ババンババンバンバンパイア
『ババンババンバンバンパイア』は、奥嶋ひろまさによる日本の漫画作品。『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)にて、2021年11月号より連載されている[1]。通称は「バババ」[2]。銭湯で働く吸血鬼と銭湯の息子を描いた「BL(ブラッディ・ラブコメ)」[1][3]。コミックナタリーによると、「BL」を「ブラッディ・ラブコメ」と読む漫画は、前代未聞である[4]。 2024年2月、実写映画化とテレビアニメ化が発表された[5]。テレビアニメは2025年1月より放送中[6]。実写映画は当初2025年2月14日に公開予定だったが[7]、1月14日に公開延期が発表された[8][9]。 沿革2021年6月11日発売の『別冊少年チャンピオン』7月号にて、本作の原点となる読み切り「軍服さん〜吸血鬼と恋〜」を掲載[10][11]。同作は吸血鬼のコメディを描いた内容で[11]、作者の奥嶋の同誌初登場作品である[12]。同年8月12日発売の『別冊少年チャンピオン』9月号にて、本作の連載が告知される[13]。同年10月13日発売の同誌より、連載を開始[1]。 2022年、『川島・山内のマンガ沼』にて本作が取り上げられる[14]。 2023年、メディア化が発表される[15]。2024年2月29日のにんにくの日に、実写映画化とテレビアニメ化であることが明かされている[5]。 あらすじ吸血鬼の蘭丸はバンパイアハンターに追われ、瀕死の状態のところを幼い李仁に命を救ってもらってからというものの、10年近く、彼の家の老舗の銭湯・こいの湯で住みこみでアルバイトをしていた[16][17]。「18歳の童貞」の血を好む蘭丸は、李仁の貞操を守り、血を目あてにしていた[16][1]。しかし李仁は高校の入学式の日に、同じクラスの女子・葵に一目ぼれをしてしまう[16][18][19]。蘭丸は李仁の童貞喪失を阻止するよう、行動に出る[16]。 登場人物声の項はテレビアニメ版における声優。演の項は実写映画版の俳優。
作風作品について作者の奥嶋は古屋兎丸の作品が好きである[4]。バンパイア作品に出演している声優の堀江瞬は[15]、古屋の漫画が好きだが、絵と「バカな感じ」が古屋に通じるため、古屋の画風が好みであれば、本作は「刺さる」と話している[4]。バカなことを「絶妙なさじ加減で、計算されつくされ」ながら、真面目でシニカルに描かれている[4]。堀江によると、第1話の「18歳童貞」の場面で「このマンガ、絶対にくだらないな!」と思わせ、最高の掴みとなっており、男性キャラクターがイケメンのため、「イケメンたちのアホな戯れを眺めたい女性」や「バカさ加減」が男性に刺さる作品である[4]。 漫画ライターのちゃんめいによると[28]、「タイトルが近年稀に見るほど言いづらいことでも話題」となった作品である[20]。 オマージュについて堀江によると、漫画家のオマージュが登場し、ギャグの場面では楳図かずお風、『賭博黙示録カイジ』、『ガラスの仮面』、『あしたのジョー』など、「発見したときに喜びにつながる」ような「元がわかる小ネタ」が多く描かれている[4]。山崎まさよしの「One more time, One more chance」など歌詞のオマージュも登場し、「男のクソバカなノリを凝縮してる感じ」の作品となっている[4]。 奥嶋はハロルド作石のファンである[23]。奥嶋によると、ハロルドは藤子不二雄やつのだじろうのパロディをしているため、本作もパロディが登場している[23]。 蘭丸について堀江瞬によると、蘭丸は悲劇を「度外視してもありあまるカッコよさ」でありつつ、思春期の男子のような気持ち悪さが混在しているキャラクターである[4]。 ちゃんめいによると「吸血鬼らしい眉目秀麗なビジュアル」であるが、「分かりやすい性格」でミステリアスさが皆無なキャラクターである[20]。 制作背景構想作者の奥嶋は『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』を見た際、「吸血鬼=美しい男性」というイメージを抱いた[23]。奥嶋自身が「イケメンや美しい男性を描くのが好き」だったため、いつか吸血鬼のネタをやりたいと考えていた[23]。当初は吸血鬼の要素のみでネームを出したが、当時の女性担当編集者から軍服が好きな女性が結構いると教わり、それなら軍服推しでいこうと考え、「軍服さん〜吸血鬼と恋〜」が制作されている[23]。後に見返すと、読み切りでは「キャラクターのビジュアルが少し幼すぎた」と奥嶋は話している[23]。 奥嶋は「昭和の古き良き家族風景」のような「家族団欒のシーン」を好むため、会話の場面ではそれを意識して描いている[23]。蘭丸の台詞については、Twitterでの腐女子やBTSが好きな妻など、「推しがいる人の情熱」を参考にしている[23]。 設定など『ババンババンバンバンパイア』では、恋愛相手が15歳であるため、年齢差をつけるよう「あえて大人っぽく」蘭丸を描いている[23]。設定については、「ラブコメとしての一面」を描きたいと思い、「高校の3年間があれば青春や恋愛の話ができる」ため、この年代にし、「吸血鬼は処女の血を好む」イメージを「男に置き換えたら童貞」だと考え、「18歳童貞の血」という設定となっている[23]。童貞のモデルは10歳の息子と昔の奥嶋で、高校時代はアホだったと思い出しながら描いている[23]。 「思っていたものと実際では全く違う」となるように、意図的に人物相関図がぐちゃぐちゃになるようにしている[23]。奥嶋がこの手法を行うのは、本作が初である[23]。ラブコメは「くっついたら終わり」だと奥嶋は考えているため、どうにかくっつけさせないように意識して制作している[23]。『うる星やつら』などの高橋留美子作品や、矢沢あいの『ご近所物語』のキャラクター配置などをラブコメの参考にしている[23]。 少年誌初のBL本作は少年誌初のBL作品である[23]。同誌ではそれ以前に「同性愛を取り扱った作品」が存在していたため、編集部ではBL自体がNGだという意見はなかった[29]。しかし『別冊少年チャンピオン』は少年誌であるため、「ボーイズ・ラブ」とはっきりと表現すると、「読者の間口が狭くなってしまう」と担当編集者は懸念していた[23]。だが「少年誌初のBLマンガができるという期待」から「BL」という言葉を残したいと考え、駄洒落から「吸血鬼が出てくるからBはブラッディで、Lはラブコメ」として、「ブラッディ・ラブコメ」と担当編集者により名称がつけられている[23][4]。奥嶋は過去に『アキラNo.2』を連載していた際、読者の8割が女性であり、同作がBLだという感想をTwitter上で目にし、ボーイズラブというジャンルを知った[29]。『カチCOMI』(秋田書店)で『同棲ヤンキー赤松セブン』というボーイズラブの連載を開始した際に「すでに僕のふだん描いてる漫画はBL好きな方に需要がある」と考えていたため抵抗がなく、「むしろ新しいジャンルで面白そう」と考えていた奥嶋は、少年誌でのBLの執筆は挑戦的であるが、「少年誌だからという葛藤や苦労は全くなかった」が、「『2gether』を描いた経験は大きかった」と話している[29][23][29]。ボーイズ・ラブの観点からすると、必然的に葵は邪魔な存在となるため、読者に嫌われないよう意識している[23]。 反響・評価読み切り「軍服さん〜吸血鬼と恋〜」を雑誌に掲載した際の反響については不明だが、奥嶋がTwitterに掲載した際には1万いいねくらいの反響があり、よいコメントがつくなど、読者から反応があった[23]。本作の第1話はTwitter上で8万以上のいいねを得ており、BLファンから反響があった[29]。 麒麟の川島明は、本作を「めちゃくちゃ絵が上手い」といい、面白いと評している[17]。 聖地本作の舞台である「こいの湯」は[30]、東京都練馬区石神井台にある「たつの湯」がモデルである[31]。三助がいる銭湯として描かれている[4]。奥嶋の過去作『入浴ヤンキース』でも「たつの湯」が登場している[23]。当時の担当編集者が「銭湯とヤンキー」という提案をし、ノリで同作を銭湯を舞台としたが、実際に取材を行っていた[23]。同作ではページの都合により裏側を描けなかったが、当時の取材を活かすため、本作の舞台が銭湯となっている[23]。奥嶋は「銭湯自体もひとつのキャラクターになってくれたらいい」と考えている[32]。 「たつの湯」は、昔は銭湯の裏側にある居住スペースに人が住んでいた[23]。「たつの湯」は宮造りだが、宮造りは全体的に薄暗いため、「ここに吸血鬼を住まわせたら」という点から着想されている[23]。 コラボレート・イベントなど2022年11月11日発売の『別冊少年チャンピオン』12月号にて、盆ノ木至の『吸血鬼すぐ死ぬ』とコラボレートし、描きおろしイラストを使用したクリアスタンドが付属している[33]。 2023年7月7日から23日まで、単行本第5巻の発売を記念したフェアを東京都のbaseyard tokyoにて開催[3]。複製原画や等身大パネルの展示などが行われた[3]。 書誌情報
テレビアニメ2025年1月よりテレビ朝日系列『IMAnimation』枠ほかにて放送中[27]。 スタッフ(テレビアニメ)
主題歌
各話リスト
放送局
インターネットでは、2025年1月12日よりNetflixにて独占配信[27]。
実写映画
主演は吉沢亮[7]。当初は2025年2月14日の公開を予定していたが[5][7]、諸般の事情により公開延期になることが同年1月14日に発表された[8][9]。同日、吉沢と所属事務所は、前年末に起こした自宅マンション隣室への無断侵入について公式サイトで謝罪コメントを発表していた[8]。また、これに伴って同月21日に開催を予定していた完成披露試写会も中止となった[9]。 キャスト(実写映画)→詳細は「§ 登場人物」を参照
スタッフ(実写映画)
脚注注釈出典
参考文献
外部リンク
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