参加国
G20 (ジートゥエンティ)は、"Group of Twenty"の略で、G7 に参加する8か国、EU および新興国 12か国の計20の国々と地域から成る国際会議である[ 1] 。
構成国・地域連合は、G7 構成国・地域連合(ロシア含む)、BRICS の5国、MIKTA の5国、サウジアラビア 、アルゼンチン である[ 2] 。20か国・地域首脳会合(G20首脳会合)および20か国・地域財務相・中央銀行総裁会議(G20財務相・中央銀行総裁会議)を開催している。主要20か国・地域 [ 3] [ 4] とも言い、日本の放送局であるNHK では、先進国会合であるG7と区別して、先進国に新興国を加えた主要20か国 [ 5] と表現している。
概説
第11回G20財務大臣・中央銀行総裁会議
フランス 、アメリカ 、イギリス 、ドイツ 、日本 、イタリア 、カナダ 、EU は、G7 として定期的に財務大臣・中央銀行総裁会議 を開催していたが、この先進7か国・1地域に主要国首脳会議 (G8)参加国のロシア と新興国11か国(BRICS の残り4国とアルゼンチン ・オーストラリア ・インドネシア ・メキシコ ・韓国 ・サウジアラビア ・トルコ )が加わり、1999年 より20か国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議 (G20 Finance Ministers and Central Bank Governors)を開催している。この会議には、国際通貨基金 、世界銀行 、国際エネルギー機関 、欧州中央銀行 など、関係する国際機関 も参加している。
世界金融危機 の深刻化を受けて、2008年 からは20か国・地域首脳会合 (G20 Summit)も開催されている。正式名称は「金融・世界経済に関する首脳会合 」(Summit on Financial Markets and the World Economy)であるが、金融サミット とも呼ばれる。議長は各国持ち回りで担当し、任期中は議長国が事務局機能を果たすため、恒久的な事務局や常勤職員などは存在しない[ 6] 。
G20の20か国・地域(EU加盟国を含む)の国内総生産 (GDP)を合計すると、世界のGDPの90%ほどを占め、貿易総額は世界の80%である[ 7] 。また加盟国の総人口は世界の3分の2、土地面積は半分ほどになる[ 8] 。欧州連合は団体としてG20に参加しており、欧州連合加盟国は、フランス、ドイツ、イタリアを除き個々の国としてG20には参加していない。ただ、スペイン やオランダ のように、G20に参加していない国が必要に応じて、会合に臨時出席する場合もある[ 9] 。
2009年に米国で開催されたG20は「G20を国際経済協力の第一の協議体」とすることで合意した。2010年 6月に開催された4回目となるG20サミットは、カナダのトロント で主要国首脳会議 (G8サミット)に連続して開催され、その最大目的は、欧米諸国の財政・金融政策の健全化をどう達成するかであり、途上国の開発援助・地球温暖化の問題などが焦点となった。また、中国やインド、ブラジル、南アフリカ共和国などが国際経済で果たす役割が増す中で開かれた。
新型コロナウイルス感染症の流行 を受けて、2020年 には史上初のテレビ会議 を通じた首脳会合が開催された[ 10] 。
2023年 9月3日にはナイジェリア の大統領報道官が同国が「G20正式参加が望ましいが、政府はもたらされる利益とリスクを分析するため広範な協議に着手した」と述べ、G20正式参加の申請を検討していることを明らかにしている[ 11] 。
2023年 9月9日に開幕したG20首脳会合では、議長国インドのモディ首相が新たにアフリカ連合 をG20の正式メンバーに迎えたと発表した。[ 12]
加盟国データ
参加国・地域の詳細
所属州
国家・地域
貿易規模 十億ドル (2018)
GDP(名目) 百万ドル (2022)
GDP(PPP) 百万ドル (2022)
一人当GDP (名目)ドル (2022)
一人当GDP (PPP)ドル (2022)
HDI (2019)
人口 (2018)
P5
G7
BRICS
DAC
OECD
IMFの分類
東アジア
日本
1,486.6
4,912,147
6,110,075
39,243
48,814
0.919
126,431,000
×
○
×
○
○
先進国
東アジア
韓国
1,140.4
1,804,680
2,735,870
34,994
53,051
0.916
51,665,000
×
×
×
○
○
先進国
東アジア
中国
4,629.0
19,911,593
30,177,926
14,096
21,364
0.761
1,396,982,000
○
×
○
×
×
発展途上国
東南アジア
インドネシア
368.9
1,289,295
3,995,064
4,691
14,535
0.718
265,316,000
×
×
×
×
×
発展途上国
南アジア
インド
830.7
3,534,743
11,745,260
2,515
8,358
0.645
1,334,221,000
×
×
○
×
×
発展途上国
西アジア
サウジアラビア
369.1
1,040,166
2,002,542
28,759
55,368
0.854
33,203,000
×
×
×
×
×
発展途上国
ヨーロッパ
欧州連合
17,199,536
23,730,275
38,560
53,201
0.900
512,600,000
ヨーロッパ
フランス
1,227.4
2,936,702
3,677,579
44,747
56,036
0.901
65,098,000
○
○
×
○
○
先進国
ヨーロッパ
ドイツ
2,834.0
4,256,540
5,269,963
51,104
63,271
0.947
82,786,000
×
○
×
○
○
先進国
ヨーロッパ
イタリア
1,047.4
2,058,330
2,972,091
34,777
50,216
0.892
60,756,000
×
○
×
○
○
先進国
ヨーロッパ
イギリス
1,157.1
3,376,003
3,751,845
49,761
55,301
0.932
66,466,000
○
○
×
○
○
先進国
北アメリカ
カナダ
910.0
2,221,218
2,236,928
57,406
57,812
0.929
38,179,630
×
○
×
○
○
先進国
北アメリカ
メキシコ
915.2
1,322,740
2,890,685
10,166
22,216
0.779
124,738,000
×
×
×
×
○
発展途上国
北アメリカ
アメリカ合衆国
4,278.0
25,346,805
25,346,805
76,027
76,027
0.926
328,116,000
○
○
×
○
○
先進国
南アメリカ
アルゼンチン
127.0
564,277
1,195,581
12,187
25,822
0.845
44,570,000
×
×
×
×
×
発展途上国
南アメリカ
ブラジル
650.0
1,833,274
3,680,942
8,570
17,208
0.765
210,869,000
×
×
○
×
×
発展途上国
ヨーロッパ
ロシア
687.5
1,829,050
4,365,443
12,575
30,013
0.824
146,850,200
○
×
○
×
×
発展途上国
西アジア
トルコ
391.0
692,380
3,212,072
8,081
37,488
0.820
71,867,000
×
×
×
×
○
発展途上国
アフリカ
南アフリカ共和国
187.8
426,166
937,964
6,979
15,361
0.709
57,420,000
×
×
○
×
×
発展途上国
オセアニア
オーストラリア
481.1
1,748,334
1,605,196
67,464
61,941
0.944
25,182,000
×
×
×
○
○
先進国
会合・会議の一覧
第1回G20首脳会合 の出席者
第2回G20首脳会合 の出席者
第3回G20首脳会合 の出席者
第14回G20首脳会合 の出席者
首脳会合
首脳会合議長国
G20首脳会談の議長国を決めるために、EUを除くすべての加盟国は4か国ずつ5グループに分けている。グループ1とグループ2を除き、同じ地域の国々は同じグループに属する。グループ内のすべての国は、そのグループの番になったときにG20議長国の資格がある。 したがって、グループ内の国々で、次のG20議長国を決める交渉をする必要がある。 議長は20か国が持ち回りで担当し、12月1日から11月30日まで就任する。 この制度は、グループ5に属する韓国がG20議長を務めた2010年から制定されている。 以下の表は、各国のグループ分けをまとめたもの:[ 33] [ 34]
Group#01#.
Group#02#.
Group#03#.
Group#04#.
Group#05#.
オーストラリア .:
. (2014)*.
.:
イギリス .:
.(2005) & (2009)*.
.:
アメリカ USA’.:
.:(2001) & (2008)*.
.:
インド “.HINDUS”:
.: (2002)&(2023)*.
.:
ドイツ .:
. (2016)*
.:
フランス .:
. (2004 & 2011)*
.:
イタリア .:
. (2021)*
.:
スペイン .:
. (*_*)*.
.:
ロシア .:
. (2013)*.
.:
カナダ .:
. (2003)&(2010)*.
.:
トルコ .:
. 2015)*.
.:
南アフリカ .:
. (2006)&(*_*)*.
.:
中国 .:
.: (2007)&(2017’)*.
.:
インドネシア .:
. (2022).*
.:
日本 .:
. (2019).*
.:
韓国 .:
. (2011)& (*_*)
.:
[ 35] [ 36] .:
[ 37] .:
継続性を確実にするために、現在、現議長国、前議長国、次期議長国が協力する「トロイカ体制」によって支えられている[ 38] .
財務大臣・中央銀行総裁会議
第10回は金融市場危機 および市場への影響を議論するために臨時でワシントンD.C.にあるIMF本部にて開催された。
労働雇用大臣会合
外務大臣会合
貿易・経済大臣会合
エネルギー・環境大臣会合
保健大臣会合
G20 Meeting of Health Ministers 。2017年の議長国ドイツで初開催された分野別閣僚級会合で、各国の保健担当大臣が議論する[ 100] 。
観光大臣会合
目的
各国首脳とEU代表(2024年現在)
.:
金融
発足以来の主題として、世界経済の発展や国際貿易及び金融市場の規制における国際経済協調がある[ 112] 。米国、カナダ、ドイツの政策立案者によって構想された当初のG20の議題は、最大の発展途上国経済を対等なパートナーとして取り込む包括的な形式において、ソブリン債 の持続可能性と世界金融の安定に非常に焦点を当てたものであった。2008年11月に開催された初の首脳によるサミット で、G20首脳陣は、世界銀行 や国際通貨基金 (IMF) などの国際金融機関に、世界金融システムの再構築のため何兆ドルもの資金を提供する共同声明を発表した[ 113] 。
持続可能性
2015年に国連 の持続可能な開発目標 とパリ協定 が採択された後、G20のアジェンダには、移民・難民、デジタル化、雇用、ヘルスケア、女性の経済的地位向上、開発援助といった「世界的に重要な問題」が追加された[ 114] 。G20は世界炭素排出量の75%を占めるため、気候変動 抑制のカギとなるが、2015年から2021年の間に3兆3千億ドル以上の化石燃料企業への助成を行った[ 115] 。
批判
G20はG7と比べれば多様だが、それでも固定された20か国しか参加できないため、非構成国からは独占性を批判されている。
経済規模の大きな国によって構成されているが、議論の焦点が経済格差、低所得国の債務問題、環境問題や自国の大企業に対する規制などの問題に十分に当たっておらず、国際社会全体のためではなく自国の利益を追求するための議論の場となっているという、G20の公平性に対する批判も存在する[ 116] 。2010年にカナダのトロントで行われたサミット の際には大規模な抗議デモが起きた他、当時ノルウェーの外相であったヨーナス・ガール・ストーレ氏が「G20は第二次世界大戦以来、最も大きな後退である」と非難した。また、2014年のオーストラリア・ブリスベンサミットの際にはおよそ2,000人がG20に抗議してデモを行った。さらに、2017年にドイツ・ハンブルクで開催されたサミットでは、「G20抗議の波(G20 Waves of Protest)」と呼ばれる抗議活動も行われた。これには環境保護を訴えるNGO・グリーンピース (Greenpeace)、貧困問題に関する活動を行う国際協力団体・オックスファム のドイツ支部(Oxfam Germany)に加えて、ドイツ国内の反資本主義 組織といくつかの政党が関わった。
このため、アフリカ連合のG20入りが検討されており[ 117] 、2023年にアフリカ連合はG20の正式メンバーになった。
G7との違い
より歴史の長いG7 も、経済金融危機を発端としていたのは同じである。しかし、G7は構成国が西側諸国 のみと偏っており、2014年にクリミア併合 を受けてG8 からロシアを追い出したように、政治思想が強いともされる[ 118] [ 119] 。一方、G20は昔の東側諸国 や第三世界 なども多く含まれており、政治的・文化的・地理的に多様である[ 120] 。それ故、前述のクリミア併合や2022年のウクライナ侵攻を受け、西側諸国がロシア排除の圧力をかけるも、実現することはなかった[ 121] [ 122] 。
近年はBRICS やMIKTA といった発展途上国の急速な経済的発展により、相対的にG7の経済力と影響力が低下していることに伴い[ 123] [ 124] 、世界経済に関してはG20がメインの議論場になっている。
参加国が多いということは、合意形成が難しいことも意味する。2023年8月、インドが議長国として開催されたG20貿易・投資相会合ではウクライナ侵攻 をめぐり意見が対立、2年連続で閣僚声明の発表が見送られ[ 125] 。翌月に控えたG20首脳会議でも意見の取りまとめが難航することが予測された。このため、インドのモディ首相はG20首脳会議の本番で、初日から首脳宣言を発表する異例のプロセスに踏み切った。ロシア のウクライナ 侵攻に関しては、前年の首脳宣言より内容が大幅に後退するものとなったが、宣言を出せない事態は回避された[ 126] 。
脚注
出典
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関連項目
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外部リンク