空転空転(くうてん)は、鉄道車両や自動車などの車両において、車輪(駆動輪)が1回転しても車両が車輪の1周分の距離を進まなくなる(空回りする)ことをいい、車両の正常な運行に支障を来たすことである。自動車などでは空転も滑走も車輪と路面とのグリップが失われる点で共通することから、スリップと呼ばれることが多い。 概要鉄道や自動車など陸運車両では、車両側の駆動力や制動力が輪軸やタイヤを介してレールやアスファルト舗装に伝わることにより力行(加速)やブレーキ(減速)が可能になり、安全に走行することができる。走行には車輪とレールあるいは舗装との間の摩擦力が作用しており、車輪の駆動力がこの摩擦力を超えると車輪は空転を始める。 鉄道車両鉄道車両の場合は車輪もレールも鉄であるためもともと摩擦係数が小さく、空転が発生しやすい状況にある。 要因車輪とレールが、ともに鉄である鉄道車両は、その間に雨などの水分やレール自身の錆・雑草・落葉・時にはヤスデ類などの虫が介在することにより摩擦係数が大幅に低下し、空転を発生させる。大都市圏では列車密度が高く編成も長いため、レール踏面が常に磨かれた状態になり、始発列車を除けば空転がさほど問題となることはないが、少ない動輪で大きな重量を牽引する貨物列車の機関車や、もともと列車本数が少なく短編成が多いローカル線では大きな問題となる。 被害鉄道の場合、列車が上り勾配で立往生すれば後続列車(単線では対向列車にも)へ列車遅延などの影響はさけられないが、他にもレールの同じ部分が車輪に削られることによる「レール穴」の発生や、気動車では液体変速機(変速機油)のオーバーヒート、電車では電動機に過大な電流が流れるなど、線路故障から車両故障にまでつながる厄介な問題を引き起こすのである。 対策ソフト面では運転士がノッチ戻しや刻みノッチで対応する。ハード面では古くからレール踏面への撒砂(砂をまくこと)、最近ではセラミック噴射などが有効な手段として取られている。しかし機関車は別として、すべての動力車に砂撒き装置が装備されているわけではなく、鉄道事業者を悩ませ続けている。また、空転対策としてMT比を引き上げることも行われる[注釈 1]。 自動車自動車では、ゴムタイヤとアスファルト舗装の摩擦係数がもともと大きいため、故意にグリップを失わせる以外は空転しにくいが、雨の降り始め、凍結路や圧雪路では似たような状態になる。 水はけの悪い路面では、雨天時の高速走行でタイヤの排水が追いつかないハイドロプレーニング現象が発生しやすく、面圧が低い場合(車重が小さい・接地面積が大きい)、駆動軸出力が大きい場合などは、エンジン出力を抑えない限り空転が続く。 要因
被害最も影響の大きい被害は交通事故である。また、事故に至らずとも、道路上で立ち往生することになれば交通渋滞を招くことがある。 対策
意図的に行われる場合
比喩
注釈関連項目 |