リンプ・ビズキット (Limp Bizkit )は、アメリカ合衆国 のニューメタル/ラップメタル・バンド。
来歴
ジャクソンビルにライヴに来ていたコーン のメンバーに、入れ墨 を彫りに来たフレッドがデモを渡し、それがきっかけでデビューすることになったというのは有名な逸話だが、これは誤り。実際は、フレッドがいつの間にかコーンのツアーバスにリンプのデモテープを放り込み、そのデモを気に入ったメンバーがパーティーに呼び、デビューが決まった。そこで酔ったフレッドがコーンのギタリストの背中にタトゥーを彫ったという。KoЯnと彫ったつもりが酔っていたせいでKeЯnと綴りを間違えた。
2003年 - 4作目のアルバム『リゾルツ・メイ・ヴァリー 』(Results May Vary )を発売。全米初登場3位。リンプらしくないと批判を浴びる。一部のライヴでは観客からブーイングが巻き起こる。このアルバムのみバンドロゴをlimpbizkit としている。
2004年 - 公式サイトにて、ウェスの復帰が伝えられる。
2006年 - ウェスが再脱退。それにともないバンド活動を一時休止。
2009年 - Download Festival のオーガナイザーが、「ウェス・ボーランドはLimp Bizkitに戻ったのか?」という質問に対し、「Yes、100パーセント。」というコメントをしている。
ウェスの復帰が正式に発表され、同年、"Rock Am Ring"や"Rock Im Park"などでライヴ活動を再開。SUMMER SONIC 09にも出演。
2012年 - 新たにキャッシュ・マネー・レコード と契約を交わす。ところが、フレッドとジョン、DJ リーサルとの間でドラッグ・アルコールをめぐる問題で口論となり、DJ リーサルが急遽脱退。一度は復帰したいことをほのめかしていたが、結局バンドから解雇された。
バンド名の由来
「マリファナを吸い、オーバーヒートしラリラリのクレイジーになっている」とあるローディーのオツムの状態を表した
(three dollar bill, y'all$ のライナーノーツによる)というエピソードと絡めて「limp biscuit」(マリファナ入りのビスケットを指す)というスラングを捩り、名付けられた。バンド名の後半部分が'Biscuit' → 'Biskit' → 'Bizkit'、というようにスペルが捻られているが、「リンプ・ビスケット」もしくは「リンプ・ビスキット」というものが英米圏での発音により近いカタカナ表記である。しかし、レコード販売元であるUNIVERSAL MUSIC JAPANをはじめ、日本国内での各種メディアにおけるカタカナでのバンド名表記は「リンプ・ビズキット」となっている。
音楽性
ジャンルとしてはヘヴィメタル とヒップホップ を融合したラップメタル に分類される。フレッドの甲高いMCと、ウェスの奏でる変態的ともいえる独特のギター・サウンドが持ち味である。
また、1980~90年代のポップス・ロックにもこだわっているようで、これまでにジョージ・マイケル の「フェイス」にザ・フー 「ビハインド・ブルー・アイズ」、モトリー・クルー 「ホーム・スウィート・ホーム」、ザ・ヴァーヴ 「ビタースウィート・シンフォニー」の3曲のカヴァー曲(「ホーム・スウィート・ホーム」と「ビタースウィート・シンフォニー」は、1曲にまとめてカヴァー)をアルバムに収録。ライブでも、ニルヴァーナ の「ユー・ノウ・ユーアー・ライト」やハウス・オブ・ペイン の「ジャンプ・アラウンド」なども披露している。
ブラック・フラッグのヘンリー・ロリンズ は「俺が17歳だったら、最高に好きなバンドだった。」と語っている。しかしアンチ派もおり、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン のザック・デ・ラ・ロッチャ は「僕たちが積み上げたヘヴィロックの歴史はリンプ・ビズキットが700万枚売り上げた日に崩れ去った」と発言するなどして、嫌悪している。さらに同じくレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのティム・コマーフォード は、「あんなくだらないバンドに影響を与えてしまい申し訳ない」と語り、さらにリンプが2000年にMTV ミュージック・ビデオ・アワードを受賞したことに抗議し、授賞式会場の照明の梯子に登り授賞式を妨害する行動に出た。ほかにトゥール /ア・パーフェクト・サークル のメイナード、スリップノット /ストーン・サワー のコリィ・テイラー 、ヘッド PE のジャレッド、マリリン・マンソン などがリンプを名指しで批判するなど、敵は多い。とはいえ、スリップノット主催のフェスKnotfest JAPAN 2014 の出演が決まっていることなどを考慮すると現在は少なからず認められてる様である。しかし日本でも賛非ははっきりと分かれ、2011年のLOUD PARK ではヘッドライナーを務めたが、演奏中に半数以上の観客が会場を後にしてしまった。残った観客も彼らにブーイングを浴びせるなど、フェス全体を盛り下げてしまう結果となってしまった。
中でも最も有名なのがエミネム (Eminem)との抗争で、もともとは同じレーベルに所属し共にツアーを回るなど友好な関係(リンプの楽曲ブレイク・スタッフのミュージック・ビデオにはエミネムが出演している)であったが、DJリーサルの元バンドメイトのエヴァーラスト(Everlast)とエミネムのDJとが争った際に、DJリーサルがエヴァーラストを擁護したことで関係が悪化、エミネムが自身の楽曲ウィザウト・ミーの中でリンプを批判するなど、絶縁状態となったが、現在は和解した模様。
ただ、そうしたアーティスト達の中にも、リンプ・ビズキットのパフォーマンス(特にウェス・ボーランド)を評価する人は多い。
メンバー
ウェス・ボーランド
元タトゥ デザイナーで、海軍に在籍していたこともある。インタースコープ社の副社長で、自身のレーベル「フローレス・レコード」の経営者でもある。バンドのビデオの殆どで監督を務めている。恋人との性行為を納めたビデオが流出してしまった。赤い野球帽がトレードマークだが、近年は銀色のカツラを被っている時もある。
米ヴァージニア州 出身。独特のギター・リフと数々の奇抜な全身メイクで観客を熱狂させる、メタル界屈指のギタリスト。結成当初からのメンバーだが、2001年に脱退し、2004年に復帰。2006年に再脱退し(ブラック・ライト・バーンズへ加入)、2009年に再び復帰した。フロント・マンを務めるBig Dumb Face 、Eat The Day、Black Light Burns やマリリン・マンソン で活動していた。2008年 3月30日 に東京ドーム で行われたX JAPAN の復活ライブ「攻撃再開 2008 I.V.〜破滅に向かって〜 」に、ガンズ・アンド・ローゼス のリチャード・フォータス と共にゲスト出演した。大のウサギ好きで、常にペットとして生活を共にするほどである。趣味で油絵 も描き、いくつかの作品のジャケットアート を手掛けている。私生活では結婚と離婚を繰り返している。
フレッドの旧友。フレッドと共にリンプ・ビズキットを結成した張本人でもある。過度の飲酒により2011年に肝臓病 を患い2015年に脱退、肝臓移植手術を受けた後2018年に復帰した。スキンヘッド がトレードマーク。
リヴァースの従兄弟で元ジャズ・ドラマー。「真実への逃避」にはドラッグ 問題により1曲のみの参加となっており、彼が解雇されている映像が収録されている。現在は完治し、バンドに完全復帰している。
元ハウス・オブ・ペイン (House Of Pain)のサウンド・クリエイター。出番がない時は盛り上げ役も担う。素行不良により2012年に解雇されたが2018年に復帰している。
旧メンバー
元スノット(Snot)のギタリスト。ボーランド脱退後のアルバム第4作目の製作とそれに伴うツアーに参加。
ツアーサポート
Korn のギタリスト。2003年に参加。
フランコ・カリーノ(Franko Carino):ターンテーブル
2013-2017年に参加。
サミュエル・G・ムプング(Samuel G Mpungu):ベース
2015-2017年に参加。
ツヅミ・オカイ(Tsuzumi Okai):ベース
四人囃子 のドラム岡井大二 の姪。2018年から参加。
タイムライン
ディスコグラフィ
アルバム
年
タイトル
アルバム詳細
チャート最高位
認定
US
AUS
AUT
CAN
FRA
GER
NLD
NZ
SWI
UK
1997
Three Dollar Bill, Y'all$
22
32
—
29
—
—
—
37
—
50
1999
Significant Other
発売日: 1999年6月22日
レーベル: Flip, Interscope
フォーマット: CD, cassette, LP, digital download
全米売上: 700万枚
1
5
7
1
70
13
11
4
38
10
US: 7× プラチナ
AUS: 2× プラチナ
AUT: プラチナ
CAN: 6× プラチナ
NLD: プラチナ
NZ: 2× プラチナ
SWI: プラチナ
UK: プラチナ
2000
Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water
発売日: 2000年10月17日
レーベル: Flip, Interscope
フォーマット: CD, cassette, LP, digital download
全米売上: 800万枚
1
1
1
1
7
1
1
1
4
1
US: 6× プラチナ
AUS: 4× プラチナ
AUT: プラチナ
CAN: 6× プラチナ
GER: 2× プラチナ
NLD: プラチナ
NZ: 5× プラチナ
SWI: プラチナ
UK: 2× プラチナ
2003
Results May Vary
発売日: 2003年9月23日
レーベル: Flip, Interscope
フォーマット: CD, LP, digital download
全米売上: 150万枚
3
2
1
3
19
1
11
2
6
7
US: プラチナ
AUS: 2× プラチナ
AUT: ゴールド
CAN: 3× プラチナ
GER: 2× プラチナ
NLD: プラチナ
NZ: 2× プラチナ
SWI: ゴールド
UK: プラチナ
2005
The Unquestionable Truth: Part 1
発売日: 2005年5月3日
レーベル: Flip, Interscope
フォーマット: CD, digital download
全米売上: 40万枚
24
50
17
—
67
4
85
—
8
71
CAN: ゴールド
GER: ゴールド
NLD: ゴールド
SWI: ゴールド
2011
Gold Cobra
発売日: 2011年6月28日
レーベル: Flip, Interscope
フォーマット: CD, digital download
全米売上: 25万枚
16
12
2
13
39
1
23
36
2
30
AUS: ゴールド
AUT: ゴールド
CAN: ゴールド
GER: ゴールド
NLD: ゴールド
RUS: ゴールド
SWI: ゴールド
2021
Still Sucks
発売日: 2021年10月31日
レーベル: Suretone
フォーマット: digital download, streaming
155
—
—
—
—
—
—
—
—
79
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。
シングル
年
曲名
備考
収録アルバム
1997
Counterfeit
スリー・ダラー・ビル、ヤ・オール$
1998
Sour
Faith
ジョージ・マイケル のカヴァー
1999
Nookie
シグニフィカント・アザー
Re-Arranged
N 2 Gether Now
feat.メソッド・マン
2000
Break Stuff
Take A Look Around
映画「ミッション:インポッシブル2 」のテーマ曲
チョコレート・スターフィッシュ・アンド・ザ・ホット・ドッグ・フレイヴァード・ウォーター
My Generation
Rollin' (Air Raid Vehicle)
WWE のレスラージ・アンダーテイカー の入場曲
2001
My Way
WWEレッスルマニア17 のテーマ曲
Boiler
2003
Eat You Alive
リゾルツ・メイ・ヴァリー
Behind Blue Eyes
ザ・フー のカヴァー・映画「ゴシカ 」のエンディングテーマ曲
Red Light-Green Light
feat.スヌープ・ドッグ
2004
Almost Over
Build A Bridge
WWEサバイバー・シリーズ2003 のテーマ曲
2005
The Truth
「真実への逃避」~ジ・アンクエスチョナブル・トゥルース (第一幕)
Home Sweet Home/Bittersweet Symphony
モトリー・クルー /ザ・ヴァーヴ のカヴァーミックス
グレイテスト・ヒッツ
2011
Shotgun
ゴールド・コブラ
Gold Cobra
2013
Ready To Go
feat.リル・ウェイン
スタンピード・オブ・ザ・ディスコ・エレファンツ
Thieves
ミニストリー のカヴァー
2014
Endless Slaughter
年
曲名
備考
収録アルバム
1999
Crushed
「エンド・オブ・デイズ」挿入曲
「エンド・オブ・デイズ 」サウンドトラック
2003
Crack Addict
WWEレッスルマニア19 のテーマ曲
アルバム未収録
出典
外部リンク