Concrete Mathematics: A Foundation for Computer Science (邦題:コンピュータの数学 )は、ロナルド・グラハム 、ドナルド・クヌース 、オーレン・パタシュニク による、計算機科学 の分野で幅広く使用されている教科書である。
内容と歴史
この本は、計算機科学、特にアルゴリズム分析のための数学的な知識と技術を提供する。序文によると、Concrete Mathematics とは"a blend of CONtinuous and disCRETE mathematics"(「連続的な数学」と「離散的な数学」を混ぜた物)である。微分積分 は、説明と演習において多用される。また、"concrete mathematics"(具体的な数学)という語は、「抽象的な数学 を補う物」という意味でもある。
この本は、スタンフォード大学 でクヌースが1970年から開始したコースに基づいている。この本は、クヌースの『The Art of Computer Programming 』の「数学的な準備(Mathematical Preliminaries)」節の内容を拡張するものである。そのため、『The Art of Computer Programming』への導入としてこの本を使用する読者もいる。
Concrete Mathematics には、形式ばらないユーモラスなスタイルが見られる。著者らは、多くの数学の教科書のような「乾いたスタイル」と彼らがみなす物を拒絶する。余白には、この本の「最初の編集者」であるスタンフォード大学のクヌースとパタシュニクの学生による「数学的な落書き 」が書かれている。
他のクヌースの本と同様に、この本でどんな種類(技術的、歴史的、印刷上、政治的 )であっても誤りを見つけた読者には賞金 が贈られる[ 1] 。
この本は、アイバーソンの記法 、床関数と天井関数 、階乗冪の記法 などの多くの数学的記法を普及させた。
タイポグラフィ
ドナルド・クヌースは、Concrete Mathematics の初版をAMS Eulerフォント とConcrete Romanフォント (英語版 ) のテストケースとした[ 2] 。
章
漸化式の問題 (Recurrent Problems)
和の計算 (Summation)
整数関数 (Integer Functions)
整数論 (Number Theory)
二項係数 (Binomial Coefficients)
特別な数 (Special Numbers)
母関数 (Generating Functions)
離散的確率 (Discrete Probability)
漸近近似 (Asymptotics)
書誌情報
初版: 1988年9月 (ISBN 0-201-14236-8 )
Graham, Ronald L. ; Knuth, Donald E. ; Patashnik, Oren (1989), Concrete Mathematics , Advanced Book Program (First ed.), Reading, MA: Addison-Wesley Publishing Company, pp. xiv+625, ISBN 0-201-14236-8 , MR 1001562
第2版: 1994年2月 (ISBN 0-201-55802-5 )
Graham, Ronald L. ; Knuth, Donald E. ; Patashnik, Oren (1994), Concrete Mathematics (Second ed.), Reading, MA: Addison-Wesley Professional, pp. xiv+657, ISBN 0-201-55802-5 , MR 1397498
日本語訳: 1993年9月 (ISBN 978-4-320-02668-1 )
Graham, Ronald L. 、Knuth, Donald E. 、Patashnik, Oren 著、有澤誠・安村通晃・萩野達也・石畑清 訳『コンピュータの数学』共立出版。ISBN 978-4-320-02668-1 。
日本語訳第2版: 2020年9月 (ISBN 978-4-320-12464-6 )
Graham, Ronald L. 、Knuth, Donald E. 、Patashnik, Oren 著、有澤誠・安村通晃・萩野達也・石畑清 訳『コンピュータの数学 第2版』共立出版。ISBN 978-4-320-12464-6 。
脚注
外部リンク