『太陽の墓場』（たいようのはかば）は、大島渚が監督し、1960年に公開された日本の映画[3]。松竹が制作、配給した[3]。
大阪のドヤ街を舞台に、愚連隊の下っ端の主人公を中心に最底辺に生きる人々の姿を描いた作品で、釜ヶ崎（あいりん地区）などでロケーション撮影が行われた[3][4][5][6]。
後に1971年にノルウェー、1985年にアメリカ合衆国で公開され[7]、1986年には、『L'Enterrement du soleil』と題してフランスでも公開された[2]。
あらすじ
大阪のドヤ街、釜ヶ崎で、逞しく生きる花子（炎加世子）の生き方を、暴力団や愚連隊の抗争を背景に描かれていく。愚連隊のリーダーである信（津川雅彦）は、彼を裏切ることになる配下の武（佐々木功）とともに、花子に翻弄され、やがて破滅していく。[5]
キャスト
スタッフ、キャスト。前列左から2番目が大島渚。
評価
いわゆる「松竹ヌーヴェルヴァーグ」作品のひとつ[8]。
松竹への移籍後、ヒット作に恵まれていなかった津川雅彦[9]、出演2作目の新人で、本作の成功で松竹専属となった佐々木功（後のささきいさお）[10]、劇団員だったところを大島に起用されて映画に転じた戸浦六宏[4]など、この映画が転機となった[要検証 – ノート]出演俳優も多い。
公開当時、映画好きの小学生だった崔洋一は、特に衝撃的な映画作品として印象に残るものとして本作を挙げている[6]。
撮影監督の川又昻は、本作で三浦賞（三浦光雄を記念した新人賞）を受賞した[11]。音楽を担当した眞鍋理一郎は、本作によりブルーリボン賞の映画音楽賞を受賞した[12]。
脚注
- ^ 太陽の墓場 - MOVIE WALKER PRESS
- ^ a b “Les films japonais sortis en France en salle” (フランス語). www.denkikan.fr / 電気館. 2020年12月25日閲覧。
- ^ a b c “【作品データベース】太陽の墓場”. 松竹. 2020年12月25日閲覧。
- ^ a b 「追悼 戸浦六宏さん 大島監督の助言で悪役スタート（people）」『アエラ』1993年4月6日、76面。「...左翼劇団を追放され、劇団「創造座」に逃げ込んだ。そこで出会ったのが、大島渚監督。二つ年下の同級生が、生涯の友になった。六〇年、大阪市のあいりん地区（釜ケ崎）を舞台にした映画「太陽の墓場」を撮ることになった大島さんから、映画界へ誘われた。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ a b 市原尚士「［激推し！ソフト］「太陽の墓場」 どん底の暮らしを体感したかったら」『読売新聞・東京夕刊2部』2012年9月9日、7面。「舞台は、大阪・釜ヶ崎のスラム街である。登場人物はヤクザ、売血屋、売春婦ら。弱肉強食を地で行くような勢力争いを日々、繰り広げる暴力団同士の間を行ったり来たりして、たくましく生きる花子（炎加世子）がいわゆるヒロイン役を務める。...ぐれん隊のリーダーの信（津川雅彦）は、手下の武（佐々木功）に裏切られ、共に破滅へと向かっていく。２人の運命を左右したのが、花子の奔放な情念と行動だった。物語は、順序だっては進まない。場当たり的に起こる犯罪やアクシデントが、いささか荒々しい調子でドラマを転がしていくのだ。」 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ a b 井上知大「私の記念碑：映画監督 崔洋一／1 リアルな人間描き40年」『毎日新聞・東京夕刊』2020年5月12日、4面。「中でも特に印象深い作品が、大阪の簡易宿泊所などが並ぶドヤ街で生きる人間たちを描いた「太陽の墓場」（大島渚監督）だ。決して小学生が見るような映画ではなかったが、「時代が強いる暴力性や生きるための欲求、エロス、独特なコミューンの人間たち。当時はきちんと分からなかったが、衝撃的で強く心に残った」」 - 毎索にて閲覧
- ^ 太陽の墓場 - IMDb（英語）
- ^ 服部東平「松竹ヌーベルバーグ 作家の主張（映画100年 邦画の軌跡：3）」『朝日新聞・夕刊』1995年10月26日、17面。「「青春残酷物語」に続いて、吉田喜重「ろくでなし」、大島「太陽の墓場」、篠田「乾いた湖」、田村孟「悪人志願」など、若手監督によるヌーベルバーグが続く。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ 石飛徳樹「（私の1960年）津川雅彦 大島監督が使ってくれた」『朝日新聞・夕刊』2015年1月30日、4面。「大島監督とは60年、大阪の釜ケ崎で「太陽の墓場」を撮った。チンピラの役だったね。...くすぶっていた僕に声を掛けてくれた大島監督には本当に感謝しているんだ。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ 石飛徳樹「（人生の贈りもの）歌手・俳優 ささきいさお：2 デビュー時は音痴だった」『朝日新聞・夕刊Be』2008年4月22日、13面。「2本目の映画でした。これがヒットして、松竹の専属になった。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ 「「太陽の墓場」の川又カメラマン 第4回三浦賞きまる」『読売新聞・夕刊Be』1960年12月2日、5面。 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “眞鍋理一郎”. スリーシェルズ. 2020年12月25日閲覧。
外部リンク
