TOEFL
TOEFL(英: Test of English as a Foreign Language = 外国語としての英語のテスト、トーフル)は、アメリカ合衆国のNPOである教育試験サービス (Educational Testing Service; ETS)が主催している外国語としての英語のテストで、同団体の登録商標(日本においては第1409962号ほか)である。その名称の通り非英語圏の出身者のみを対象としており、英語圏の高等教育機関が入学希望者の英語運用能力を判定する際に用いる。 英語圏の大学へ留学・研究を希望する者を主な対象としたテストであり、英語による高等教育に適う能力の判定が目的である。1964年から実施されており、日本ではETS Japan[1]が窓口となっている。 TOEICと同じく、合否の形で判定される資格や免許ではなく、0-120点のスコアとして判定される実力測定試験(スコア満点は120点)。 テスト内容現在のテスト形式は、2005年より開始されたiBT(アイビーティー、Internet-Based Testing、TOEFL iBT)というComputer Based Testingである。 リーディング(Reading)、リスニング(Listening)、スピーキング(Speaking)、ライティング(Writing)の4部から構成されており、試験時間は約2時間である。リーディングかリスニングの何れかには「ダミー問題」と通称される、スコアには影響しない設問が追加されており、それにあわせて全体の試験所要時間も変化する。受験者には正規の問題とダミー問題との見分けは出来ない。 リーディング合計20問。試験時間35分。2種類のトピックで700語ほどの学術文章(パッセージ)が提示される。それらは、多くの専門単語を含むアカデミックなものばかりであり、時事問題や物語文、対話文は扱われない。第1リーディング・第2リーディング各10問。4択問題が主となる。
リスニング合計28問。試験時間は36分。第1リスニングは7問10分。講義形式3題(各6問)、対話形式2題(各5問)。4択問題が主である。 大学講義・大学キャンパス内を舞台とした内容となっており、学術的、及び実際英語圏の大学で使われる語彙が必要となる。一つのリスニング時間は3〜4分ほどであり、リスニング中にはノートを取ることができる。話者が2人以上いる場合は割り込み、言葉のオーバーラップなど、現実の会話に即した内容がみられる。
スピーキング全部で4問。試験時間16分。単純な質疑応答(Independent)1問。文章や会話の総合的な理解力を伴う問題(Integrated)3問。質問に対する解答をマイクで吹き込み、それが評価の対象となる。発音、ボキャブラリー、文法、スピード、質問内容との一致性などが評価される。各speakingの満点は4点で、4つのspeakingの平均点数を0点から30点に変換して体点される。 Choose a side
Reading and Listening about a University
Reading and Listening about a Lecture
Listening to a Lecture
ライティング全部で2問。Integrated Task1問20分。Academic Discussion Task1問10分。解答はタイピングによって入力する。各回答の満点は5点で、両回答の平均点数を0点から30点に変換して体点される。点数配分はIntegrated TaskとAcademic Discussion Taskともに1:1。 Integrated Task学術的な200〜300語程度の文章を3分で読んだ後、教授による講義を聞く。リーディングに基づいた具体的な内容を講義されるため、リーディングとリスニング両方の理解が必要となる。主に2パターンあり、教授がリーディング文章に対しサポート意見を述べる場合と、反対意見(キャストダウト)を述べる場合がある。
模範解答としては「リーディングのメインポイント・リスニングのメインポイント。両者の具体的な例を記述(ABCD)」
Academic Discussion Taskオンラインディスカッションフォーラムを想定した問題で、教授のお題に対し2名の生徒のWriting回答を読んだ後、それらの意見も参考にしながら自分の意見を回答。環境科学, 教育, 経済, 経営, 社会, 公共政策、映画、人的資源管理など幅広い分野から出題される。 2023年7月26日に全体の試験時間が約3時間から約2時間に短縮された際に導入された新しい形式の出題タスク。 受験方法TOEFLの申し込みはウェブページ(全て英語)より受け付けており、個人情報を登録すれば申し込める(申し込みフォームには日本語も存在する)。試験は毎月2~3回実施されており(国や地域による)、午前と午後があるが1日に2回受験することは出来ない。試験開催日は基本的に週末(土日)が多い。 受験準備として、インターネットで問題作成者であるETSが無償提供するサンプル問題を解くことができる。 2021年2月時点の日本国内の受験料は245USドル。予約変更料は一回60USドル。支払いはクレジットカードが主要な手段。 受験要綱によると、試験会場はETS側で無条件にどこの会場にでも変更可能となっており、受験生は前日に必ず申し込み会場に変更がないのかをウェブページで確認することが義務づけられている。 試験の環境
スコア満点は120点で、最低点は0点。それぞれのセクションの満点は30点。これは1問間違えて1点減点という方式ではない。評価は相対評価。平均は83点、標準偏差は20点[2]。点数は受験日より2年間有効。メタ分析によれば、TOEFLのスコアと留学生の成績にはわずかな相関しかない[3]。
受験後約6日後にオンライン上でスコアを確認でき、受験者控えとしての紙のスコアレポートであるTest Taker Score Reportを入手したい場合には、オンライン上で申し込む必要あり。大学へスコアを送る場合にはETSから直送されるOfficial Socre Reportsの送付を申し込む必要がある。[4]。 スコアの解釈入学志願者の英語力判定のために要求されるスコアは、各教育機関ごとに異なる。例えば、フルブライト奨学金2020年度大学院プログラムではiBTで80点以上が応募条件[5]、ニューヨークのバークレーカレッジではiBTで61点以上を要求している。大学院やアイビー・リーグなどの一流大学では更に高いスコアが必要とされ、ハーバード・ビジネス・スクールやオックスフォード大学のビジネススクールなどでは、いずれもiBT 109点を出願の最低条件としている[6][7]。
日本語が母国語の受験者平均スコアETS の Test and Score Data Summary for TOEFL iBT Tests 2021年度報告[2]によると、日本語が母国語である人の平均スコアは73点。ETSは国別の平均スコアは受験者個人が、自分と同じ母語・同じ出身国の他の受験者との比較をするために利用するもので、TOEFLテストスコアを元に国別のランキングを作ることはデータの誤った使用であり、そのような行為を是認しないと警告している[2]。 団体対象プログラムInstitutional Testing Program (ITP)テストとは、大学や法人などが、その団体員の英語力を測定するため、もしくは能力別クラスを編成するためにETSが提供しているTOEFLのことである。国際基督教大学や関西外国語大学などが毎年の英語の能力別クラス編成に利用している例が挙げられる。このほか、東京大学の大学院入試では、iBTのスコア提出に代えて志願者に向けて一括受験を課す研究科がある。 Paper-Based Testingにおける過去問をランダムに使用し、出題形式や点数算出方法もPBTと同様のものを使用している。テストは2種類[1]あり、TOEFLレベルとPre-TOEFLの2種類がある。前者はPBTテストの過去問で同等レベルだが、後者は過去のPBTテストのレベルの低い問題で問題数も抑えている。 かつての試験形式日本ではTOEFL iBTが2006年7月15日より開始され、CBTは2006年9月30日をもって完全に廃止された。iBTを行うにはインターネットなど整った試験環境が必要であることから、筆記式であるPBTも一部で続けられている。次世代TOEFL(New Generation TOEFL)と呼ばれていたInternet-Based Testing(iBT)は、2005年よりアメリカ合衆国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリアでは 9月から10月にかけてこれまでの CBT と PBT の代わりとして導入され、日本では、2006年7月15日から導入された。試験場でコンピュータを用いて受験する点はCBTと同じだが、問題内容はインターネットを通じて配信される。iBTでは従来のStructure Section(文法セクション)が廃止されたかわりに、Speaking Sectionが追加された、Listening SectionではCBTで用いられたCAT方式が廃止された、全てのセクションでノートテイキングが許可されたなど、各 Section にも多少の変化がある。PBT、CBTに比べ全体的に難度は増しており、日本人が得意とされていた文法問題は外され、代わりに苦手とされるスピーキング問題が追加された。 Paper-Based TestingPaper-Based Testing(PBT)は筆記テストで、Listening SectionとStructure Section、Reading Sectionに分かれている。
Computer Based TestingComputer Based Testing(CBT)は、コンピュータを使用したテスト形式であったが、iBTの実施に伴い2006年9月末で廃止された。基本的にPBTでも行われた3つのセクションに加え、Writing Sectionが追加された構成をとっていた。また、Listening SectionとStructure Sectionでは受験生の問題の正誤率から次の問題のレベルが逐次決められるComputer-adaptive testing方式が採用されていた。
異なる試験形式間のスコア換算ETSは各テスト間のスコア換算表を発表している.
TOEICとの対比TOEFL と同じく ETS が TOEIC も開催している。TOEFLは、英語圏の高等教育機関における英語コミュニケーション能力(講義の受講、学術書の講読、ディスカッションへの参加等)を問うており、入学者選抜のための基準として用いられている。これに対し TOEIC はビジネス英会話および日常会話を主眼にしている。 脚注
関連項目外部リンク
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