Z世代英: Generation Z)とは、概ね1997年度から2012年度に生まれた世代を指すことが多いが、カナダ統計局は1993年生まれ以降を指し、アメリカ心理学会は1998年生まれ以降を指すなど[1]、定義は厳密に決められているわけではない[2]。 一方、Z世代という表現や括りについては否定的な意見も存在する(後節の「#「Z世代」という表現に対する否定的意見」を参照)。 (ゼットせだい)、ジェネレーションZ(概要名称はジェネレーションXから続くものであり(「X世代#語源」を参照)、アメリカにおいてその次世代のポストX世代をアルファベットでXに次ぐ世代として「ジェネレーションY」(一般的にミレニアル世代[注 1]とも呼ばれる)、ジェネレーションYのポスト世代をYの次にあたる「ジェネレーションZ」と称した[3]。 生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味でのデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる[4][5]。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し[4][5]、ウェブを日常風景の一部として感じ取り、利用している世代である。 また、パソコンよりもスマートフォンを日常的に使いこなし、生活の一部となっている「スマホ世代 (iGen)」でもある[6]。さらに、「baby boomer」を揶揄する「Boomer」になぞらえ「Zoomers(ズーマーズ)」とも呼ばれる[7]。成長期にWeb 2.0を当たり前のように享受し、情報発信力に長けているため、当該世代からは数多くのインフルエンサーが登場している。 この他、Z世代と同時期に生まれた若者は、英: Generation C)[8][9][10][注 2]、あるいはニュー・サイレント・ジェネレーション(英: the new silent generation)[注 3]と呼ばれることもある。 (シーせだい)、ジェネレーションC(Z世代の次の世代をα世代(アルファ世代)と呼び、概ね2010年代以降生まれを指すことがある[11][12]。 日本では脱ゆとり世代にあたる。若者研究の第一人者[13]として知られる原田曜平によって、スマホ第一世代を「Z世代」と紹介され[14]、徐々にマスメディア、マーケティング業界を中心に呼称が浸透し、2021年には、ユーキャン新語・流行語大賞トップ10に選出された。 特徴ミレニアル世代(Y世代)よりもさらに周囲のIT環境が進展しており、幼少期から“デジタルデバイス(機器)やインターネット、SNSを含むソーシャルメディアの存在を前提とした生活”をしているデジタルネイティブ(ネットネイティブ、あるいはソーシャルネイティブ)世代である[15]。生まれた時からインターネットに接続するための基本的な端末であるパソコンや携帯電話が既に存在しており、インターネットを利用し始めた頃にはADSLやCATVなどブロードバンドによる常時接続環境、SNSを含むWeb 2.0、さらにスマートフォンが普及し、個人の情報発信が身近となっていた[4][5]。 2020年に始まった新型コロナウイルス (COVID-19) のパンデミックの影響で、義務教育と高等教育の両方で、全社会的に実施された遠隔教育(オンライン授業)を受ける最初の世代となった[16]。 2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており[17] 「日本では Z世代の約5割が「子どもがほしくない」と回答しており少子化傾向が続くとみられる」などという見方もあるが、このアンケートはBIGLOBEが2日間で総人数500人を対象にインターネットで行ったものであり、全体を象徴するものではない[18]。 Z世代の多くは、幼少期からリーマンショックやコロナ禍による不況を経験している。そのため、企業に対する期待感が低い傾向にある。企業への期待感がないため、ひとつの企業に対する執着がない傾向がある。そのため他世代と比べ、短期間で離職する傾向があったり、副業への抵抗感が薄いとされる。[19] ジェネレーション・レフト欧米ではミレニアル世代と合わせてジェネレーション・レフト(左派世代)と呼ばれる経済格差や気候変動、ジェンダー問題、ポリティカル・コレクトネス、ブラック・ライヴズ・マター、ヴィーガンなど左派的活動を行う者が目立つ[20]。旧ソ連型の体制を知らないミレニアルやZの若い世代は社会主義に負のイメージがなく、資本主義体制に失望するほど左派に傾倒。世論調査会社ユーガブの19年の調査によると「社会主義の候補者に投票するか」との問いにZ世代の64%、ミレニアル世代の70%が「投票の可能性が高い」と答えた。16年の大統領選の民主党候補者選びでは民主社会主義者バーニー・サンダース旋風に一役買った。2022年現在の日本では同世代(ミレニアル世代・Z世代)が左派的活動をしていることは少ないが、左派系知識人やマスメディアを中心に「Z世代」という言葉を日本にも広めて欧米のジェネレーションレフトを賞賛し、同じように日本の同世代が「目覚める」ことを期待して日本でのジェネレーションレフトを増やそうとする意図が存在する[21][22][23][24]。 日本におけるZ世代特徴日本においても明確な定義は定まっていないが、欧米におけるZ世代の一般的な定義と同様の1997年から2012年生まれを指す場合が多い[注 4]。 祖父母が1930年代半ば生まれから1950年代生まれ(焼け跡世代からしらけ世代)、両親が1960年代半ばから1980年代前半生まれ(バブル世代から就職氷河期世代)というケースが多い。 Y2Kファッションやルーズソックスなど、親世代の流行をリバイバルさせることもある[25]。 コロナ世代2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって人生の転換期に何らかの影響を受けている子供や若者を『コロナ世代』という場合がある[26]。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の位置づけが第2類であった2020年度から2022年度(2020年4月から2023年3月)に初等教育及び中等教育を受けていた2002年4月2日生まれから2016年4月1日生まれが該当するとされ、一部はZ世代にも該当する[27]。 ロックダウン世代教育や就職の機会を失ったことで、その後の労働市場において不利益を受ける可能性がある世代を『ロックダウン世代』と呼称する場合がある[28]。 2020年4月 - 5月に実施された学校の一斉休校により教育格差が深刻な問題になったとされており、オンライン授業や休校の解除時期の全国不統一により学習進度に差が出ていることも指摘されている[26]。過去に高校1年(15歳)が受けたテスト『OECD生徒の学習到達度調査』(PISA2018)で学力が過去最低だったこともあり、長期に渡る休校により学業への影響のほか、運動不足や食育への影響なども指摘されている[29]。さらに学習機会の喪失により、生涯賃金に影響が出るとの指摘がある[30]。 リクルート進学総研が全国の高校生を対象に意識調査を行い、自分たちの世代の名前を自由に記述してもらったところ、「コロナ世代」とまとめられる回答が10・7%で最も多かった[31]。 「Z世代」という表現に対する否定的意見
脚注注釈
出典
関連項目
Information related to Z世代 |