羽部
概要「羽(羽)」字は鳥の翼上にある長い毛である羽根を意味し、その形に象る。引伸して広く鳥毛全般を指し、また翼を意味することもある。さらに鳥類の代称、羽根を使った道具である矢・舞具・扇、五声の1つなどを意味する。 なお『説文解字』には短い毛である羽毛に相当する字も収録されているが、現在は使われていない。 偏旁の意符としては鳥や翼、鳥が飛ぶことに関することを示す。 羽部はこのような意符を構成要素に持つ漢字を収める。 字体差偏旁の「羽」の筆画は歴史的・地理的に細かく異なっている。曲がった羽根の主軸から毛が出た形であり、篆書では左下に向かって三本ずつの長い斜めの画が出ており、隷書ではこれが2本の横画となる。このとき主軸である1画目と毛の2・3画目は離れるようになったものが多いが、冠の位置ではヨヨの形となり、くっついて書かれるものが多い。唐代の楷書碑文を見ると、旁の位置では「羽」のように主軸部分の1画目の最後をはねた鈎状、毛部分の2画目・3画目を点とはねの形とする。冠の位置では旁と同形とすることもあるが、「曜」のように1画目の最後ははねずに止め、2画目・3画目を2つの横画とする隷書と同じくヨヨ形とすることも多い。 印刷書体(明朝体)では、康熙字典が篆書に倣い2画目・3画目を2つの払いにする形を採用した。2払いは旁・冠に関わらず同形であるが、1画目の最後は、旁の位置にあるときははねる鈎状であり、冠の位置にあるときは止めた棒状である。 中国の新字形は、2・3画目を点はねにする形を採用したが、1画目の最後は旁の位置で鈎状、冠の位置で棒状である。 台湾の国字標準字体・香港の常用字字形表も2・3画目は点はねを採用するが、1画目の最後は旁・冠にかかわらず鈎状とする。つまり、どの位置であっても同じ字形である。ただしコンピュータ上でWindowsが標準搭載するフォント細明體・新細明體 (PMingLiU・MingLiU) は5.03版(Windows Vista標準)以降でないとこれに対応しておらず、それ以前の版では康熙字典体で表される。 日本の新字体においては、旁・冠に限らず1画目の最後を鈎状、2・3画目を点はねとすることがほとんどであるが、「曜」や「耀」「燿」のような字はヨヨを採用している。ただしこの形が適用されるのは『常用漢字』及び『人名用漢字』のみであり、表外字については2000年の『表外漢字字体表』では原則として康熙字典体に従っているため、例えば「翔」と「挧」のように同じような構造の字で字形が異なることも起きている。
部首の通称
部首字羽(羽) 例字→詳細は「wikt:Wiktionary:漢字索引 部首 羽」を参照
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