布製絵本布製絵本(ぬのせいえほん)、布絵本(ぬのえほん)、布の絵本(ぬののえほん)は、厚手の台布にアップリケや刺繍[1]等の要素で表現した絵本である[2]。商業出版されているものの多くは乳幼児向けに遊具を兼ねた製品[3]だが、障害のある子どものためのバリアフリー絵本[4]として手作りされるものもある。 概説通常の絵本と違い、大量の文字を印刷することは不可能であるため、「読む」ことには向いてはいない。しかしながら、例えば特定の文字を縫いこんだり、マジックテープではがして直に触らせるなど、立体的な活用をすることができる。その意味では「読む」よりも「目で認識させる」「触感で認識させる」などといった知育玩具的な要素が強い。読み聞かせる代わりに自分で遊ぶことができるので、絵本を与えるよりも早い年齢から与えることができる。 また、裁縫の工夫次第で幼児を喜ばせる仕掛け(例えば、家の絵の窓を開けると出てくる人物や動物を変えることができる、仕掛けの中に隠した乗り物を引っ張り出したりしまったりできる、絵の中の風車や水車を回すことができるなど)を作ることができることから、オリジナリティを出しやすく、家庭科系のクラブ活動等で取り組むケースも見られるようである。 バリアフリー絵本として1975年に発足した「障害をもつ子どもと本の会」で、アメリカの主婦の手作り布絵本「Busy Book」が紹介されたことを契機に、作られるようになった[1]。組織として中心となったのは、北海道札幌市で活動する私立図書館「ふきのとう文庫」である[5]。 その後、有志による布絵本製作グループや家庭文庫での活動が続けられ、公共図書館等にも普及が進んでいる[1]。2021年度の調査では、都道府県立図書館の70.2%、市区町村立図書館の43.6%で布の絵本が所蔵されている[6]。 いくつかの制作グループが、オリジナル作品を考案し著作物として管理しており、材料セットの販売のほか、一部については条件を設けて完成品の販売や貸出を行っている[7]。 参考文献
脚注
関連項目 |