糸球体腎炎糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん、英語: Glomerulonephritis)は、腎疾患の一つで腎臓の炎症の一つ。 腎臓の炎症である腎炎は病理組織学的に炎症の首座がどこにあるかによって、糸球体腎炎、間質性腎炎、および腎盂腎炎に分類される。主に糸球体に炎症反応がみとめられるものを糸球体腎炎と呼ぶ。 種類
急性糸球体腎炎急性糸球体腎炎(英語: Acute glomerulonephritis; AGN)は、その90%が連鎖球菌感染に続発していることから、溶連菌感染後急性糸球体腎炎(英: Poststreptococcal Acute GlomeruloNephritis; PSAGN) とも呼ばれており、抗原抗体反応(アレルギーIII型)によって発症するび漫性の炎症である。溶血性連鎖球菌感染後に起こる腎炎が最も多い。小児や青年期に罹患する事が多く、先行する感染としては扁桃炎・咽頭炎等が大部分を占める。 原因A群β溶血性レンサ球菌感染症後に発症するものが大部分であり、この菌が抗原となる事で抗原抗体複合体を形成し、これが腎糸球体に付着することで炎症を引き起こす。 症状上気道感染の2~4週間後に発症する。前症状として全身倦怠感、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐、下痢、便秘等を生じ、その後に主症状である浮腫、血尿、高血圧が診られ、尿量も減少する。 検査
治療食事制限として塩分、蛋白質、水分の摂取を制限する。また、薬物的には特効薬は無いが、感染の拡大防止としてのペニシリン・マクロライドの投薬を行うことがある(現在ではその有効性は否定的)。高血圧の改善目的で利尿薬を第一に使うことが多い。扁桃炎を繰り返す場合は扁桃の摘出も必要になる。なお治療率は小児で約90%以上、成人でも50~80%は完治する。 診断のメモ
急速進行性腎炎症候群急速進行性糸球体腎炎(英語: Rapidly progressive glomerulonephritis; RPGN)とはWHOにより、『急性あるいは潜在性に発症する肉眼的血尿、蛋白尿、貧血、急速に進行する腎不全症候群』と定義されており、日本では難病疾患に指定されている。 日本では「腎炎を示す尿所見を伴い数週から数か月の経過で急速に腎不全が進行する症候群」と定義される臨床的概念であり、無治療のままでは末期腎不全に至るため、早期発見と適切な治療が求められる。病理組織学的には壊死性半月体形成性糸球体腎炎がみられることが多い[1]。 分類壊死性半月体形成性糸球体腎炎は、腎生検の蛍光抗体法の所見から、次のように分類される[1]。
検査
治療副腎皮質ホルモン製剤と免疫抑制薬、抗血小板薬、抗凝固薬による多剤併用療法が基本となる。 症例に応じ血漿交換療法などが行われることがある。 慢性糸球体腎炎急性糸球体腎炎の発症後、1年以上にわたって異常な尿所見や高血圧症状の持続するものを指す。また、発病時に明らかな腎炎症状は見えないが、1年以上異常尿所見の続くものも含む(ただし、膠原病・糖尿病性腎症・痛風腎・本態性高血圧・腎血管性高血圧・腎盂腎炎・起立性蛋白尿・中毒性腎症等の全身性疾患に因る物は除外する)。なお、進行により腎不全から尿毒症へと変化する。 病型
原因不明。ただし、免疫機序が考えられている。 症状急性糸球体腎炎と同様である。 検査
治療病状の進行が見られない場合は生活管理・食事療法を中心とし、薬物を補助的に用いる。病状の進行が見られる場合は、厳密な食事療法と薬物療法を組み合わせて用いる。薬物投与は蛋白尿に対してはジピリダモール、ネフローゼ症候群を呈する場合は副腎皮質ステロイドを使用する。また、高血圧の場合はα―メチルドーパを、浮腫の強い場合はフロセミドなどの利尿剤を投与する。 関連脚注
外部リンク
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