グアルーリョス国際空港
グアルーリョス国際空港(ポルトガル語: Aeroporto Internacional de Guarulhos)は、ブラジル連邦共和国サンパウロにある国際空港。都心の25km北東に位置している。 概要サンパウロの主力空港であり、ブラジル全体のハブ空港である。24時間運営されている。サンパウロ北東部に隣接する自治体グアルーリョスのクンビーカ地域[注釈 1]に1985年に開港した。 世界各国の40社の定期便(旅客便のみ)が乗り入れており、オセアニアを除く全大陸の28カ国の100を超える都市との間に定期旅客便が就航している。2019年の旅客数は約4300万人で南米の空港では最大だった。 サンパウロ都市圏には他にコンゴーニャス空港やヴィラコッポス国際空港があり、航空輸送を分担している。 歴史開港までのいきさつ1910年代から1950年代にかけて、ブラジル最大の都市であるサンパウロは世界各国から多くの訪問者が訪れるにもかかわらず、市内中心部からわずか8キロに位置し利便性が高いものの、1,940メートルと1,435メートルという、最新鋭のデ・ハビランド DH.106 コメットやボーイング707などの大型ジェット機の着陸が不可能な滑走路しか持たず、そのために国内線とアルゼンチンやウルグアイ、ボリビアなどの近隣諸国との近距離国際線の路線しか運航することができないコンゴニャス国際空港しか存在していなかった。 なお1960年になって、サンパウロ近郊に長距離国際線にも対応する本格的な国際空港であるヴィラコッポス国際空港が開港した。しかし、市内より100キロ近く離れたカンピーナス市にあり、サンパウロ市街地との間の連絡バスで2時間近くかかった。このため、エールフランスや日本航空、パンアメリカン航空やルフトハンザ・ドイツ航空などのボーイング707やダグラス DC-8、コンベア880などの大型機で運航する諸外国のフラッグ・キャリアの航空会社は、距離の遠さと利便性の低さには目をつぶりヴィラコッポス国際空港に乗り入れていた。 これに対し、当時のブラジルのフラッグ・キャリアであるヴァリグ・ブラジル航空の中長距離国際線は、ヴィラコッポス国際空港ではなく、1952年に開港した3,000メートル級の滑走路を2本持つリオ・デ・ジャネイロのガレオン国際空港を発着地として運行されていた。この場合、中長距離国際線でサンパウロへ向かうには、ガレオン国際空港で一旦VASP航空やクルゼイロ航空のボーイング727やボーイング737で運航されている連絡便に乗り継いでコンゴニャス国際空港へ向かうという、手間も時間もかかる経路を取らざるを得なかった。 そのため、パンアメリカン航空や日本航空、エールフランスやルフトハンザ・ドイツ航空などのいくつかの航空会社は、ヴィラコッポス国際空港とガレオン国際空港の両方の空港に乗り入れ、連絡バスや連絡便を用意することで乗客に選択肢を与えていた。しかしいずれにしても、サンパウロに中長距離国際線で訪れる乗客は、手間も時間もかかる経路を取ることを余儀なくされていた。 開港この様な状況下で、旅客の利便性の向上を高めるために1960年代からサンパウロ近郊への新空港建設の必要性が叫ばれていたこともあり、候補地の選択が進み、1970年代に入り新空港をサンパウロ北東部約25キロに隣接するグアルーリョスのクンビーカ地域にあるブラジル空軍基地を拡張して建設することに決まった。その後1970年代後半に建設が開始され、1985年1月20日に開港した。 開港以降、ヴィラコッポス空港を発着する貨物便を除く中長距離国際線の殆どがグアルーリョス国際空港に移った他、2000年代にはブエノスアイレスやモンテビデオ、ラパス線などのコンゴニャス国際空港を発着する近距離国際線も、全てグアルーリョス国際空港に移った。 拡大2007年7月にコンゴニャス国際空港で発生したTAM航空3054便オーバーラン事故の影響を受けて、一部の中型ジェット機の同空港への乗り入れが制限されその多くが乗り入れ先をグアルーリョス国際空港に変更したことで、グアルーリョス国際空港の輸送量が今後ますます増加することが予想された。 2010年で開港から25年を迎えることから、第1、第2ターミナルの近代化改修や、滑走路や誘導路の再舗装工事、地下鉄の乗り入れ工事が行われた。2011年にはターミナル3の建設が開始された。 現在現在はオセアニア以外の全大陸と世界各都市を直行便で結ぶブラジルを代表する空港であり、ゴル航空やLATAM ブラジルをはじめとする複数のブラジルの航空会社のハブ空港でもあり、ブラジル各都市を相互に結ぶハブ空港の役割もある。ただし、ブラジル内各都市の行先や時刻によっては、連絡バスでサンパウロ市内にあるコンゴーニャス空港に行って乗り換える場合もある。 その役割からブラジルの全航空輸送量の30%をこの空港が担っているが、貨物便の多くは貨物施設が整っており、発着枠に余裕のあるヴィラコッポス国際空港に就航している。 2016年にリオデジャネイロで夏季オリンピックが開催された上に、今後のブラジル経済のさらなる成長に合わせ、旅客数や貨物需要の急増が見込まれることから、現在は第4ターミナルの建設が進められているほか、第3滑走路の建設も計画されている[注釈 2]。 名称公式名称公式名称は「Aeroporto Internacional de São Paulo/Guarulhos – Governador André Franco Montoro」(サン・パウロ/グアルーリョス – アンドレ・フランコ・モントーロ知事国際空港)であるが、一般的には所在地名の「グアルーリョス空港」や「クンビッカ空港」と呼ばれている。 コードサンパウロのIATA都市コードは「SAO」であるが、IATA空港コードはサンパウロの国内線専用空港であるコンゴーニャス空港の「CGH」と区別する為に「GRU」を使用している。 施設空港の敷地面積は1377haである。旅客ターミナルは3棟で、都心側から1、2、3の順に並んでいる。
就航路線貨物
就航都市国内線
国際線
アクセス空港アクセスはリムジンバス、タクシー、グアルーリョス市に行く市内バス、鉄道によるアクセスは整備されていなかったが、CPTMによる空港連絡鉄道が2018年3月31日に開通した。また、他にも各航空会社がサンパウロ市内にあるコンゴーニャス空港発着便に接続する乗客の為の無料シャトルバスを運行している。 空港からサンパウロ市街へ向かう際に通過する高速道路の一つに、かつて「トラバリャドーレス」(Rodovia dos Trabalhadores-正式名称:サンパウロ州道SP-070号線)という名称で呼ばれていた道路がある。しかし1994年のF1サンマリノGPでアイルトン・セナがレース中に事故死した後、セナの功績を称える為に現在は「アイルトン・セナ高速道路(Rodovia Ayrton Senna)」に名称変更された。 鉄道
リムジンバス
市内バス
タクシータクシーは2種類あり、前もってターミナル到着ロビー車寄せにあるカウンターで行先を告げて、あらかじめ決められた料金の切符を購入(アメリカン・エキスプレスやVISAなどのクレジットカード払いが可能)した後に乗車する「ラジオタクシー」と、通常通りのタクシーメーターによる後払いのタクシーがある。なお、ラジオタクシーには荷物が多い乗客向けのミニバンタイプやバンタイプも用意されている。 ホテル空港敷地内にホテルは無いものの、空港周辺にマリオットやベストウェスタンなど複数の国際チェーンの大規模ホテルが存在している。ただし、空港周辺には道路しかないため、どこに行くにも車による移動を要する。 事故
脚注注釈出典
関連項目外部リンク |