フランスの100mm艦砲
Mle.53/64第二次世界大戦直後のフランス海軍は、アメリカ製のMk 12 5インチ砲と互換性のあるMle.48 5インチ連装砲と、スウェーデン製のMle.51 57ミリ連装砲を使用していた。しかし、これらの艦砲の多くは更新を必要としており、また、補給上も口径の統一が望ましかった。このことからフランス海軍は、単一の両用砲システムによってこの両者を同時に代替することを計画しはじめた。当初は、ドイツ海軍が備蓄していた弾薬を流用できることから105ミリ口径が検討されたものの、まもなく100ミリ口径に変更された。 この決定に基づいて1953年より開発が開始され、最初のモデルであるModèle 53が開発された。1958年よりル・コルス級フリゲートの1隻である「ル・ブレストワ」(F762)において、1961年よりコマンダン・リヴィエル級フリゲートの1隻である「ヴィクトル・シュルシェール」(F725)において実艦での運用試験が開始された。 Mle.53は、フランスが初めて開発した自動砲であったが、初弾については手動で装填する必要があった。初弾を発砲したのち、次弾以降は反動利用によって自動で装填され、60発/分の発射速度を発揮することができた。Mle.53はアナログ式の射撃指揮装置と連接されていたが、射撃指揮装置を改良するとともに発射速度を向上(78発/分)させたModèle 64も開発・配備された。
Mle.68Mle 53/64をもとに、完全自動砲として開発されたのがModèle 68である。Mle.68の給弾機構は35発の即応弾と甲板下の弾庫を有し、弾庫には弾薬手が配置されているが、砲塔内は無人となっている。ただし、必要に応じて2名の砲員による砲側射撃も可能である。当初はアナログ式の射撃指揮装置と連接されていたが、1970年より配備されたModèle 68-IIではデジタル化された。 また、Mle.68-IIは継続的な改良を受けており、CADAM(Cadence Améliorée:発射速度改善)改修においては発射速度を78発/分に向上させた。さらに、ラファイエット級フリゲートに搭載されたMle.100TRにおいては、信頼性を向上させるとともに、ステルス性に配慮した新設計の砲塔を採用している。
コンパクト砲1977年、クルーゾー・ロワール社は、新しく軽量の100ミリ砲の開発に着手した。これは、90発/分の発射速度を有する一方で、砲塔全重量は17トンに抑えられていた。試作砲は1981年に試験に入り、量産型はコンパクト砲として1983年より生産に入った。 本砲は優れた性能を有するものの、フランス海軍はMle.68シリーズの性能に満足していることから、最終的に採用されなかった。 輸出市場においても、既に優れた中口径砲であるイタリア製の76mm砲および127mm砲、アメリカ製のMk 45 5インチ砲に席巻されていたことから成約は伸び悩んでいたものの、マレーシアやサウジアラビアにおいて採用された。また、1980年代後半より中国海軍が採用しはじめており、713研究所による山寨版である87式55口径100mm単装砲(H/PJ-87)は、1990年代後半以降に建造された全ての駆逐艦に搭載されている。 搭載艦艇
脚注注釈出典参考文献
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