折笠愛
折笠 愛(おりかさ あい、本名:折笠 きく江(おりかさ きくえ)[1][2][3]、1963年12月12日[7][12] - )は、日本の声優、女優、歌手。東京都足立区北千住出身、千葉県四街道市育ち[6]。アクセルワン所属[9]。 来歴生い立ち1963年12月12日に[7]、東京都で誕生。喘息持ちであり、「空気のきれいなところが良い」という理由で東京都足立区北千住から祖父が住んでいた千葉県四街道市で育つ[6]。三大続いた江戸っ子の家系で[10]、祖父は校長だったため、厳格な家庭に育つ[13]。祖母も教員だった[14]。 小学2年生の時に家族で劇団民藝の『夕鶴』を観て感銘を受けたのが演劇を意識した初めである[14][15]。子供の時から人と喋ることが苦手で引っ込み思案だったが、小学2年生の時の学芸会の創作劇の主役のウグイスの役を演じ、舞台女優を志す[3][6][16]。その時の芝居で体育館の中でライトに照らされ、皆が演者を見てくれて、たくさんの拍手をもらい、その快感が芝居のルーツで子供ながらに強く感じ、その芝居をきっかけに窮屈だったが、開放できたのだと語る[14][16]。芝居の中で「生きられる自分」というものに魅力を感じ、芝居だと思い、その後は「お芝居をやりたい、舞台に立ちたい」という方向性で生きているという[16]。それ以来芝居の影響で、国語の予習をし始めたりしたため、成績も少し良くなり、勉強もするようになったという[16]。中学、高校時代は演劇部に所属しており、部長を務めた[6]。共学だったが、男性が一人もいない演劇部で男役も女性が演じるため、少し気持ちが悪かったという[16]。中学時代は掛け持ちでコーラス部、高校時代はリボンフラワー部にも所属していた[16]。高校時代は体操部にも所属したかったが、「身長が伸びなくなるよ」と言われて断念したが、このことは「やっとけば良かったな」と語る[16][15]。中学時代は発表会の前だけ集中して演技の稽古をするという感じであったが、高校時代は放課後に稽古をしていたという[16]。1982年に高校卒業を経て、日本電子工学院(現:日本工学院専門学校)演劇科を卒業[1][13]。当時はあまり情報がなく、偶々高校にプレゼンテーションに来た大学に演劇科があったため進学。その時代に広く浅く色々なことをしてもらい、後々の財産にはなったが、その時は「こんなこと何になるんだ」と思ってた[6]。母は過去にコロムビア・ローズのオーディションに参加して最後の3人に残っており、「やりたいことをやればいい」と言ってくれた[6][17]。父は、「芸能関係の進路なんてとんでもない」という感じで猛反対していた[6][17]。折笠は当時は叔母が一緒に住んでおり、女性パワーが強かったため演劇の大学に行かせくれたという[6]。短大に入った頃は、折笠はそういう演劇学校の出始めた時期だったため、全てが手探りだったが、手探りだからこそいろ色々なことをさせてくれたと語る[16]。舞台もその頃たくさん観ており、劇団四季などの大きな商業演劇から、小さな舞台まで本当にたくさんの舞台を観ていた[16]。折笠は日本舞踊、洋舞、タップダンス、発声、ジャズダンス、クラシック、声楽などを学び、日本舞踊は先生の内弟子のようなことも少しして、一時、集中して習うほど熱心だったという[6][14][16]。短大演劇科での稽古については、中学、高校時代での演劇部での稽古とは違い、四六時中芝居のことを考えていることができたり、身体を動かしていられたり、専門職の講師が指導してくれたということで、質の深さがまるで違っており、その時の折笠は「どうして今「能」の勉強をしているのだろう」と思ったりもしていたこともあった[16]。芝居の稽古と無関係に感じてしまったが、折笠は日本舞踊をしていたため、伝統芸能に抵抗はない方だった[16]。苦手なレッスンも当然あり、当時は意味の飲み込めないレッスンもあったが、基本的に全部楽しんでレッスンをしていた[16]。つらい反復練習を必要とするようなものは、自分で表を作り、目標を立てて、それをクリアしたら自分にほしかった物を買ったりご褒美をあげていた[16]。短大の頃に発声練習や滑舌といった地味な基礎訓練をしており、舞台の時には必ず本番前に発声をしてから臨むため、ほぼ毎回発声練習はしていた[16]。 その後は、家庭の事情で芝居をやめて家のお手伝いなどをしていた[17]。 キャリア半年も経たないうちに沸々と「私の道はこれではないんじゃないか」、「また私の中の芝居をしたい」と思うようになり、新聞に載っていた「子供に見せるミュージカルの出演者募集」に応募して「子ども劇場」に入団[6][17]。その時はアルバイトをしながら芝居をしている人物が多かったが、夜のアルバイトをしたり、男性ならばもっときつい労働をして、だんだんと心身ともにボロボロになっていくのを見て、そういうことは「私にはできないな」と感じていた[17]。ハングリー精神から「いいものを生む」ということとは「演技は少し違うのではないかな」と思っていたところがあった[17]。芝居は夢を売る世界という汚いのが嫌で、それを長い間し続けるのは嫌で、そうして探し当てたのが「子ども劇場」だった[17]。そういった劇団を探していた時、偶々その劇団の主演の女性が急遽出演できなってしまったようで、折笠はそこで募集をしていたものを見つけたという感じだった[17]。簡単なオーディションをして、演技も歌も踊りも、そこそこできるというので採用されたようだった[17]。2週間ぐらいでその主演の舞台を仕上げなければならず、劇団に所属しないで常に客演のような状態だった[17]。色々な劇団を渡り歩いて全国をまわっていると、あちこちに知り合いが出来て、そういう知り合いの演出家や役者が折笠をご自分の舞台に誘ってくれるようになった[17]。 オーディションを受けていたところ主役に選ばれ[6]、その後は劇団文芸座、劇団創演、フリーで女優として舞台に立つ[3]。 折笠の転機になったJRが企画した舞台『伊豆の踊り子』の踊り子役に抜擢され、並木史朗、舟木一夫らと共演[14][17]。この時に使った芸名は大島 由季仔[10][18]。その舞台をきっかけにさらに知り合いが広がり、商業演劇や様々なことで声がかかるようになった[17]。しかし大人が反応する芝居をしたくなり、個人で挑戦したりもしたが、それでは食べていけず、子ども劇場を5、6年続けていた[6][11]。悩みを感じていた時に舞台で共演していた緒方賢一と大山高男に勧められて[3][14]、ぷろだくしょんバオバブのマネージャー(当時)兼声優のたてかべ和也に「折笠いいねえ!」と評されぷろだくしょんバオバブに所属[6][11]。舞台でも少年役、ジュール・ルナールの『にんじん』を演じることがあり「声優としてもできるのではないか」ということで、たてかべがオーディションの枠で持っていったテレビアニメ『小公子セディ』のオーディションに参加[6][11][14]。オーディションでの何度かの選考を経て、1988年に主人公・セディ役で声優としてのデビューを果たす[1][3][7][11]。当時は一生懸命演じている声優たちに無知で、「やりたい」と思うほどの魅力もわかってなかった。声で意識していたのはラジオの『JET STREAM』の城達也で、夜中に聴いて「ステキなお声」と思っていた程度だった。声優業界のことも皆無なくらい無知だった[6]。折笠によれば、『セディ』のオーディションにおいて自身の他に高山みなみ、林原めぐみが最終選考に残っており、自分が主人公のセディに抜擢されたことについて折笠は、「私が一番素人というか、新鮮だったんだ」と語っている[6][19]。 声優の業界に入って最初に感じたのは、「私はなんて下手なんだろう!」だった[11]。それまでは舞台をしていたことから、職業としての声優は「簡単、すぐできるなんて」、「私は結構上手くできるんじゃないか」、「舞台でやっていることが声でやれないわけがない、お茶の子さいさいでできるな」と変な自信はあったという[6][11]。 一番難しかったのはマイクとの距離感で、マイク前で喋る作業を一切経験していないままオーディションに向かったが、主役だったため困惑していた。アニメのキャラクターが振り返る時に息を入れたりすることに対し「なんで振り向くだけでそんな息を入れないといけないんだろう」などと言われたことに対していちいち「なぜ?」と身体が全否定していたという[6]。 放送が始まって半年くらいは上手くいかず、「ヘタクソだな」と毎回下唇を噛んでいた[6]。オンエアを見て、他の声優はとても上手く自然に演じていたため、自分のあまりの下手さに愕然とした[11]。その中で飛びぬけて下手に感じたため、それからは声優としての格闘が始まった[11]。 当時は泣かせるシーンが多かったが、テストから泣くと、本番でも最初の元気で明るいシーンから鼻声になるなど、失敗がたくさんあった。最初の1年は毎日「明日この業界やめてもいい!」と声優を辞めてしまいたいくらいだったという[6][11]。 職業としての声優の舞台とは違う演技の技術がなかなかできず、プロとして引き受けた以上、1年は辞められず、「意地でもなんとかしなければいけない」と思った[11]。「このまま負けたままで辞めるわけにはいかない」と思い、悔しく何度もオンエアを見て泣いたりしてた[11]。舞台で演じることとの違いと、お金をくれたことの厳しさを改めて感じていた[11]。 当時は「本当は舞台をやりたい」という気持ちもあり、「私ががんばれる場所じゃないかもしれない」と毎夜枕を濡らしていた。『セディ』では風邪を引いて収録していたところ「折笠さん大丈夫ですか?」と視聴者から気遣う便りが届いたこともあった。「画面を通して全国の方々が応援してくださっている」と感じるようになり、嬉しさと不安が常に背中合わせで、今日は「ダメだ」、明日は「前に進もう」と、日々忙しく葛藤していたという[6]。 「折笠愛」という芸名には、「みんなに愛されるように」という願いが込められている。これは彼女の芸名を考えている途中にトイレに行ったスタッフが、その中で思いついたとのこと[20]。デビュー作の『小公子セディ』の時に、折笠とスタッフとで色々と考えていたが、『小公子セディ』以前に『愛少女ポリアンナ物語』、『愛の若草物語』と世界名作劇場では「愛」の文字が付くタイトルが続いたため、「芸名をつけるなら『愛』のつく名前はどうだろう……」ということで、この名前が付けられたという[10]。 歌手活動については、前述の通り学生時代コーラス部におり、少々自信を持っていたが、レコーディングをして歌を聞いていたところあまり上手くなかった[11]。プロとしてお金をもらっている以上なんとかしなくてはならず、演じることも歌うことも好きだったはずだが、プレッシャーでだんだん楽しくなくなってきてしまい、「これがプロの厳しさかな」と感じていた[11][19]。 2015年時点では「今日のでよかったかな?」と反省したり考えたりしない日はなく、「まだ自分はできあがってはいない」と語る[6]。3年くらいした頃にはなんとなくスタジオの中の空気を吸うこと、その場に座ってること、仲間たちとの関係性、先輩への想いなどがようやくしっくりした感じだったという[6]。 一方、最初の2、3年はプレッシャーだけであり、声優としての表現方法、その糸口を一つ一つ自分なりに研究してきた[19]。その後はようやく明かりが見えてきて、演じることが楽しくなってきたという[19]。 先輩の芝居で研究しており、最初にそれを強く感じたのは、城達也と仕事をさせてくれた時だった[19]。折笠は城のファンで、その娘役ができることがとても嬉しかった[19]。その時は、聞き染んだ城の声に聞こえなかった[19]。偶々ディレクターたちがいるブースに行くことがあり、演出側から城の演技を聞くことができて得心していた[19]。マイクにのった声で演技をしていた城から「マイクを上手に使い、いかに自分の声を生かしていくかも仕事なんだ」と職業としての声優のを一つ教えてもらったという[19]。 その後は色々な先輩の芝居を勉強した[19]。折笠自身の手法を見つけていくために、色々な先輩のいいと思ったところを勉強して自分のものにしていったが、それは舞台でも同じだと語る[19]。 2011年9月末でデビューから長年所属していたぷろだくしょんバオバブを退所し、アクセルワンに移籍したことが発表された。 人物・エピソード2人の兄がいる末っ子[15]。一番上の兄が高校時代は演劇部だったため、多少の影響はあったといい、一時は兄が弁護士を目指していたため、きょうだい3人で弁護士になろうと思った時期もあった[17]。 特色主に女性役、少年役を得意としている実力派[21]。澄んだ声のピュアな少年と艶っぽい強い姐さんと全く相反する2つの役を得意としている[10]。女性役を演じる際には、色気のあるキャラクターを演じるのが多いが、少年役の場合は、健気な少年、元気な少年役など演じる幅が広く、ギャップがあるのが特徴的[21]。 幾つもの作品で少年の声を演じたが、当初は女性である自分が少年の声を演じることに対して疑問を持っていた。そういう事情から一時期「今後は少年の声はやらない」と宣言したこともある。しかし、多くの作品に関わる中で、「女性が少年の声を演じることで、かえって男の子の様々な心理を想像し、そのことで一体感が生まれてくる」と思うようになったと語っている。心理表現の演技に関しては、「感情にまかせるだけでは、視聴者にきちんと伝えることは出来ない」という考えを持つ。 日常生活の中で、観察をしているようで、赤ちゃんの泣き方、子供の甲高いしゃべり方、笑い方は見ている[19]。女子高生の雰囲気などは、ガヤなど演じる場合などの参考になるという[19]。 声優として演技が楽しくなってきた作品は『三国志』で、やりたい芝居ができ、女性の切ない内面の演技を要求されて、楽しかったという[19]。そういう意味では『サクラ大戦』のあやめ役も、人、悪魔、天使といった3タイプの役を演じられて楽しく、色々な表現ができる役はとても好きだという[19]。そういう仕事は満足感があったという[19]。 アニメ『ヘタリア』シリーズではシーランド役を演じ、折笠はシーランド公国の爵位をネット通販で購入し、レディの称号を得ている。 趣味・嗜好囲碁が打てることから、碁会所でアルバイトをしていたこともある[17]。学生時代に碁会所でお茶汲み兼初心者のお相手をしていた[17]。 出演太字はメインキャラクター。 テレビアニメ
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ドラマ
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アルバム
キャラクターソング
脚注シリーズ一覧
出典
外部リンク
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