ロミオとジュリエット (2001年のミュージカル)『ロミオとジュリエット』(フランス語:Roméo et Juliette: de la Haine à l'Amour)は、シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を基にしたフランス発のロック・ミュージカルである。作詞・作曲はジェラール・プレスギュルヴィック、初演は2001年1月19日、パリのパレ・デ・コングレ劇場。 概要初演時のサブタイトルは "de la Haine à l'Amour"(憎しみから愛へ)。フランス語ミュージカルとしては、『ノートルダム・ド・パリ』と並ぶ人気作品である。 原作との違いは、登場人物のほとんどが主人公2人の秘密婚儀を知っていることである。また言語や上演地によって、歌や筋立て、特に主人公2人の死に方に違いがある。 これまでにモントリオール、ロンドン(英語)、アムステルダム、ブダペスト(ハンガリー語)、モスクワ(ロシア語)、ウィーン(ドイツ語)、メキシコ(スペイン語)などで上演された。アジアでは2007年、フランス語によりソウル、釜山、台北などで巡回上演された。 2010年2月から4月に、パリのパレ・デ・コングレ劇場で "Les enfants de Vérone" (ヴェローナの子供たち)というサブタイトルで再演された。ロミオ役は初演及びアジアツアーで同役を演じたダミアン・サルグ、ジュリエットはアジアツアーのジョイ・エステル。 日本での初演は、宝塚歌劇団星組によって、2010年7月に梅田芸術劇場、8月に博多座で上演された。以降の再演については後述する。 登場人物
あらすじ劇的効果を得るために、死(フランス、ベルギー、日本、オランダ、モスクワ作品のみ)や詩人(フランス作品のみ)などの原作には登場しない登場人物が登場する。さらに、キャピュレット夫人の出番は大幅に増え、ハンガリー版では使用人と浮気をしている。ティボルトの役柄はわずかに変わった。憎悪、そしてジュリエットへの報われない想いを抱きながら暗い幼年時代を過ごしたという設定が加わり、原作での単に敵意に満ちたものから、より哀れなものになっている。 第一幕ヴェローナの町の二つの名家、モンタギュー家とキャピュレット家の間の長年に渡る確執は、頻繁に街路での暴動を引き起こす。腹を立て、ヴェローナの大公は違反したら死刑に処すという条件で市内での闘争を絶対的に禁止する法令を発する("Vérone")。キャピュレット夫人とモンタギュー夫人が両一族の暴行を公然と非難する間("La haine")、ロミオ(モンタギュー家の唯一の後継者)とジュリエット(キャピュレット家の娘)はどうしようもないほどに愛を探し求めている("Un jour")。 キャピュレット家では、ジュリエットがパリス伯爵と出会うことができるように舞踏会が開催されている。そして、パリス伯爵はキャピュレットにジュリエットとの婚約を申し込んでいた("La demande en mariage", "Tu dois te marier")。ヴェローナでは、ロミオと彼の友人であるベンヴォーリオとマキューシオが道をぶらついている("Les rois du monde", "La folie")。ロミオはなんともいえぬ恐れを感じていた("J'ai peur")。ロミオに気晴らしをさせることを望み、ベンヴォ―リオとマキューシオはロミオを説得し変装させて、キャピュレット家で開かれている舞踏会へ同行させる("Le bal")。キャピュレットの娘であるジュリエットを見た瞬間、ロミオはその相手を誰だかわからないままジュリエットに心を奪われる("L'amour heureux")。ティボルトはロミオに気づき、ジュリエットの両親に知らせる。ロミオとジュリエットは乳母から互いが誰であるかを聞く("Le bal 2")。ティボルトは失恋し(密かにジュリエットを愛していた)、自分が憎悪と侮辱の息子であると歌う("C'est pas ma faute")。 舞踏会の後、ジュリエットは自室に逃げ込み、ロミオのことを夢想する。そしてロミオは自身を大きな危険に晒してキャピュレット家の庭でジュリエットに求婚する。二人は愛の誓いを交わし、結婚できるようできるだけ早く密かに計画をたてる("Le balcon")。家族が決して二人の結婚に賛成しないとわかっていたため、ロミオはローレンス修道士に会い、二人の結婚式を執り行うように頼む。ローレンス修道士は、この結婚により両家が和解するであろうと望んで快く受け入れる("Par amour")。 朝、ロミオは友達に会い、乳母に会ったがみんなにからかわれる("Les beaux, les laids")。ロミオは、ローレンス修道士が次の午後にロミオとジュリエットの結婚式を執り行うということを乳母に伝える。ジュリエットを自らの娘のように深く愛している乳母は、ジュリエットにその朗報を伝える("Et voilà qu'elle aime")。ついにロミオとジュリエットは結婚する("Aimer")。 第二幕次の日、ベンヴォーリオとマキューシオはロミオに会う。そして彼らはロミオを裏切り者だと非難する("On dit dans la rue")。ヴェローナの街頭では、ロミオとの新しい血の繋がりに気づいていないティボルトはロミオを探しており("C'est le jour")、ロミオを見つけて戦いを挑む。そしてロミオはそれを拒む("Le duel")。マキューシオはその挑戦を受け、致命傷を負う。 罪悪感、復讐心、青年特有の短気に取りつかれ、ロミオはティボルトを殺す("Mort de Mercutio")。両家は喪に服し、大公に報復を要求する("La vengeance")。最終的に大公はロミオをヴェローナから追放することにし、政治権力について思いを巡らせる("Le pouvoir")。寝室で、ジュリエットは乳母から悲報を聞く。ジュリエットは従兄弟への愛と夫への愛との間で悩まされる。ロミオはローレンス修道士のもとへ行く。ロミオは追放は死よりもひどいものであると考えている("Duo du désespoir")。 ロミオとジュリエットは結婚初夜を二人で過ごし、 ロミオはマントバへ逃亡する("Le chant de l'alouette")。ジュリエットの夫が去ったすぐ後、ジュリエットはパリス伯爵と結婚する予定だと両親から告げられる。ジュリエットが拒否すると両親はジュリエットと縁を切ると脅す("Demain")。取り乱して、キャピュレットは自分の娘に対する愛を歌う("Avoir une fille")。自室でジュリエットは、なぜ自分が従わなければならないのか問う("Pourquoi")。マントバでは、ロミオはジュリエットのことを考えている。絶望の中でジュリエットはローレンス修道士を頼りにする。そして、ローレンス修道士は巧妙な計画を考案する。ローレンス修道士は、その計画がついに恋人たちと彼らの一族の両方に幸せな結末をもたらすことを望んでいる("Sans elle")。 ジュリエットは結婚の計画に従っていると思われたが、結婚の前夜、ローレンス修道士によって用意された彼女を仮死状態にする薬を服用する("Le poison")。ジュリエットは目が覚めて自分を待つロミオを見つけることを期待しながら、キャピュレット家の地下納体所に安置される。不運なことに、修道士が書いたロミオへ計画を伝える便りがどういうわけか紛失し、その代わりにロミオはベンヴォーリオから妻であるジュリエットが死んだことのみを聞く("Comment lui dire")。 悲嘆に暮れ、ロミオはキャピュレット家の地下納体所に押し入り、最愛の人の遺体だと信じているものを見つける。そして、死んでジュリエットに再会するために服毒する("Mort de Roméo")。そのすぐ後、ジュリエットは目を覚まし自分の夫が死んでいることに気づき、ロミオの短剣で自分自身を突き刺す("La mort de Juliette")。ローレンス修道士は地下納体所に入り、二人の恋人たちの死に気づく。ローレンス修道士は神に愚痴をこぼす("J'sais plus")。一部始終が話されているとき、打ちひしがれた両家は今後は平和に暮らすことに同意する("Coupables")。 初演時の配役
楽曲
日本での上演宝塚歌劇団→「ロミオとジュリエット (2010年の宝塚歌劇)」を参照
ロミオ&ジュリエット
脚注注釈出典
外部リンク |