佐藤・テイト予想(Sato–Tate conjecture)とは、楕円曲線 E と素数 p に対して定まるある実数 θp の分布に関する予想である。もう少し正確には、有理数体上定義された楕円曲線 E を一つ固定したとき、各素数 p での還元 Ep は有限体 Fp 上の楕円曲線となるが、その楕円曲線 Ep の点の数が p を動かしたときある決まった分布になるというものである。
予想の記述
E を有理数体上定義された楕円曲線とする。これは整数に係数をもつ多項式によりあらわす事ができ、この多項式を素数 p を法として考えることによりほとんど全ての p について有限体 Fp 上の楕円曲線 Ep を定めることができる(ここで例外となるのは Ep が特異点をもつ場合だが、そのような素数 p は有限個しかない)。Np で Ep の有限体上に定義された点の数を表わすとすると、楕円曲線のハッセの定理により、
さらに精密な予想として、1976年のサージ・ラング(Serge Lang)とハイル・トロッター(ドイツ語版)(Hale Trotter)によるラング・トロッター予想(Lang–Trotter conjecture)は、公式の中に現れるフロベニウス元のトレースである値 ap が、素数 p に対し決まると、漸近的な数が存在すると言う予想である。[14] 典型的な例(虚数乗法を持たず、かつ trace ≠ 0)では、X についての p に対する数値は、ある特別の定数 c が存在して、漸近的に
^テイト(J. Tate)は、 Algebraic cycles and poles of zeta functions in the volume (O. F. G. Schilling, editor), Arithmetical Algebraic Geometry, pages 93–110 (1965) の中で述べている。
^その条件とは、E が悪い還元(英語版)(bad reduction)を持つようなある p に対して(少なくも、有理数の楕円曲線に対しては、そのような p が存在する)、ネロンモデルの特異ファイバーが乗法的であるという。実際、このような条件をみたす楕円曲線が典型的であるので、これは比較的緩やかな条件であると考えることができる。古典的にいいかえると条件はj-不変量が整でないということである。
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