D・J・オーガスティン(D.J. Augustin; )ことダリル・ジェラード・オーガスティン・ジュニア(Darryl Jerard Augustin Jr. , 1987年11月10日 - )は、アメリカ合衆国・ルイジアナ州ニューオーリンズ出身の元プロバスケットボール選手。ポジションはポイントガード。
生い立ち
- 高校時代
ニューオーリンズで生まれ育ち、高校は地元のブラザーマーティン高校に進学したが、2005年のハリケーン・カトリーナによる被害でミズーリ市への移住を余儀なくされたため、最終学年はミズーリ市のハイタワー高校で過ごした。卒業時にはブラザーマーティン高校から卒業証書を受け取ると共に、トヨタセンターで行われたハイタワー高校の卒業式にも出席した。
ブラザーマーティン高を2度州のタイトルに導いたオーガスティンは、ハイタワー高では正確なパスとシュートで活躍。同校でのデビュー戦では会場を埋め尽くした観客とテレビカメラの前で29得点8リバウンド14アシストを記録し、83-59で快勝した。このシーズン、ハイタワー高校は26勝4敗の成績を残し、オーガスティンは地区のMVPを獲得、その他マクドナルド選出のオールアメリカン、パレード誌選出の4thチーム、ヒューストン・クロニクルの年間最優秀選手、ヒューストンのファーストチーム、州のファーストチームなどに選ばれた。マクドナルドの高校オールスターゲームでは後に大学のチームメイトとなるケビン・デュラントらとプレーした。
- テキサス大学
高校卒業後はテキサス大学に進学。オーガスティンはデュラントと共に1年目から先発に抜擢され、35試合に出場し、14.4得点6.7アシスト、3Pシュート成功率44.1%の成績を記録。カンファレンスのセカンドチームと、AP通信社、全米バスケットボールコーチ協会選出のカンファレンス・ルーキーファーストチームに選ばれた。
1年目のシーズン終了後にデュラントはNBAドラフトにアーリーエントリーした。オーガスティンも一緒にエントリーすれば指名は確実視されていたが、彼はテキサス大学に留まることを選んだ。2年目のシーズンは19.2得点5.9アシストを記録し、オールアメリカンのファーストチームに選出され、ネイスミス・カレッジ最優秀選手賞、ボブ・クージー賞の各賞レースでは最終候補にまで残った。
学業でも優秀だったオーガスティンは2年生時には4.0GPA(累計3.64GPA)をもらい、同校バスケットボールチームからは史上2人目となるアカデミック・オールアメリカンのファーストチームに選ばれている。テキサス大学では2シーズンのみ過ごし、2008年のNBAドラフトにアーリーエントリーした。
NBAキャリア
シャーロット・ボブキャッツ
シャーロット・ボブキャッツから全体9位指名を受けてNBA入り[4]。1年目はレイモンド・フェルトンの控えとしてプレーし、11.8得点3.5アシスト、リーグ6位となるフリースロー成功率89.3%を記録し、オールルーキー2ndチームに選ばれた。
インディアナ・ペイサーズ
2012年7月13日、インディアナ・ペイサーズと契約した[5]。
トロント・ラプターズ
2013年7月22日、トロント・ラプターズと契約した[6]。
シカゴ・ブルズ
2013年12月13日、シカゴ・ブルズと契約した[7]。
デトロイト・ピストンズ
2014年7月15日、デトロイト・ピストンズと2年600万ドルで契約を結んだ[8][9]。
オクラホマシティ・サンダー
2015年2月19日、ユタ・ジャズが絡んだ3チーム間トレードでオクラホマシティ・サンダーに放出され、大学時代のチームメイトだったケビン・デュラントと再会した[10]。
デンバー・ナゲッツ
2016年2月19日、ランディ・フォイエとのトレードで、スティーブ・ノバック、2つの2巡目指名権と金銭とともにデンバー・ナゲッツに移籍した[11]。
オーランド・マジック
2016年7月1日にオーランド・マジックと4年2900万ドルで契約した[12][13]。
2018-19シーズンは81試合に先発出場し、チームとして7年ぶりのプレーオフ進出に貢献した。
2019-20シーズンはマーケル・フルツに先発を奪われることが多かった。
ミルウォーキー・バックス
2020年11月28日にミルウォーキー・バックスと3年2100万ドルの契約を結んだ[14]。
ヒューストン・ロケッツ
2021年3月19日にP・J・タッカー、ロディオンス・クルークスとのトレードで、D・J・ウィルソンと共にヒューストン・ロケッツへ移籍した[15]。
2022年2月10日にロケッツから解雇された[16]。
ロサンゼルス・レイカーズ
2022年3月1日にロサンゼルス・レイカーズとシーズン終了までの契約を結んだ[17]。
個人成績
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2008–09
|
CHA
|
72 |
12 |
26.5 |
.430 |
.439 |
.893 |
1.8 |
3.5 |
.6 |
.0 |
11.8
|
2009–10
|
80 |
2 |
18.4 |
.386 |
.393 |
.779 |
1.2 |
2.4 |
.6 |
.1 |
6.4
|
2010–11
|
82 |
82 |
33.6 |
.416 |
.333 |
.906 |
2.7 |
6.1 |
.7 |
.0 |
14.4
|
2011–12
|
48 |
46 |
29.3 |
.376 |
.341 |
.875 |
2.3 |
6.4 |
.8 |
.0 |
11.1
|
2012–13
|
IND
|
76 |
5 |
16.1 |
.350 |
.353 |
.838 |
1.2 |
2.2 |
.4 |
.0 |
4.7
|
2013–14
|
TOR
|
10 |
0 |
8.2 |
.292 |
.091 |
1.000 |
.4 |
1.0 |
.1 |
.0 |
2.1
|
CHI
|
61 |
9 |
30.4 |
.419 |
.411 |
.882 |
2.1 |
5.0 |
.9 |
.0 |
14.9
|
2013-14計
|
71 |
9 |
27.3 |
.415 |
.401 |
.885 |
1.8 |
4.4 |
.7 |
.0 |
13.1
|
2014–15
|
DET
|
54 |
13 |
23.8 |
.410 |
.327 |
.870 |
1.9 |
4.9 |
.6 |
.0 |
10.6
|
OKC
|
28 |
1 |
24.2 |
.371 |
.354 |
.861 |
2.2 |
3.1 |
.6 |
.0 |
7.3
|
2014-15計
|
82 |
14 |
24.0 |
.399 |
.337 |
.868 |
2.0 |
4.3 |
.6 |
.0 |
9.5
|
2015–16
|
34 |
0 |
15.3 |
.380 |
.393 |
.765 |
1.3 |
1.9 |
.4 |
.1 |
4.2
|
DEN
|
28 |
0 |
23.5 |
.445 |
.411 |
.819 |
1.9 |
4.7 |
.9 |
.1 |
11.6
|
2015-16計
|
62 |
0 |
19.0 |
.423 |
.405 |
.805 |
1.5 |
3.2 |
.6 |
.1 |
7.5
|
2016–17
|
ORL
|
78 |
20 |
19.7 |
.377 |
.347 |
.814 |
1.5 |
2.7 |
.4 |
.0 |
7.9
|
2017–18
|
75 |
36 |
23.5 |
.452 |
.419 |
.868 |
2.1 |
3.8 |
.7 |
.0 |
10.2
|
2018–19
|
81 |
81 |
28.0 |
.470 |
.421 |
.866 |
2.5 |
5.3 |
.6 |
.0 |
11.7
|
2019–20
|
57 |
13 |
24.9 |
.399 |
.348 |
.890 |
2.1 |
4.6 |
.6 |
.0 |
10.5
|
2020–21
|
MIL
|
37 |
6 |
19.3 |
.370 |
.380 |
.900 |
1.4 |
3.0 |
.5 |
.0 |
6.1
|
HOU
|
20 |
6 |
20.8 |
.424 |
.385 |
.900 |
2.2 |
3.9 |
.4 |
.0 |
10.6
|
2020-21計
|
57 |
12 |
19.8 |
.394 |
.382 |
.904 |
1.6 |
3.3 |
.5 |
.0 |
7.7
|
2021–22
|
34 |
2 |
15.0 |
.404 |
.406 |
.868 |
1.2 |
2.2 |
.3 |
.0 |
.5.4
|
通算:14年
|
955 |
334 |
23.5 |
.411 |
.380 |
.867 |
1.9 |
3.9 |
.6 |
.0 |
9.6
|
- 2011-12シーズンは66試合、2019-20シーズンは73試合でそれぞれ打ち切り
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2010
|
CHA
|
4 |
0 |
18.3 |
.294 |
.333 |
.833 |
1.0 |
1.8 |
.3 |
.3 |
4.3
|
2013
|
IND
|
19 |
1 |
16.6 |
.380 |
.396 |
.806 |
.8 |
.7 |
.4 |
.0 |
5.2
|
2014
|
CHI
|
5 |
0 |
28.2 |
.292 |
.269 |
.895 |
1.6 |
4.8 |
.6 |
.0 |
13.2
|
2019
|
ORL
|
5 |
5 |
28.2 |
.488 |
.476 |
.875 |
1.6 |
3.8 |
.4 |
.2 |
12.8
|
2020
|
5 |
0 |
25.6 |
.391 |
.471 |
.957 |
2.0 |
6.0 |
.2 |
.0 |
13.2
|
出場:5回
|
38 |
6 |
21.0 |
.368 |
.390 |
.874 |
1.2 |
2.4 |
.4 |
.1 |
8.2
|
受賞歴
ドラフト時の評価
安定感と大胆さを兼ね備えた真の司令塔。ボールハンドリングに優れ、アウトサイドシュートも正確であり、パスも捌けるなど、ポイントガードとしての資質は非常に高い。ただし上背はなく(公称183cmだが、プレドラフトキャンプ時の身体測定では178cmだった)、サイズの面で苦戦する可能性がある。現役選手ではジャミーア・ネルソンに例えられる。
プレドラフトキャンプ時の身体データ
ウイングスパン
|
ジャンプ力
|
スプリント
|
ベンチプレス
|
192cm |
88.9cm |
3.07秒 |
2回
|
※スプリントはコート3/4(約21m)走。ベンチプレスは約84kg。
選手としての特徴
脚注
- ^ “NBA Draft Combine”. NBA.com (2008年9月). 2018年4月18日閲覧。
- ^ a b “NBA Draft Combine”. NBA.com (2008年9月). 2022年3月2日閲覧。
- ^ “D.J. Augustin | NBA Shoes Database”. ballershoesdb.com. 2022年3月2日閲覧。
- ^ “Bobcats ink Augustin, Ajinca, have yet to sign Weaver”. ESPN.com (2008年6月8日). 2015年3月10日閲覧。
- ^ “Pacers Sign Point Guard DJ Augustin”. NBA.com (July 13, 2012). July 13, 2012閲覧。
- ^ “Raptors Sign Free-Agent Guard D.J. Augustin”. Raptors.com (July 22, 2013). April 11, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。July 22, 2013閲覧。
- ^ “BULLS SIGN FREE AGENT GUARD D.J. AUGUSTIN”. NBA.com (December 13, 2013). December 13, 2013閲覧。
- ^ “Detroit Pistons Sign Free Agent Guard D.J. Augustin”. NBA.com (July 15, 2014). July 15, 2014閲覧。
- ^ Wojnarowski, Adrian (July 13, 2014). “Sources: D.J. Augustin signing two-year deal with Pistons. Augustine is trash.”. Yahoo.com. July 13, 2014閲覧。
- ^ “Thunder Acquires Kanter, Novak, Augustin, Singler and Draft Pick”. NBA.com (February 19, 2015). February 20, 2015閲覧。
- ^ “Nuggets Acquire D.J. Augustin, Steve Novak, Second Round Picks and Cash Consideration”. NBA.com. Turner Sports Interactive, Inc. (February 18, 2016). February 18, 2016閲覧。
- ^ Denton, John (July 7, 2016). “Orlando Magic Sign D.J. Augustin”. NBA.com. July 7, 2016閲覧。
- ^ Zillgitt, Jeff (July 1, 2016). “D.J. Augustin, Orlando Magic reach four-year, $29 million contract agreement”. USAToday.com. July 7, 2016閲覧。
- ^ “Milwaukee Bucks Sign D.J. Augustin”. www.nba.com. 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Milwaukee Bucks Acquire P.J. Tucker And Rodions Kurucs From The Houston Rockets”. www.nba.com. 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Rockets Complete Four Player Trade with Boston”. www.nba.com. 2022年3月1日閲覧。
- ^ “Los Angeles Lakers sign D.J. Augustin, request waiver on DeAndre Jordan” (英語). www.nba.com. 2022年3月1日閲覧。
外部リンク