升味 準之輔(ますみ じゅんのすけ、1926年4月1日[1] - 2010年8月13日[2])は、日本の政治学者。東京都立大学名誉教授[2]。専門は日本政治史[3]。
略歴・人物
長崎県出身[1]。1948年、東京大学法学部卒業[3]。東京大学研究生を経て、1952年から東京都立大学講師[3]。1953年から同大学助教授[3]。1963年から同大学教授[3]。学外では、日本政治学会理事長や日本学術会議会員などを歴任した[1]。
近現代日本の政治史・政党史の実証研究を行い、主要国の政治過程に関する比較研究に従事した[1]。戦後日本の政党政治を「55年体制」と名づけたことで知られている[1][4]。また、九条の会の活動に賛同していた[5]。
弟子の御厨貴は、「多くの若き東大出身の政治学者が、安保問題をはじめとする現実政治批判に傾斜したのに対して、升味さんは常に一歩距離を置」き、岡義武を師と仰ぐ形で「歴史分析、いや歴史の追体験とそれへの耽溺に惹きこまれてい」ったと述べている[6]。そのため、マスメディアにはあまり顔を見せず、『国家学会雑誌』や『都立大学法学会雑誌』などの大学紀要へ論文を発表することに注力したという[6]。御厨は、こうした升味の様子を「既成の“左翼イデオロギー”の呪縛から自由だった」と評した[6]。また、後年には「『日本政党史論』で著名な政治学の泰斗」とも呼んでいる[7]。
著書
単著
- 『現代政治と政治学』(岩波書店 1964年)
- 『日本政党史論(全7巻)』(東京大学出版会 1965-80年、新装版2011年)
- 『現代日本の政治体制』(岩波書店 1969年)
- 『政治学講義(上・下)』(岩波書店 1974年)
- 『ユートピアと権力 - プラトンからレーニンまで』(東京大学出版会 1976年、増補版1986年)
- 『戦後政治――1945-55年(上・下)』(東京大学出版会 1983年)
- 『現代政治――1955年以後(上・下)』(東京大学出版会 1985年)
- 『日本政治史(1)幕末維新、明治国家の成立』(東京大学出版会 1988年)
- 『日本政治史(2)藩閥支配、政党政治』(東京大学出版会 1988年)
- 『日本政治史(3)政党の凋落、総力戦体制』(東京大学出版会 1988年)
- 『日本政治史(4)占領改革、自民党支配』(東京大学出版会 1988年)
- 『比較政治(1)西欧と日本』(東京大学出版会 1990年)
- 『比較政治(2)アメリカとロシア』(東京大学出版会 1993年)
- 『比較政治(3)東アジアと日本』(東京大学出版会 1993年)
- Contemporary Politics in Japan, trans. by Lonny E. Carlile, (University of California Press, 1995).
- 『昭和天皇とその時代』(山川出版社 1998年)
- 『なぜ歴史が書けるか』(千倉書房 2008年)
共著
- (ロバート・A・スカラピノ)『現代日本の政党と政治』(岩波書店 1962年)
- Parties and Politics in Contemporary Japan, with Robert A. Scalapino, (University of California Press, 1962).
訳書
- G・P・グーチ『イギリス政治思想(1)ベーコンからハリファックス』(岩波書店 1952年)
脚注