放浪
![]() 放浪(ほうろう)は、定住する場所を持たずに各地をさすらうこと、あてもなくさまよい歩くこと[1][2]。さすらい、流浪(るろう)、彷徨(ほうこう)とも。 定義関連する言葉の「浮浪」と比較すると、「放浪」の定義はより明確になる。 放浪では「住み家が定着しておらず」移っていく点が重要であり、例えば放牧しながら各地を転々とする遊牧民などは「流浪(放浪)の民」などと呼ばれる。住む場所が定まっておらず、生計を立てるための「定職もない」状態でさまよい歩く行為だと「浮浪」(近現代でいうホームレス)になる。定住地や定職といった条件を特に含めずに、単純にさまよい歩く行為は「徘徊」と呼ばれる。 英語圏には"vagrant","vagabond","rogue","tramp","drifter","wanderer"ほか、放浪者と訳されうる単語が幾つかあるが、これらの定義は日本語の放浪と完全に一致するわけではなく、前後の文脈次第で「浮浪者」や「徘徊者」を指すケースもあるため、翻訳に際しては留意が必要である。 概要古来より遊牧民は牧畜生活のために放浪を繰り返してきた歴史がある。単に生活のためではなく、人生の意味を求めて放浪をする場合もあり、世界宗教の多くが放浪の伝統を持っていたり放浪に言及している。ヒンドゥー教、仏教[4]、ジャイナ教[5]、イスラム神秘主義などの宗教文書に書かれているように、東アジアや南アジアの一部の国では歴史的に放浪が宗教生活(悟りを開く道)と関連づけられてきた。一般的な例として、サドゥー、比丘、沙門、ダルヴィーシュの伝統がある。アジアのみならず中近東、アフリカ、ヨーロッパでも、グノーシス主義やヘシカズム[要出典]などで放浪が苦行の実践として現在も続いている。キリスト教でも、使徒パウロなどの布教活動(伝道旅行)が放浪生活だと見なされている。 各地を転々して暮らす放浪は、自治集落での定住を基本に暮らす人々にとって異質なものに映るため、迫害の対象となることもあった。よく知られている例がロマに対する迫害で、第二次大戦中にはポライモスと呼ばれるロマ絶滅政策がナチス占領地域で行われていた。現在でも彼らの定住を快く思わない差別的な扱いがあると、アムネスティー・インターナショナルは報告している[6]。 文化面では、自らの放浪体験そのものや各地の風情を文学作品として書きあげたり、絵画や音楽作品で表現する例が国内外に見られる。職業を転々としつつ住み家も貧しい木賃宿から各地の貸間を渡り歩く、林芙美子の自叙伝的な『放浪記』は幾度も舞台、映画、テレビドラマになっている文芸作品である。 放浪をした有名人日本フランスイタリアシンガポール作品「放浪」を主題にした作品のおもな一覧である。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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