時』など)でも現実の医療機器が使われるようになった。 2014年の新作「離島編」「再会編」でもその方針は健在であり、近年普及しつつある電子カルテの使用や、看護師たちがサンダルではなくシューズ履きとなっているなど、病院コメディというフィクションの形を保ちつつも医療現場の現実の姿を正確に描いている。 プロデュース当作のプロデュースはフジテレビ側ではなく、フリーランスのプロデューサーである大賀文子と、日活出身の両沢和幸の両名が全作を手がけている。大賀は出身のキティ・フィルム退社後、作品契約のフリーランスとして活動していたが、当作の大ヒットにより一躍人気の存在となった。後に大賀は自身の制作プロダクション「ダブルス」を設立しており、パート4からは制作協力としてクレジットされている。 タイトル名当初企画段階では「ナイチンガール」と案が出ていたが、視聴者などに分かりやすくするため、医療関係の資料に山ほど出てきた「ナースのお仕事は…」というフレーズから現在の「ナースのお仕事」のタイトルになった[6]。 その他
『ナースのお仕事』(パート1)朝倉いずみ1年目の就職直前から物語が始まる。舞台は若葉会総合病院。新人ナースの朝倉いずみは初日から遅刻、勤務中に私用の電話をしてコールを見逃して患者を急変させ、先輩指導係の尾崎翔子にビンタされるなど失敗の連続。しかしその持ち前の明るさで患者を励まし勇気づけるなど、次第に信頼を得る。翔子もいずみの接しぶりに共感し見守り、2人の間には信頼関係が芽生える。 翔子と沢田俊介、またはいずみを巡る三上博之と水島龍太郎の恋の行方もみどころである。パート1の頃はまだ世間では看護婦と呼ばれていた頃で、ドラマでもナースと呼ばず看護婦と呼ぶ場面が多い。パート3や4と比べるとそのことが露骨にわかる。 今作に登場するいずみと同期の新人ナースである中原真保は第5話まで登場してからナースを辞める形で姿を消すが、その中原を演じた小島聖はその後第12話にて受け付けに現れた女性患者の役で再び登場した。 後の第2シリーズや第3シリーズとは違い、今作に登場する大部屋の常連患者が死亡することは無かった。 ロケ地として、病院の外観および中庭などにはセントマーガレット病院が、病棟など建物内でスタジオ収録以外の部分には聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院が使われている。 『ナースのお仕事スペシャル』1997年4月4日放送。舞台は若葉会総合病院。いずみがナースになって1年後。このスペシャルで翔子と沢田が結婚する。また、パート1第5話で一度退職した中原真保が半年ぶりに復帰した。 『ナースのお仕事2』(パート2)舞台は若葉会第二病院になり、2年目(途中)となったいずみの異動から物語が始まる。外科婦長が根本雅子より厳しい山岡美智子に変わり、翔子のライバル・大島冴子も登場し翔子が外科主任となった。また、いずみの次の交際相手で2人目の研修医・牧原耕太郎も登場する。パート1で若葉会総合病院の外科病棟ナースだった福山夕子は退職して屋台居酒屋を開いている。第二病院では翔子と沢田の夫婦関係は当初、いずみと山岡以外秘密ということになっていた。 今作のみ吉行和子演じる根本が登場しない(転じて、根本に相当する役に野際陽子演じる山岡が登場する)。いずみ、翔子、沢田がパート1の「若葉会総合病院」の外科病棟から系列の「若葉会第二病院」の外科病棟へ異動したという設定。パート3以降はいずみ、翔子、沢田、大島が「若葉会総合病院」へ異動(大島以外は復帰。沢田のみパート3まで)して、同病院の外科病棟で働いている。なお、根本がパート3第1話で「最近、若葉会総合病院では予算削減のためいくつかの施設を統廃合致しました」とナースたちに話す場面がある。 今作では大部屋の常連患者の1人である市川太一が最終回にて死亡し、そのため大部屋の常連患者が死亡したのは今作が初めてである。 ロケ地は前作に引き続き、院内のシーンには聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(スタジオ収録以外)を使っている。外観は横浜労災病院。若葉会第二病院の最寄り駅は横浜市営地下鉄ブルーラインの中川駅という設定である。 当初はパート1からスペシャルと同じく若葉会総合病院を舞台にするという段取りになっていたが、毎回同じ病院が舞台だとつまらないということになり、そのため今作のみ若葉会第二病院が舞台となった[要出典]。 『ナースのお仕事3』(パート3)舞台は若葉会総合病院に戻る。実年代と同じく2000年4月に物語が始まっている。いずみが3年目から5年目(正確には4年目から6年目)を描いた物語である。 物語そのものは翔子・沢田夫婦の間に長女・まりあが誕生するところから始まり(この時点ではいずみが3年目)、ストーリーの本格展開は尾崎翔子が産休から復帰し、その時点で朝倉いずみが4年目(正確には5年目)となっており、さらに新人ナースの赤木まどかと研修医の高杉健太郎が初出勤する日から始まる。 パート1から登場し続けているいずみと翔子と沢田の3人が系列の第2病院から総合病院へ戻り、パート2から初登場の大島冴子もまた総合病院に異動になっている。 看護部長兼外科婦長として、パート1終了時点で同ポストだった根本が再登場する。ただし、パート1でレギュラーだった華子・中原・足立らその他のナースは本作からは登場していない。 第1話で根本の口から、いくつかの施設が統廃合されたことが明かされた。 いずみが初めて指導係を担当することになった。しかし、指導をする新人のまどかはわがままで自己中心的な性格でもあった。いずみをはじめナース一同は気が気でならない。本シリーズからいずみの新たな交際相手で3人目の研修医である高杉健太郎と健太郎の指導医である浜野雄一、そして新たな大島取り巻きトリオのナースである上原真弓と工藤幸子と松坂弘子が登場する。また、第14話 - 第16話には健太郎の大学時代の先輩でシリーズで唯一の女医である桂木京子が登場する。そしてさらに第18話から第19話にはいずみの元彼でパート1に出演していた水島が研修を終えた一人前のドクター&健太郎の恋のライバルとして再登場した。一方、パート2の研修医でいずみの恋人役だった牧原は一度も登場しなかった。ただし、第11話でのいずみと翔子が飲酒するシーンで翔子がいずみの過去の恋愛遍歴について語り、「牧原は地方の病院に行ったきりで、音信不通になって(いずみとの恋人関係が)自然消滅になった」と話すシーンがあり、牧原の存在については語られていた。 シリーズおよび火曜9時枠の連続ドラマとしては唯一の2クール作品。第7話では大島が全シリーズ通して唯一、黒メガネ姿から本来の伊藤かずえの姿にチェンジするシーンもあった。同棲し様々な危機を乗り越え、最終的にいずみと健太郎が結婚することになった(大島と浜野も結婚)。健太郎のアメリカ研修から戻ってくるシーンからは、いずみが5年目(正確には6年目)になる。 主要キャストである沢田役の長塚京三はこのシリーズが最後となり、以後沢田は映画版では娘のまりあとアメリカ旅行中、パート4以降では渡米(翔子と離婚)したという設定となっている。 企画の段階で江頭美智留が脚本から降板し、それまでプロデュースを務めていた両沢和幸が脚本・演出にも携わることとなったことによって、微妙に作風が変化した。エンディングに出演者がダンスするという演出が初めて使われたドラマである[7]。 今作に登場する大部屋の常連患者の一部は途中で入れ替わり、全話を通して登場したのは毛利正と斉藤善平の2名である(第17話のみ女性患者の病室が舞台であったため登場していないが、斉藤のみ名前だけ登場した)。 今作に登場する大部屋の常連患者の1人である毛利正が最終回にて死亡した。大部屋の常連患者が死亡したのは前作であるパート2に引き続き2回目となった。 ロケ地は、院内のシーン(スタジオ収録以外)と外観には都立豊島病院が使われている。 『ナースのお仕事ザ・ムービー』(映画版)根本が看護部長専任になっており、新婦長の矢口が着任している。大島が第2子を妊娠中で産休前であった。 劇中でかなりの期間が経過している。ラストで翔子が婦長に、産休から復帰した大島が主任に昇進している。 病院側スタッフの出演者から見ると、パート3の後日談であるが、このすぐ後に放映されたパート4にも尾崎婦長・大島主任の設定がそのまま引き継がれたり、一部の患者が引き続き入院しているところから、パート4の、そう離れていない時期の前日談にも相当している。処置室、ICUは救命病棟24時第二シリーズのセットが使われている。 『ナースのお仕事4』(パート4)朝倉いずみ7年目の途中から物語が始まる。 映画版の終盤で婦長に昇進した尾崎翔子が「新米婦長」と呼ばれ、また、映画版から引き続き登場している患者が複数いることから、映画版の後日談的な側面も強い。一方で、外科病棟ナースがいずみ、翔子、大島以外はすべて入れ替わる(工藤はパート3以来の復帰)という不自然さも生じており、ナースステーションに限っては映画版とはパラレルワールドのような状態になっていた。 翔子が外科婦長に就任するも沢田が渡米することになり、沢田から一緒に付いてくるように頼まれるが婦長に就任したばかりだったためにナースを辞めることができず離婚、新しい外科部長に永島淳平が登場した。また、大島が映画版終盤以来外科主任を務めている。 いずみは今回も指導係を担当するが、前回の赤木まどかとは180度異なり優秀な河合ひろみの指導に、別な意味で苦労する。しかし、一度辞めたひろみを連れ戻すなど少しずつ信頼関係が生まれてくる。また、翔子と永島の間にも恋が芽生えていく。 翔子と沢田の離婚については、第3話において翔子が永島と2人だけのシーンで初めて語られた(第1、2話では沢田の存在に触れられなかった)。なお、沢田はこのシリーズには登場しなかったが、最終回で尾崎に手紙を送るシーンがある。 最後にはいずみと健太郎は健太郎の母・美鈴の看病のため若葉会総合病院を去り、美鈴の故郷に診療所を開業する。 パート3から映画版で主要キャストだったまどか役の神田うのは同クールに放映されたテレビ朝日系ドラマ『サトラレ』に出演したため、今シリーズに出演しなかった(神田うのは当初は今シリーズにもまどか役で引き続き出演するという段取りになっていたが、同クールにテレビ朝日で放映された『サトラレ』への出演が決まったため出演できなくなり、そのため今シリーズにてまどかは既に転勤したという設定になった)[要出典]。 パート2やパート3とは違い、大部屋の常連患者が死亡することは無かった。 ロケ地は、スタジオ収録の院内シーンを除き東海大学医学部付属八王子病院が使われている。 劇中の年は明確にされていないが、第1話での婦長室のカレンダーが放送当時の2002年のものになっていた。このことからすると、2000年放映のパート3でいずみが4年目だったことと矛盾が生じている。一方で、患者の入院年月日の年の欄の記載が劇中では省略された。 『ナースのお仕事・離島編』 / 『ナースのお仕事・再会編』
パート1 - 3の放送当時の法的呼称は「看護婦」であり、パート4放送当時はすでに「看護師」と呼称が改められていたがあまり浸透していなかった。今作放送時は「看護師」の呼称もかなり浸透し、劇中内でもこれに合わせて看護師の呼称が使われた。従って、看護婦長の呼称も看護師長に変わっていた。また、ナースキャップも現在では使われなくなったため、これも同様に合わせて劇中では使われなかった。ただし、いずみのみ最初は高杉診療所から持参してきたナースキャップをかぶっていた。 中盤から永島が翔子に告白するまでが描かれており、クライマックスではプロポーズをし、成就する。 ロケ地として、国立成育医療研究センターが協力している。 登場人物→詳細はそれぞれの役名を、他の登場人物は「ナースのお仕事の登場人物」を参照
看護師(主要人物)
看護師(その他)
ドクター
研修医
スタッフ
受賞歴
放送日程パート1(1996年)→ゲストは「パート1(1996年)」を参照
スペシャル(1997年)→ゲストは「スペシャル(1997年)」を参照
パート2(1997年)→ゲストは「パート2(1997年)」を参照
パート3(2000年)→ゲストは「パート3(2000年)」を参照
パート4(2002年)→ゲストは「パート4(2002年)」を参照
プロ野球中継問題最終回スペシャルは2002年9月24日の21:00 - 23:08の放送予定だったが、この前の時間帯に放送されていたプロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)のセ・リーグ優勝決定試合「阪神×巨人」(阪神甲子園球場)の中継(関西テレビ制作)が2時間30分にもおよぶ大幅な延長のために、23:30 - 翌1:38の深夜にずれ込む異常事態になった。深夜放映ながらも14.9%の高視聴率を獲得するも、この処置によって14,000件もの苦情がフジテレビに殺到した。もともと巨人の優勝決定試合ということで世間の関心が高く、平均29.1%、瞬間最高42.9%の視聴率を記録したため、本局側は「延長しなかったら(プロ野球ファン・巨人ファンを含めて)もっと苦情が来る」と正当性を主張した(他局関係者からも、フジテレビのこの中継延長に賛同する声が上がった)が、結局低年齢の視聴者のことなどを踏まえ、本局では土曜日である9月28日の15:30 - 17:25(『土曜ワイド』枠)に最終回の再放送を行った(その他の系列局でも同時刻の再放送、もしくは後日再放送が行われた)。この再放送も13.6%の視聴率を獲得した(関東地区)。 離島編 / 再会編(2014年)
ナースのお仕事 ザ・ムービー
基本的にはパート3の後日談だが、スケジュールの都合でナースやドクターの一部が入れ替わっている。ロケ・収録地は、日活撮影所・自治医科大学付属さいたま医療センター(朝倉が窓から顔出しをするシーンなど)・杏林大学付属病院(建物外観)・銃で撃たれた朝倉と吐血して倒れた沖田総一郎が運ばれた処置室のシーン、美晴警察署が捜査本部として使用したICUのセットは『救命病棟24時(第2シリーズ)』の港北医大救命救急センターとして使われたセットと同じである。 キャスト→主要人物は「ナースのお仕事の登場人物」を参照
公開された2002年は日韓共催で行われたFIFAワールドカップの年ということもあり、患者の多くの名前は当時の日本代表サッカー選手から採られている。
スタッフ
DVD・VHS
CD以下の5作品が発売されている。
→「ナースのお仕事のサウンドトラック」を参照
書籍
関連作品
ロケ地となった病院
時系列と不整合
脚注
外部リンク |