JRA顕彰馬JRA顕彰馬(ジェイアールエーけんしょうば)とは、中央競馬の発展に多大な貢献のあった競走馬の功績を讃え、後世まで顕彰していくために日本中央競馬会30周年記念事業(昭和59年)の一環として制度を発足し1984年に制定されたものである。 顕彰競走馬は「殿堂入り」に相当する。 競馬の殿堂には調教師・騎手顕彰者とともに顕彰馬の肖像画、ブロンズ像、関係資料が展示されている。 選考方法現在の選考方法は10年以上競馬報道に携わっているマスコミ・新聞関係者による選考投票を行い(1名4頭までの連記式、「該当馬なし」として投じることも可能)、総投票者の4分の3以上の得票を得れば選出という方式であり、2015年より実施されている。 選考は毎年6月に行われ、10月の競馬開催日に表彰される。 選定対象馬は3月31日を起算日とし競走馬登録抹消1年以上経過し、20年以内の馬である。現役馬や競走馬登録抹消1年未満の馬、競走馬登録抹消20年を経過した馬は対象外である。 以下は、選考方法の変遷を記す。 1984年 - 1999年1984年から1999年までは下記の選定基準により顕彰馬選考委員会の審議(委員の4分の3の賛成)により決定されていた。 選定条件は以下の通り。
この方式で最後に選出されたのは、1999年のタイキシャトルである。 1990年には過去の競走馬に対する再度の選考を実施しテンポイント、コダマ、スピードシンボリ、メイヂヒカリが選ばれている。これは制度制定時にトウショウボーイを選出したにもかかわらず、その宿敵であったテンポイントが選出されなかった事に対して競馬ファンやマスコミ・関係者から批判がずっと繰り返されていた事が大きいとされるが、他にも産駒の活躍、他の選出馬との比較などで最初期の選考の時点と状況が大きく異なる馬が発生していたためである。 また、ダイナナホウシユウ(皐月賞、菊花賞、天皇賞・秋)、タケホープ(日本ダービー、菊花賞、天皇賞・春)、グリーングラス(菊花賞、天皇賞・春、有馬記念)のように上記の条件を満たしながら顕彰入り出来なかった馬もいる。 特にダイナナホウシユウは今と違い大レースの数も少なく天皇賞が勝ち抜け制度だった時代に八大競走3勝、29戦23勝(うち60キロ以上の斤量で8勝)さらに中央競馬の連勝記録(11連勝)も保持するほどの、時代を代表する名馬だったが、最初に行われた1984年の顕彰馬選考時に選出濃厚とされながら、選考委員のひとりが小柄な馬格を指摘しサラブレッドとしての品格に欠けるとして強硬に反対したため選出されなかった[1]。 2001年 - 2003年2001年からは現在とほぼ同じマスコミの投票による選考方法になったが、競走馬登録抹消からの年数制限はなかったため、タケシバオーら競走馬登録抹消20年以前の馬を推す古参の記者と、エルコンドルパサー、スペシャルウィークら近年の馬を推す中堅の記者との間で票が分散する傾向にあった。 そして2003年に投票対象となったテイエムオペラオーが古馬中長距離GI完全制覇、最多タイのGI7勝、賞金世界記録などの実績をもってしても75%の得票率をクリア出来ず落選。これに関してJRAのHPには抗議が殺到した。 2004年 - 2014年前年のテイエムオペラオーの落選を受けて、競走馬登録を抹消してから20年も経過しているとその当時を知る人間が少なくなること、繁殖馬としての評価が定まることなどから、競走馬登録抹消後長い年月を経ている馬を投票対象とする選定方法の見直しが行われ、投票対象が登録抹消から20年以内の馬と制限されることとなった。 この選考方法では、2004年にテイエムオペラオー、2008年にディープインパクト、2011年にウオッカが選出された。 2015年以降2015年からは、1人当たり2頭以内としていた投票頭数を4頭以内に変更した[2]。その理由は、JRAの発表によると「競走カテゴリーの多様化により、あらゆる路線から活躍馬が出ていることなどから票が割れ、顕彰馬が選出されづらい状況にあるなか、顕彰馬としてふさわしい馬が適切に選出されることを目的としたもの。」[要出典] 発表時期も4月下旬から5月上旬だったものが9月に変更された。2017年は7月、2018年からは6月に変更になった。 この選出方法では、2015年にオルフェーヴル、2016年にジェンティルドンナ、2018年にロードカナロア、2020年にキタサンブラック、2023年にアーモンドアイ、2024年にコントレイルとキングカメハメハが選出されている。 2021年、2022年と連続して顕彰馬の投票が選出基準の有効投票数の75%に至らず、2年連続で選出馬なしとなったが、特に2022年は競走馬登録抹消後初の投票対象となったGI競走9勝馬のアーモンドアイが落選したことで、関係者の中からも選定方法の見直しを求める意見が出るなど、物議を醸した[3][4][5]。 2023年は前年落選したアーモンドアイは96.6%の得票率を得て顕彰馬に選出されたが、その一方で競走馬登録抹消後初の投票対象となった史上3頭目の無敗の三冠馬であったコントレイルが1票差(得票率74.9%)で顕彰馬から落選した。さらにこの年から登録抹消後20年を経過したため「選考対象期間外」となったステイゴールドへの投票行動(3票、無効票扱い)が見られたなど、選出基準や投票権を行使する記者の投票行動に対し再び物議を醸していた[6]。 2024年の投票では、前年JRA賞の選出馬投票の際での投票行動でも問題が指摘されていた各メディア団体の「会友」(競馬の取材現場の一線から離れた元記者・アナウンサーなど。各団体の「会友」に移行して3年以上の対象者)の多くが投票資格を失った[7]。前年1票差で選出を逃したコントレイル(得票率86.4%)と、毎年一定の票を得ながら選出基準に届かず、翌2025年が投票対象最終年に迫っていたキングカメハメハ(得票率81.3%)が選出され、2015年の投票方式になってから初めて複数馬が顕彰馬に選出されている[8]。 特例での選出それ以外の選出例としては、2004年のJRA50周年事業(JRAゴールデンジュビリーキャンペーン)と2014年のJRA60周年に、事業の一環として選考方法に特例を設けた。2004年は、当年から選定対象が登録抹消から20年以内になった事を踏まえて、投票対象から外れた登録抹消後21年以上が経過した馬(1983年12月31日以前に登録抹消した馬)についての選考が1名2頭まで連記式投票にて行われ、総投票者の4分の3以上の票を獲得したタケシバオーが顕彰馬に選出された。60周年の2014年は1人につき最大4頭まで投票可能にすることにより、エルコンドルパサーが選出された。当馬は選定対象になった2001年から、選出馬が出た年以外は全て高い得票率で1位の得票を集めていたものの選出に至らなかったが、ようやく晴れて顕彰馬入りを果たした。 顕彰馬一覧
※騎手については八大競走もしくはGI級競走に勝利した際の鞍上、及び中央競馬においてその馬に最も多く騎乗していた者等を表記 顕彰馬に関する記録親子での顕彰馬選出
親子3代での顕彰馬選出
兄弟での顕彰馬選出
過去の顕彰馬選定結果1人あたり最大2頭投票時代
2つの区分に分け、それぞれ2頭まで投票可能
1人あたり最大4頭投票時代
出典:JRAホームページ
当年はJRA60周年記念事業の一環として、投票者1人あたり最大4頭まで投票が可能だった[10]。
出典:JRAホームページ
従来の記者1人あたり2票までの投票を、一人あたり最大4頭に拡大して投票を実施。平成26年度は記念事業の一環であり、本年度から正式に投票数が拡大となった[11]。
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
2021年8月11日、記者投票の誤集計が発覚。キングカメハメハ、ダイワスカーレット、クロフネ、ジャスタウェイの4頭の得票数・得票率が訂正された[12]。
出典:JRAホームページ
出典:JRAホームページ
出典: JRAホームページ
追悼競走顕彰馬が死亡した場合、その直近の競馬開催日のメインレースにおいて、「○○○○(馬名)追悼競走」の副題を付して実施される。 →詳細は「追悼競走」を参照
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク |