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公民権停止事件

最高裁判所判例
事件名 公職選挙法違反
事件番号 昭和29(あ)439
1955年(昭和30年)2月9日
判例集 刑集第9巻2号217頁
裁判要旨
公職選挙法第二五二条は憲法第一四条、第四四条に違反せず、かつ国民の参政権を不当に奪うものではない。
大法廷
裁判長 田中耕太郎
陪席裁判官 井上登栗山茂真野毅小谷勝重島保斎藤悠輔藤田八郎岩松三郎河村又介谷村唯一郎小林俊三本村善太郎入江俊郎
意見
多数意見 田中耕太郎、栗山茂、小谷勝重、島保、藤田八郎、河村又介、谷村唯一郎、小林俊三、本村善太郎
意見 井上登、真野毅、斎藤悠輔、岩松三郎、入江俊郎
反対意見 なし
参照法条
公職選挙法252条,憲法14条,憲法15条,憲法44条,憲法前文
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公民権停止事件(こうみんけんていしじけん)は公職選挙法の刑事罰に規定された公民権停止規定が平等権を規定した日本国憲法第14条及び第44条に抵触するか否かが争われた裁判[1][2]

概要

1952年10月1日に投票が行われた第25回衆議院議員総選挙長野4区社会党右派候補として立候補した吉田正は当選したものの運動員7人が公職選挙法違反(買収)で摘発された[3]

1953年6月1日長野地裁松本支部は7人に対して実刑、罰金刑ほか3年間から5年間までの公民権停止処分が言い渡され控訴したが、1953年11月28日東京高裁は7人のうち1人について公民権停止を適用しないとしたものの、残り6人は期間が短縮されながらも公民権停止は維持された[3][4]。公民権停止となった6人は「選挙違反による公民権停止規定は日本国憲法の第14条及び第44条に規定された平等権に違反する」として上告した[3][4]

1955年2月9日最高裁は「選挙犯罪はいずれも選挙の公正を害する犯罪であってこのような違反者は現に選挙の公正を害したものとして選挙に関与せしめたるに不適当なものと認められるべきだから、これを一定の期間公民権を排除するのは相当であって、他の一般犯罪者が公民権を停止されるとは自ら別の理由に基づくものである。国民主権を宣言する憲法下において公職の選挙権が国民の最も重要な基本的権利の一つであるが、それだけに選挙の構成はあくまで厳粛に保持されなければならないのであって、一旦この公正を害し選挙に関与せしめることが不適当と認められるものはしばらく被選挙権選挙権の行使から遠ざけて、選挙の公正を確保するとともに本人の反省を促すことが相当であるから、これをもって不当に国民の参政権を奪うべきものということはできない。」として刑事訴訟における選挙違反の公民権停止規定について日本国憲法第14条・第44条に違反せずに合憲とする判決を下して上告を棄却し、全被告の有罪が確定した[3]

脚注

  1. ^ 伊藤塾 (2005), p. 464.
  2. ^ 戸松秀典 & 初宿正典 (2018), p. 506.
  3. ^ a b c d 「公民権停止は合憲 最高裁 選挙違反者の上告棄却」『読売新聞読売新聞社、1955年2月9日。
  4. ^ a b 工藤達朗 (2014), p. 302.

参考文献

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