平成27年台風第15号
平成27年台風第15号(へいせい27ねんたいふうだい15ごう、アジア名:Goni、命名:韓国、意味:白鳥[1]、フィリピン名:Ineng)は2015年(平成27年)8月15日に発生した台風。 概要8月12日に発生した熱帯擾乱が次第に発達し、14日には合同台風警報センター(JTWC)が熱帯低気圧番号16Wを割り当てた。16Wは15日3時(協定世界時14日18時)にマリアナ諸島の北緯13度、東経148.2度で台風となり[2][3]、アジア名コーニー(Goni)と命名された[4][5]。なお、同時刻に15号の東方で16号が発生している[6]。 当初、中心気圧1000ヘクトパスカル程度であった台風は日本の南の海上を西進しながら次第に勢力を増し、16日15時(協定世界時16日6時)からの24時間で中心気圧を45ヘクトパスカル低下させて935ヘクトパスカルの勢力となり[4]、18日午前にフィリピンの監視領域に達したため、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)によってフィリピン名イネン(Ineng)と命名された[7]。フィリピン海を西進した台風は非常に強い勢力を維持したまま20日にルソン島へと接近[8]。21日夜にはフィリピンの東の海上で一時停滞したが[9]、その後進路を北寄りに変えて22日には沖縄の南海上を進み、先島諸島に接近[10]。23日には雲の形がやや崩れ、強い勢力に弱まったが、24日には東シナ海上で再発達、眼がはっきりとした、勢力の非常に強い状態になり[11]、19時頃、眼は西表島上空を通過したものと見られる[12]。23日夜には石垣島で最大瞬間風速の記録を更新した[13][14]。南西諸島各島を暴風域に巻き込みながら東シナ海を北東に進み、25日の4時過ぎに鹿児島県阿久根市付近を通過し、25日5時過ぎに熊本県宇城市付近を通過し[15]、6時過ぎに同県荒尾市付近に上陸した[16][17]。その後も九州や中国、四国の一部などを暴風域に巻き込みながら九州北部を縦断し、25日昼前に日本海へ抜けた。その後21時に(協定世界時25日12時)に北緯36.5度、東経132.3度で温帯低気圧に変わった[3][18]。 影響フィリピン台風の接近に備えて19日朝には各政府機関が対応を開始[19]、台風の接近した20日夕方にはルソン島北部に位置するカガヤン州のバブヤン諸島やバタネス州のバタン諸島などにシグナル3、カガヤン州の他の地域とイサベラ州北部、カリンガ州、アパヤオ州、アブラ州、イロコス・ノルテ州にシグナル2、イサベラ州の他の地域とアウロラ州北部、キリノ州、ヌエヴァ・エシハ州、イフガオ州、マウンテン州、ベンゲット州、ラウニオン州、イロコス・スル州にシグナル1の暴風雨警報 (PSWS)が発令された[20]。 9月5日までの集計で洪水129ヶ所と河川の越流25ヶ所、治水施設への被害15ヶ所、地滑り・崖崩れ13ヶ所、建造物の損壊10ヶ所などのほか、死者33名、負傷者24名、行方不明7名、家屋の損壊5,742棟が確認されており、約318,000人が避難した[21]。なお、9月5日時点で判明している被害額はインフラや農業・水産業などで約41億フィリピンペソ(約100億円[22])となっている[21]。 台湾20日午後に中央気象局が台湾南東の海域とバシー海峡を対象として海上台風警報を発令した[23] 日本20日以降、沖縄本島と離島との間を結ぶ船便が欠航[24]、複数の航空便も欠航した。先島諸島に接近した23日、21時16分に石垣市登野城で南南西の風71.0メートルを観測し、これまでの最大瞬間風速の記録を更新した[13][14]。また、25日には熊本県の熊本城で旧細川刑部邸の長塀が約70メートルにわたって大きく倒壊した[25]。 三重県から熊本県までの7県で約245,000人に避難指示、約528,000人に避難勧告が出された[26]。なお確認されている被害は死者1名、重軽傷者147名、家屋の全半壊140棟、一部破損3555棟、床上・床下浸水397棟。非住家の被害1406棟[26]。また農林水産関係への被害額は9月4日15時までの集計で約67億円となっている[27]。 記録降水量については8月22日0時から26日24時までのアメダス観測値[27]。台風から遠く離れた三重県や奈良県などで大雨となり、三重県の宮川や尾鷲では24時間降水量が500ミリを越えた[27]。風は台風の進路に近い九州・沖縄で強くなり、最大瞬間風速の上位10位まではすべて沖縄県で観測された[27]。 1時間降水量
24時間降水量
期間降水量
最大風速
最大瞬間風速
脚注
外部リンク |