メジャーリーグベースボールのポストシーズンメジャーリーグベースボールのポストシーズンは、レギュラーシーズンの終了後の10月に開催されており、最終的にアメリカンリーグ(AL) とナショナルリーグ(NL)の優勝チームがワールドシリーズで対戦してチャンピオンを決定する。 概要2022年シーズン以降は、10月にアメリカンリーグとナショナルリーグそれぞれ6チームずつ、合計12チームがプレーオフへ進出する。レギュラーシーズンにおいて東地区、中地区、西地区で1位の成績で地区優勝した3チームと、ワイルドカードの3チームが進出する。ワイルドカードは地区優勝を除いたリーグ12チームの内で、最も勝率の高い3つのチームに与えられる。地区優勝チームを勝率順に第1、第2、第3シード、ワイルドカードも勝率順に第4、第5、第6シードとする。レギュラーシーズン終了後にポストシーズンは「ワイルドカードシリーズ」→「ディビジョンシリーズ」→「リーグチャンピオンシップシリーズ」→「ワールドシリーズ」と進行する。 ワイルドカードシリーズは各リーグ2カードが組まれ、第3シードと第6シード、第4シードと第5シードがそれぞれ対戦する。試合は3回戦制で行われ、先に2勝したチームがディビジョンシリーズへ進出する。すべてシード順の高いチームの本拠地で行われる。 ディビジョンシリーズ(地区シリーズ)は両リーグ2カードずつ組まれる。ワイルドカードゲーム第4シード対第5シードの勝者と第1シード、ワイルドカードゲーム第3シード対第6シードの勝者と第2シードがそれぞれ対戦する。試合は最大5回戦の予定で行われ、先に3勝した勝者2チームがリーグチャンピオンシップシリーズへ進むことになる。 リーグチャンピオンシップシリーズ(リーグ優勝決定シリーズ)は7回戦制で行われ、先に4勝したチームが出た時点でリーグ優勝となり、ワールドシリーズへの出場権を獲得する。 ワールドシリーズはアメリカンリーグ、ナショナルリーグの優勝チームが対戦する。7回戦制で行われ、4勝したチームがワールドシリーズチャンピオンとなる。1903年・1919年・1920年・1921年は9戦5勝制で行われている。指名打者制度は1976年から偶数年のみ全試合で採用、1986年から2021年まではアメリカンリーグ本拠地のみ採用、2020年と2022年以降は全試合で採用となっている。 原則、8月31日時点で当該チームの40人枠または60日ILに登録されている選手にポストシーズン出場資格があり[1]、9月以降に加入した選手をポストシーズンのアクティブ・ロースターに登録することはできない。 タイブレーカーワイルドカードチーム・地区優勝・シード順の決定にあたり、複数チームが同一勝率で並んでいる場合は下記成績を順に比較し、上位チームを決定する[2]。
歴史1902年以前→詳細は「ワールドシリーズ § 19世紀の優勝決定戦」を参照
メジャーリーグベースボール初の年間王者決定シリーズは1884年に実施された。ナショナルリーグと当時あったアメリカン・アソシエーションの各優勝チーム同士で行われ、1890年まで続いた。 アメリカン・アソシエーション解体後も、1892年には2シーズン制、1894年から1897年まではテンプル・カップ(Temple Cup)、1900年にはクロニクル=テレグラフ・カップ(Chronicle-Telegraph Cup)が開催された。 1903-1968年の1ラウンド制1903年にメジャーリーグベースボールの2つのリーグ、アメリカンリーグとナショナルリーグは第1回ワールドシリーズを開催している。しかし、翌1904年にナショナルリーグ優勝チームのニューヨーク・ジャイアンツがアメリカンリーグ優勝チームのボストン・アメリカンズとの対戦を拒否したために第2回ワールドシリーズは中止となった。ジャイアンツへの批判が集中したために1905年以降は毎年ワールドシリーズが開催されることになった。この時代はナショナルリーグに限り同率首位が出た場合は3戦2勝制の優勝決定戦を行っていた(アメリカンリーグは現行と同じ1試合決着)。 1969-1993年の2ラウンド制
1969年には、両リーグ共に12チーム(全24球団)にまで拡大した。この拡張に伴い、各球団のフランチャイズの地理的条件に基づいて地区制を導入し、両リーグともに東西6球団ずつに分かれた。これにより、前年までの公式戦優勝がそのままワールドシリーズ出場権を得る形ではなくなり、東西両地区の優勝チームがリーグ制覇を決めるリーグチャンピオンシップシリーズが導入され、プレーオフ制度が成立した。当初は5戦3勝制で行われていた。またこれに伴いナショナルリーグは同率首位が出た場合のプレーオフを1試合決着に変更した。ニューヨーク・メッツは1962年の創設以来、最高9位の弱小球団だったが、この1969年に驚異的な快進撃を見せて地区優勝。リーグチャンピオンシップシリーズでもアトランタ・ブレーブスに3連勝、ワールドシリーズでもボルチモア・オリオールズを4勝1敗で下し、その奇跡的な勝利からミラクル・メッツと呼ばれた。1981年は50日間に及ぶストライキでシーズンが長期中断したために、前期と後期の最高勝率チームによる地区優勝決定シリーズを戦い、その後にリーグチャンピオンシップシリーズを行った。 1985年からはリーグチャンピオンシップシリーズもワールドシリーズと同じ7戦4勝制に移行した。ピーター・ユベロスコミッショナーがテレビの放映権収入を増やすことを目的として変更したものであった。この年のカンザスシティ・ロイヤルズが早くも新システムの恩恵を享受した。リーグチャンピオンシップシリーズでトロント・ブルージェイズに4試合で1勝3敗と苦戦しており、前年のシステムであればこの時点で敗退していた。ここから一気に3連勝してリーグ制覇。ワールドシリーズでもセントルイス・カージナルスに1勝3敗から3連勝でワールドシリーズチャンピオンに輝いた。 1994-2011年の3ラウンド制(下記トーナメント表は基本形(1998-2011年)。1994-1997年及びワイルドカードと地区1位中の勝率1位が同じ地区の場合は組み合わせが変わる。後述)
人気低迷や選手の年俸高騰によって財政難に陥るチームが出てきた。1993年には2球団増えて両リーグ共に14球団(全28球団)になっており、シーズン終盤戦の観客動員数やテレビ放映権料の増大を目的として1994年から両リーグともに従来の東部・西部の2地区制から東部・中部・西部の3地区制に再編された。それに伴い、NFLを参考にして3つの地区優勝チームのみではなく、3地区の2位のうち最も勝率の高いチーム(ワイルドカード)も含めたディビジョンシリーズ(地区シリーズ)が新たに導入された。勝率1位のチームがワイルドカードと、勝率2位のチームと勝率3位のチームが5回戦制を行うものだが、最高勝率チームとワイルドカードが同一地区の場合に限り、勝率2位のチームがワイルドカードと対戦するようになっていた。このディビジョンシリーズの勝者2チームがリーグ優勝を決める7戦4勝制のリーグチャンピオンシップシリーズへ進出する。尚1994-1997年は勝率順位は考慮されず、「勝率1位対勝率2位、勝率3位対ワイルドカード」の組み合わせになることもあった。 導入初年は、この年に発生した232日間に及ぶ長期ストライキの影響でワールドシリーズ含めてポストシーズンゲームは行われなかった。1997年にフロリダ・マーリンズはこのワイルドカードでディビジョンシリーズへの進出を果たし、ディビジョンシリーズとリーグチャンピオンシップシリーズを勝ち進み、ワールドシリーズでクリーブランド・インディアンスを4勝3敗で下して球団創設からわずか5年でワールドシリーズチャンピオンに輝いた。一方で、1996年のナショナルリーグ西地区におけるロサンゼルス・ドジャースとサンディエゴ・パドレスのように、リーグ史上88年ぶりに最終日に優勝を決める直接対決になったが、既に両チームとも勝敗関係無しにディビジョンシリーズへの進出が決まっていたので、緊張感の欠ける試合展開になってしまうというマイナス面もあった。 2012-2021年の4ラウンド制2020年の特例については後述。
バド・セリグコミッショナーが2011年11月に2年以内に新たなプレーオフシステムを開始すると発表した。このシステムは翌2012年シーズンから1試合限りのワイルドカードゲーム形式で導入された。プレーオフ進出チームを各リーグ5チームに拡大し、レギュラーシーズン終了後に地区優勝チーム3チームを除いた各リーグ12チームの中で勝利数の上位2チームが1試合限りのワイルドカードゲームを行う。その勝者がディビジョンシリーズに進出する。以降は1994-2011年のシステムと同じだが、ワイルドカードと地区1位中の勝率1位が同じ地区であっても組み分けは変更されない。 2022年以降
2022年からは枠が拡大され、各リーグの地区優勝3球団とワイルドカード3球団(各リーグの地区優勝球団以外の勝率上位3球団)、合計12球団が対象になる。地区優勝した球団で各リーグの勝率上位2球団は自動的に地区シリーズ進出決定。残りの4球団でワイルドカードシリーズ(3試合制)を行い、上位シード球団が全試合ホームで開催する。地区優勝球団のうち勝率3位の球団はワイルドカード球団の勝率3位の球団と当たる[3][4]。この勝者は勝率が2位の地区優勝球団とディビジョンシリーズであたる。ワイルドカードのうち勝率1位と2位の球団が対戦し、勝者は勝率が1位の地区優勝球団とあたる。 ホームフィールド・アドバンテージワイルドカードシリーズ当該2チームのうちシード順の高いチームのホーム開催で行う。 ディビジョンシリーズ当初(1995年~1997年(本来の予定では1994年から))は、ホームアドバンテージを得られる地区が交代で入れ替わる形だった。(ワイルドカードチームは得られない) 1995年:ナショナルリーグ中地区・東地区、アメリカンリーグ西地区・東地区 5戦3勝制で、上記の地区で第3,4,5戦、他方で第1,2戦を行った。 ワイルドカードは上記の地区のどちらかである場合は同じ地区で当たらないように組まれ、 そうでない場合はホームアドバンテージを得たチームのうち勝率が高い方とワイルドカードが当たるように組まれた。 1998年以降は、地区優勝チームのうち勝率1位・2位がホームアドバンテージを得る。 ホームアドバンテージを得たチームの本拠地で第1,2,5戦、他方で第3,4戦を行う(ホームアドバンテージを得たチームが開幕権も得るようになった)。 ただし2012年のみ、ワイルドカードゲームの新設が日程発表後に決定したため、その分移動日を少なくするために、 ホームアドバンテージを得たチームの本拠地で第3,4,5戦、他方で第1,2戦を行った。 2021年まではワイルドカードは勝率1位と組まれるが、ワイルドカードが1枠のみであった2011年までは、同じ地区である場合は勝率2位と組まれた。 2022年からはワイルドカードゲーム勝者のうち、第4,5シード(ワイルドカードのうち勝率1位と2位)が勝率1位と組まれる。 リーグチャンピオンシップシリーズ東西地区の優勝チームで行った1969年~1993年は、ホームアドバンテージを得られる地区が隔年で入れ替わる形だった。 1984年までは5戦3勝制で、奇数年はナショナルリーグは東地区、アメリカンリーグは西地区で第3,4,5戦、他方で第1,2戦を行った。 ディビジョンシリーズの勝者同士で行うようになった当初(1995年~1997年(本来の予定では1994年から))は、ホームアドバンテージを得られる地区が交代で入れ替わる形だった(ワイルドカードチームは得られない)。 ただし、その地区優勝チームがディビジョンシリーズで敗れた場合、勝った相手がホームアドバンテージを得る。(そのチームがワイルドカードチームである場合はこの場合も得られず、相手チームに移る) 1995年:ナショナルリーグ中地区、アメリカンリーグ西地区 7戦4勝制で、ホームアドバンテージを得たチームの本拠地で第1,2,6,7戦、他方で第3,4,5戦を行う。 1998年以降は、勝率が高いチームがホームアドバンテージを得るように変更された(地区優勝チームとワイルドカードチームの対戦の場合は必ず地区優勝チームが得る)。 ワールドシリーズ1924年まではホームアドバンテージは抽選や裁量で決め、ホームアドバンテージを得た方が何戦目をホームで行うかも、毎回取り決めて行っていた。 1925年からは、奇数年はナショナルリーグ、偶数年はアメリカンリーグがホームアドバンテージを得るように決められ、 7戦4勝制で、ホームアドバンテージを得たチームの本拠地で第1,2,6,7戦、他方で第3,4,5戦を行う。 その後、1935年に前年と同じくアメリカンリーグがホームアドバンテージを得てからは、 奇数年はアメリカンリーグ、偶数年はナショナルリーグがホームアドバンテージを得るように変更されたが、 1994年のポストシーズンが中止になったことで、再び奇数年はナショナルリーグ、偶数年はアメリカンリーグがホームアドバンテージを得るように変更された。 2003年からは、その年のオールスターゲームの勝利リーグがホームアドバンテージを得るように変更された。 2017年からは、レギュラーシーズンの勝率の高いチームがホームアドバンテージを得るように変更された。 リーグチャンピオンシップシリーズまでとは異なり、地区優勝であるかワイルドカードであるかどうかは関係なく、勝率のみで決定される。 2020年度シーズンの特例新型コロナウィルス感染拡大防止対策を理由として、
脚注
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