アリババと40匹の盗賊
『アリババと40匹の盗賊』(アリババとよんじゅっぴきのとうぞく 英文:Alibaba And Forty Thieves)は、1971年7月18日に「東映まんがまつり」内で公開された、東映動画制作の劇場用アニメ映画である。カラー、56分。 キャッチコピーは「ニョキニョキバブ〜ン 出て来た! 巨大魔物がランプから 一匹のネズミと38匹のネコが魔法の国で魔法の大冒険」。 概要名作「千夜一夜物語」の「アリババと40人の盗賊」をギャグアニメ化した作品。「アラジンと魔法のランプ」のモチーフも使われている。内容は「40人の盗賊」の子孫同士が戦うというもの。そしてアリババと、盗賊の首領の子孫のアル・ハックの善悪を逆転した発想となっている。また本作はハック一味とアリババ一派が中心となるため、女性キャラクターは町の人などのモブ程度の登場で、キーパーソン的なヒロインは存在しない珍しい作品である。 演出はテレビアニメ担当の設楽博。脚本は山元護久で、山元は『ひょっこりひょうたん島』(原作・アニメ双方)や『長靴をはいた猫』などで、音楽担当の宇野誠一郎とたびたび関わるものの、その大半は井上ひさしとの共作であり、単独では劇場アニメでは唯一。この後山元は、1971年10月開始の『さるとびエッちゃん』の主題歌「エッちゃん」や、後の『一休さん』の主題歌「とんちんかんちん一休さん」で、再び宇野と関わる。 大川博は本作が封切られた1か月後の1971年8月17日に死去、本作が最後のプロデュース作品となった。また多数の東映動画作品に関わった宮崎駿(原画担当)は、本作を以て小田部羊一と共に東映動画を退社した。 なお本作は、5年後の1976年7月17日に封切りの「東映まんがまつり」内で、上映時間を53分に短縮してリバイバル上映された。 ストーリーアラビアのある所に、「アリババ王国」という国があった。国王のアリババ33世は、かつて40人の盗賊団を倒し宝物を手に入れたアリババの子孫であった。ある朝アリババは朝食を取ろうとするが、出た朝食はペットのメスネコ・ミケの物だけ。そこで警察署長を呼ぶと、署長はそのことで話があると言い、地下の宝物蔵に行った。見ると宝物蔵はもぬけの空、実はあれだけ大量にあった宝物も、先代国王のアリババ32世の時に半分となり、そして現在全て無くなったというのだ。わずかに残っていたのはランプだけ。汚いので擦ってみると、なんと中から怪物が現れた。だがこの怪物はランプの魔物で、何でも願い事を聞いてくれるという。大喜びのアリババは「ありっ丈の食い物と鰹節を2本持ってこい」と要求。ところが魔物は一旦静止して「鰹節って?」と言い返したので、ミケは「私が食べるの」と言う。途端に魔物は「ネコ嫌ァい!!」と叫んでランプに引っ込んでしまう。実は魔物はネコが大の苦手なのだ。これでは魔物が役に立たないと考えたアリババは、署長にネコ狩りを命じた。 こうしてあちこちでネコ狩りが行われる。その様子を見ていた少年アル・ハックと、ハックの従者であるネズミのカジルは止めさせようとするが、逆に退けられた。さらにネコ狩りは強化され、たまりかねたハックとカジルは護送中のネコの中から38匹のネコを救い、小屋に匿う。救い出された38匹のネコの親分・ドラは喜んで、全てハックの部下になると決意、そしてドラたちは、ハックはかつてアリババに倒された盗賊団首領の子孫であることを言う。カジルは、その首領に仕えたネズミの子孫だった。一同はアリババに奪われた宝物を取り戻そうと決意。その時魔物の助けで、兵士たちが小屋を襲ってきた。ハックたちは3日後の満月の日に「がらくた置き場」での再会を誓い、「アル・ハック」「40匹」を合い言葉にすることにして退散した。 やがて魔物の天敵たるネコがいなくなったことで、アリババは魔物を呼び出すと、街の食べ物を片っ端から強奪。さらに自分の権力を示すべく、魔物を使って街のあちこちにアリババ銅像を建てまくるという、やりたい放題し放題の連続。様子を見て苦々しく思うハックであった。 そして満月の日が来た。がらくた置き場にいるハックに、カジルは古い絨毯を持ってきた。これはかつて盗賊団の宝の一つ「空飛ぶ絨毯」で、アリババに宝を奪われる際、カジルの先祖が密かに持ち出した物だ。その時怪しい目が。ハックは「アル・ハック!」と叫んだ。すると「40匹!!」の声が返ってくる。ドラを始めとするネコ達が集まって来たのだ。早速絨毯に乗り込もうとしたが、絨毯は魔物同様ネコが苦手。仕方なく絨毯にハックとカジルが乗り込み、アリババ城に攻め込んだ。怒ったアリババは魔物を呼び出し襲わせる。ハックも絨毯で翻弄するが、途中で絨毯の魔力がエンストして、魔物に襲われ大ピンチ。だがその時、マタタビで催眠状態になったネコたちが風船に乗って飛来、そしてドラも背中の爆弾の爆風で飛来した。魔物とアリババは逃げ出し、地下の宝物蔵へ。ところが中には大勢のネコが。実は街中で捕まったネコは、この宝物蔵に押し込められていたのだ。魔物はダウン、捕らえられたネコは一斉にアリババに襲いかかり、遂にアリババはネコ達とハック一味によって袋の鼠に。一味は「宝物はどこだ!?」と叫ぶが、アリババは「宝物はもう無い」と言い残すと、隙を見て絨毯に飛び乗り逃げ出した。だが途中で再びエンストし、アリババは湖に墜落、オマケに湖のワニに尻を噛まれ、結局自力で逃亡した。この不様振りに大爆笑のハック一味。 やがてハックは魔物を呼び出し、半壊状態のアリババ城を遊園地に改造することを要求、魔物はそれを叶え、アリババ城は遊園地へ生まれ変わった。すると、やって来た子供たちが喜んで遊びだした。本物の宝は取り返せなかったが、ハックにとってはその笑顔が宝物だったのかもしれない。 登場キャラクターハック一味
アリババ一派
その他
声の出演
予告編では、野田はドラの声も兼任、またアリババ33世の声も田の中になっている。 スタッフ
主題歌・挿入歌作詞は山元護久、作曲は宇野誠一郎が担当。
映像ソフト
同時上映
1971年版は初めて特撮が2本上映、ウエイトは『スペクトルマン』が上だったものの、『仮面ライダー』はやがて『まんがまつり』を席巻する作品となる。また『世界名作劇場』作品(および虫プロダクション作品)も『まんがまつり』で初めて上映された。 一方の1976年版は本作を含めて「8本立て」の大盤振る舞い、そのうち半分の4本が新作という状態であった。また1972年春以来の『世界名作劇場』作品として『三千里』が上映された。 脚注参考文献
外部リンク関連項目
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