有神論(ゆうしんろん、theism)は、「神は存在する」という主張のこと。対義語は無神論。
多くの宗教は、その教義の中に有神論を含んでおり、その宗教が信仰する神が唯一なのか複数なのかによって一神教、多神教などに分けられる。
無神論の対義語として有神論という語を最初に用いたのは、イギリスの哲学者ラルフ・カドワース(1617年 - 1688年)だとされる。
神の数による分類
単独
一神教として最も早く知られたのは[要出典]、ゾロアスター教である。
二柱
- 対立する、もしくは相補関係にある二柱の神が存在し、両者の関係が世界を支配すると考える。
- ウイッカの一部や、アステカのオメテオトル(男神オメテクトリ=女神オメシワトル)崇拝などが該当する。
多数
- 多神教(Polytheism):多神教は、複数の神が存在するという考え方である。多神教の範囲内にも、「堅い」ものから「柔らかい」ものまで多様である。
- 「堅い」多神教では、個々の神々をはっきりと別々の存在に分けて考える(例えば、神道や古代ギリシア神話)。
- 「柔らかい」多神教では、種々の神々はより大きい全体に包含されるものと考える(例えば、ヒンドゥー教の大部分)。
また、個々の神への関心の持ち方、崇拝の仕方によっても分けられる。
- 単一神教(Henotheism):複数の神がいてもよいが、至高の神はただ1柱である(例えば、国家神道)。
- 交替神教(Kathenotheism):複数の神がいる。しかし、一度に礼拝されるのは1柱の神だけでなければならない。各々の神はそれぞれに至高である。
- 拝一神教(Monolatry):複数の神がいてもよいが、崇拝されるべきはただ1柱でなければならない。
神と世界の関係による分類
内在的
神を、世界の内にいる「内在的」な存在と考える。
- 汎神論(Pantheism):「神と世界は同一である」。物質的な世界と神は同等であり、分かつことはできない。
- 汎霊説/アニミズム(animism):「世界のあらゆる部分に、神(霊)が存在する」
- その他、非超越的な有神論全般
超越的
神を、世界の外にいる「超越的」な存在と考える。
- 理神論(deism):「神は世界を創造したが、その後、干渉することはない」
- Polydeism:「多数の神が存在するが、世界に介入することはない」
- グノーシス主義
- その他、超越的な有神論全般
超越的 + 内在的
- 万有内在神論(Panentheism):「世界は神の内にある」。神は宇宙より大きく、物質的な世界は神の内部に含まれる。
- ネオプラトニズム
- その他、超越と内在を横断する有神論全般
超越的 → 内在的
- 汎理神論(Pandeism):「神は世界を創造し、今ではそれと等価となっている」。理神論的側面と汎神論的側面とを組み合わせたもの[1]。
その他
出典
- ^ Raphael Lataster (2013). There was no Jesus, there is no God: A Scholarly Examination of the Scientific, Historical, and Philosophical Evidence & Arguments for Monotheism. p. 165. ISBN 1492234419. "This one god could be of the deistic or pantheistic sort. Deism might be superior in explaining why God has seemingly left us to our own devices and pantheism could be the more logical option as it fits well with the ontological argument's 'maximally-great entity' and doesn't rely on unproven concepts about 'nothing' (as in 'creation out of nothing'). A mixture of the two, pandeism, could be the most likely God-concept of all."
関連項目
- 無神論 (atheism):「神は存在しない」
- 不可知論 (agnosticism) : 「神が存在するかどうかを認識するのは不可能である」
- 非有神論 (nontheism):「神の実在を信じるかどうかは本質ではない」