マグノリア (映画)
『マグノリア』(Magnolia)は、1999年製作のアメリカ映画である。監督・脚本はポール・トーマス・アンダーソン。 概要ロサンゼルスを舞台に、一見関係のない男女9人の24時間を描く群像劇。3時間近い長編。第72回アカデミー賞3部門にノミネート。ベルリン映画祭 金熊賞(グランプリ)受賞。 またエンディングで使用されたエイミー・マンの「セイヴ・ミー」は、グラミー賞2部門、アカデミー歌曲賞にノミネート。同曲を含む映画のサントラは、最優秀コンピレーション・サントラ・アルバム部門にノミネートされた。 監督のポール・トーマス・アンダーソンは、「(この映画は)エイミー・マンの歌にインスパイアされて作った」、「小説を映画化するのと同じコンセプトで彼女の音楽を映画化してみたかった」と語っている。[2] あらすじ『What Do Kids Know?』ジミー・ゲイターは、長寿クイズ番組『What Do Kids Know?』の司会者。末期癌で余命数ヶ月の宣告を受けている。病気の事実を伝えようと、疎遠になっていた娘のクラウディアの家を訪れるが、追い返されてしまう。 スタンリー・スペクターは、番組に出演する天才クイズ少年。父親は、番組の連勝記録と賞金目当てに熱心で、その日も息子をスタジオまで車で送り届ける。スタンリーは本番前にトイレに行かせてもらえず、番組の収録中に漏らしてしまう。司会のジミーも放送中に倒れ、番組は中断。スタンリーは「僕は人形じゃない」と訴え、スタジオから出て行ってしまい、番組は放送中止になってしまう。 ジミーは家に戻ると、妻のローズに、なぜクローディアが彼と話したがらないのか問われる。ジミーは、クローディアが彼が彼女を性的虐待したと信じていることを打ち明ける。動揺したローズは、彼を罵倒し、その場を出て行ってしまう。悲しみに暮れたジミーはピストル自殺を図る。そこへ空からカエルが降って来て、天窓を破ってジミーの手元に落下したため、自殺は未遂に終わる。 その頃ローズは、クローディアのアパートを訪れ、カエルの雨に襲われる中、娘を助け出す。 ジムとクラウディアの出会いロサンゼルス警察のジム・カーリングは、通報を受け駆け付けた現場で、クローゼットから遺体を発見する。近所にいた少年は、“ワーム”という男が犯人であることを示唆する。その後、新たな通報を受け、クローディアのアパートを訪れる。彼女は、父親のジミーを追い返した後、コカインを吸いながら大音量で音楽を流していた。ジムはそこで彼女に一目惚れしてしまい、デートに誘う。 クローディアの家を出たのち、ジムはワームの追跡中に銃を紛失してしまう。 その夜、レストランでクローディアと落ち合った彼は、銃を無くしたことや、3年前に離婚して以来デートしていないことなど、自分の不甲斐無さを正直に告白する。クローディアは自分の過去にも問題があり、きっと嫌いになるだろうと伝え、その場を出て行ってしまう。 帰り道、ドニー・スミスが電気店に侵入するところを目撃した矢先、空からカエルの雨が降って来る。怪我をしたドニーを助けた後、ジムは再びクローディアの部屋を訪れ、愛の告白をする。 ドニー・スミスの恋ドニー・スミスは、かつて『What Do Kids Know?』のチャンピオンである天才クイズ少年だった。しかし雷に撃たれてからその頭脳を失い、稼いだ賞金は両親が使い果たし、今では、小さな電気店の店員であった。彼は同性愛者であり、とあるバーの店員に恋をしていた。彼の気を引こうと、彼と同じように歯列矯正を受けようと計画していたが、電気店を突然解雇されてしまう。その後、バーで泥酔し、バーテンダーに愛の告白をした後、ドニーは電気店から手術の費用を盗み出そうと決意する。 その夜、ドニーは電気店に侵入し、金庫から金を盗み出すが、逃げる途中で罪の意識に苛まれる。引き返そうと電柱をよじ登っていたところへ、空から降って来たカエルに打たれ、電柱から落ちてしまう。前歯を折る怪我をしたドニーは、偶然鉢合わせた警察官ジムに助けられ、彼に付き添われながら、盗んだ金を金庫に戻す。 アールとフランクの再会『What Do Kids Know?』の元プロデューサーであるアール・パートリッジは、末期癌で病床に伏せている。自宅では在宅看護師のフィル・パルマが世話をしていた。アールには、若い頃に別れた女性との間に息子がいたが、彼は家族を捨て、息子とも何年も会っていなかった。アールは死ぬ前に息子と会いたいとフィルに頼む。息子は、カリスマ的なピックアップ・アーティストとして有名なフランク・T・J・マッキーであり、彼が主催するセミナー『Seduce and Destroy』の真っ最中だった。セミナーの合間に、記者からインタビューを受けるが、その記者はアールとの関係やフランクの出生の秘密を知っており、その真偽を追求する。 一方、アールの妻リンダは、弁護士にアールの遺言状を書き変えるよう頼んでいた。彼女はアールの財産目当てで結婚したが、今では彼を本当に愛していて、遺産相続の放棄を望んでいた。アールの死期が迫り、自責の念に駆られた彼女は、車の中で服毒自殺を図る。 フィルは、フランクのマネージャーにようやく連絡を取り付け、アールの危篤を知らせる。フランクはアールの元を訪れると、自分を捨てた父親を罵る。 そのとき空からカエルの雨が降り、大きな物音に目を覚ましたアールは、フランクに謝罪し、しばらくして息を引き取る。 キャスト9人の主人公
その他
スタッフ
制作背景・トリビア
サウンドトラック
評価レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは149件のレビューで支持率は83%、平均点は7.50/10となった[5]。Metacriticでは34件のレビューを基に加重平均値が77/100となった[6]。 スウェーデン映画の巨匠であるイングマール・ベルイマンは、インタビューにて本作を"アメリカ映画の強さ"の例として挙げ、高く評価している。 受賞・ノミネート
脚注
参考文献
関連項目外部リンク |