神島二郎神島 二郎(かみしま じろう、1918年4月18日 - 1998年4月5日)は、日本の政治学者、日本政治思想史家。立教大学名誉教授。 東京市四谷区出身。丸山眞男と柳田國男に師事し、両者の業績(丸山政治学と柳田民俗学)を架橋した「神島学」を創出したと言われる[1]。戦争に敗れた衝撃から、近代日本の歩んだ道筋を追究した。神島が提唱した「第二のムラ」という概念は近代日本史を解くキーワードの一つと評価されている。 略歴
主な著作
第二のムラ『近代日本の精神構造』は、丸山の天皇制ファシズム批判と柳田の民俗学の成果を生かし、近代日本全体を貫いた思想・行動の原理を明らかにしようとした労作。この中では「第二のムラ」の概念を提唱しているが、これは村落共同体(本来のムラ=第一のムラ)の原理にならった擬似的な共同体であり、具体的には藩閥(例:長州閥)、学閥(例:東大閥)などを指す。第一のムラは農業生産を基盤とし、祭りを中心にした秩序があるが、第二のムラに生産的な基盤はなく、同郷・同窓などのノスタルジーを基にした結合である。近代日本では社会の指導者層は藩閥や学閥などの「第二のムラ」を秩序原理としており、健全な市民社会が育たなかった。一方、「出世民主主義」が社会を覆い、有為な人材の多くが都会へ出てしまうと、実質的に日本を支えていた村落共同体は崩壊していった。こうした状況で、恐慌や国際情勢の悪化に対応することが要請されると、もはや秩序を支えるものは天皇制以外にはなかった、としてファシズムから敗戦に至る日本の悲劇を語っている。家永三郎は書評の中で、「本文より注が多い」「造語が多すぎる」と感想を述べるが、内容は全く理解できなかったと告白している(『思想』1961年8月)。 故神島二郎教授旧蔵書立教大学に所蔵される神島二郎の旧蔵資料で、1731冊からなる蔵書。コレクションとしてのまとまりで保管されておらず、一般図書は他の蔵書とともに配架されている。所蔵リストは立教大学図書館閲覧課で確認することができる[3]。 その他神島は晩婚で、結婚したのは『日本人の結婚観』をまとめた後である。 脚注 |