レスティゴーシュ級駆逐艦
レスティゴーシュ級駆逐艦(英語: Restigouche-class destroyer)は、カナダ海軍の駆逐艦(護衛駆逐艦)の艦級。先行するサン・ローラン級の小改正型として、1959年に7隻が就役した[注 1][1][2][3]。 来歴1940年代末より、カナダとして初めて独自に設計した大型水上戦闘艦であるサン・ローラン級の計画が進められており、当初計画では14隻の建造が予定されていた[4]。その後、1952年発注分の後期建造分7隻については、艦砲など設計の一部を変更した小改正型として建造することとなった。これによって建造されたのが本級である[3]。 設計上記の経緯より、基本的な設計はサン・ローラン級のものが踏襲されており、当初は船体寸法も同一であった。その後、1968年から1973年にかけて、船体を1.6メートル延長する大規模な改修工事が行われた。吃水が増したのとあわせて、満載排水量にして20トン増大した[1]。 機関もサン・ローラン級と同様、出力30,000馬力のイングリッシュ・エレクトリック製ギアード・タービンが搭載された。ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の水管ボイラー2缶で、蒸気性状は圧力43.3 kgf/cm2 (616 lbf/in2)、温度454 °C (849 °F)であった。電源の合計出力は、当初はサン・ローラン級と同じく1,400キロワットであったが、1980年代のDELEX改修の際に出力400キロワットの発電機1基を追加搭載した[2]。 装備C4ISRレーダーはサン・ローラン級と同様で、対空捜索用としてAN/SPS-12、対水上捜索用としてAN/SPS-10を搭載していた。その後、1980年代のDELEX改修の際に、対空捜索レーダーをSPS-503に更新するとともに一般航海用レーダーが追加搭載された[2]。このSPS-503は、プレッシー社のAWS-4レーダーのアンテナを利用して国内開発したものであった[5]。 ソナーもサン・ローラン級と同様で、探信儀としてSQS-503、海底捜索用としてSQS-501(英海軍162型)、対潜迫撃砲の目標捕捉用としてSQS-502(英海軍170B型)を搭載した[3][6]。その後、船体延長工事の際にSQS-505可変深度ソナーが追加装備された[2]。 1980年代のDELEX改修では、レーダーの更新とともに、ADLIPS(Automatic Data Link Plotting System)戦術情報処理装置を搭載し、リンク 11の運用に対応した[7]。またAN/WSC-3衛星通信装置も搭載された[2]。 武器システムサン・ローラン級からの最大の変更点が艦砲で、31番砲を50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)から70口径76mm連装速射砲(ヴィッカースMk.6)に変更した。一方、艦尾側の32番砲は、サン・ローラン級と同じく50口径76mm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)のままとされていた[3]。砲射撃指揮装置(GFCS)としては、当初はMk.69が搭載されており[7]、後にデジタル化されたMk.60に更新された。追尾レーダーはサン・ローラン級と同じくAN/SPG-48が用いられた[2]。 対潜兵器は、当初はサン・ローラン級と同様、艦尾甲板に3連装のリンボーMk.10対潜迫撃砲2基を設置していた。その後、船体延長工事の際に、リンボー1基および32番砲を撤去するかわりに、上記のVDSとともにアスロック8連装発射機を搭載した。また1990年・1991年には、湾岸戦争を受けたペルシア湾岸への派遣任務に伴い、「テラ・ノヴァ」「レスティゴーシュ」ではリンボーとアスロックを撤去し、ハープーン艦対艦ミサイルの4連装発射筒2基や60口径40mm単装機銃2基、ファランクス20mmCIWSを搭載して、対空・対水上戦能力を強化した[3]。またブローパイプないしジャベリン携帯型艦対空ミサイルやブローニングM2重機関銃も搭載された[6]。 諸元表
同型艦一覧表
運用史本級の1隻である「クートニー」(258)は、1969年に右舷のギア・ボックスが爆発するという事故を起こし、9名の死者を出した。これは、カナダ海軍が平時に経験した事故としては最悪のものである。 本級のうちの3隻は1974年に予備役に編入された。のこる4隻は運用を継続したが、後継となるハリファックス級フリゲートの就役開始に伴い、1994年から1997年までに全艦が退役した。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目
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