京成バス松戸営業所京成バス松戸営業所(けいせいばすまつどえいぎょうしょ)は、主に千葉県松戸市を中心に市川市、流山市、柏市に至る路線を担当している京成バスの営業所である。 松戸市古ヶ崎に所在、最寄り停留所は市川線・流山線・日大線・松戸八潮線の「松戸営業所」である。社内の営業所記号は3を用いる。ナンバーは松戸(松戸ナンバー登場以前は野田←習志野)である。 概要松戸を中心に周辺各地への路線を伸ばしている。松戸市内の駅と新興住宅地を結ぶ短距離路線は、主にグループ会社の新京成電鉄(現・松戸新京成バス)に担当させてきた経緯もあり、当営業所は古くからの幹線系の路線が中心で管轄路線数が少ないが、松戸 - 市川間の「市川線」は概ね毎時10本程度の高頻度で運行され、利用者もかなり多い。 市川市に跨る路線については市川営業所と所管路線を分け合っている。また、金町営業所から戸ヶ崎線の一部が移管されて松戸八潮線となった結果、埼玉県内(三郷市および八潮市)にも乗り入れるようになった。 以前は、馬橋(松戸市)から東京の浅草寿町車庫に至る「馬橋線」や、八柱霊園、現・白井市の白井(白井公民館前)及び平塚、あるいは旧沼南町(現・柏市)の沼南ゴルフ場前に至る各線があった。これらは現在廃止又は短縮され、短縮された白井方面の路線についてはちばレインボーバスに移管されている。 また、1970年代頃までは国道6号八ケ崎交差点北西角([1] 現在の松戸新京成バス八ヶ崎入口停留所前)に馬橋操車場を有していた。 歴史
現行路線市川線
主に千葉県道1号市川松戸線を南北に貫き、常磐線・北総線・京成本線・総武線の駅間を短絡して松戸・市川両市主要部を結ぶ路線である。また、京成電気軌道が分離子会社「京成乗合自動車」を作るはるか以前の1923年(大正12年)、地元の名士渡辺敬蔵の手により渡辺乗合自動車の屋号で開通した松戸地区最古の路線でもある。 →詳細は「京成バス § 京成バスの生い立ち」、および「ちばレインボーバス § 松戸〜白井を走るバス(戦前)」を参照 北総線二期区間開通より前のダイヤでは全便が松戸車庫発着だったが、その後松戸駅で折り返す便が設けられた。 沿線には、学校や病院[2]、住宅地を多く抱えており、今昔を通して松戸市内のバス路線で最頻度運行を続けている。松戸駅 - 市川駅間において、北総二期区間(矢切駅)開通以前は毎時12本運行されていたが、開通以後は毎時10本となり、現在に至っている。 途中の上矢切停留所の近くには松戸新京成バスの三矢小台停留所(終点)がある。新京成の三矢小台線は、新京成電鉄時代の一時期循環ルートで運行しており、その頃は一部区間が当路線と重複していたこともある。それより南側の下矢切停留所は矢切の渡しの下車停留所の一つである。また、野菊の墓文学碑や柳原水閘のような観光名所も沿線にある。 流山線
主にいわゆる「流山街道」を走行し、主に松戸と流山を結ぶ。沿線には江戸川沿いの農業地帯を含む他、東葛病院(旧院)があった。後に旧・新松戸線の一部区間を組み込み、流山に行かない枝線系統ができている。 松戸駅から流山市街、流山市中央部方面への唯一の直通交通であり、一時期は松戸から流山駅以北への利用者も多く、古くは東武バスとの相互乗り入れによって野田市内まで行っていた時代もあったが、流山八丁目交差点付近を始めとする渋滞等による遅延や流鉄流山線、東武野田線、JR武蔵野線といった鉄道との競合が背景にあり、現在では南流山駅より北の流山駅・江戸川台駅方面へ行く便は日中概ね2 - 3時間に1本である。 2005年にはつくばエクスプレスが開業し、接続と同時に競合関係にもなっている。 馬橋枝線沿線には千葉県立松戸馬橋高等学校があり、開業時と比べ大幅に本数が減らされてはいるものの通学手段として使われている。 新松戸線時代には他に職業安定所も沿線に存在し、鉄道のない地域における貴重なアクセス手段になっていた。 日大線
松戸駅から北方向へ、当営業所の流山線よりも常磐線寄りを走り、北松戸工業団地西部を通る。その工業団地の各工場からのトラックが、平日の昼間は古ヶ崎五差路のほうに多数通るため、道幅の関係で遅延がしばしば発生している。バスは比較的本数が多いが、近年若干減少の方向にある。終点にある日本大学松戸歯学部(旧・日大松戸歯科大学)への通学輸送と、同附属病院へのアクセスを目的に開設されたが、松戸市栄町など住宅地も点在し途中停留所もかなり使われている。なお、「北松戸駅入口」停留所は北松戸駅と500m程度離れたところにあり、乗換停留所ではない。松82は平日のみ1往復半運行で、終点の日大歯科病院以外は流山線と同一ルート(流山街道)を通る。 国分線
市川営業所管轄の同名路線がベース。1983年(昭和58年)に聖徳学園短期大学附属中学校・高等学校(現在の光英VERITAS中学校・高等学校)が沿線の松戸市秋山に開校したのを受けて、松戸駅から聖徳学園への通学輸送を目的に松52系統が開設され、のちに松51系統が市川から移管されてきた。 →詳細は「京成バス市川営業所 § 国分線」を参照
矢切の渡し線
松戸駅から上矢切地区の江戸川側(いわゆる上矢切第三、上三)に向かう郊外路線。単独区間はほぼ上三地区のみであり、千葉県立松戸矢切高校への通学輸送を目的に開業した。集落外れの田園地帯にある同校校地北隣に折り返し所を設けている。ここを含む末端部の道路が狭隘であるため、全車中型車を使用している。 終点の矢切の渡し入口停留所は、民営渡船「矢切の渡し」の矢切側渡船場とは約1 km ほど離れている。そのため渡し場へは田圃の中と江戸川堤防前の狭い道を歩く必要があったが、2012年4月28日のダイヤ改正で渡し場付近に「矢切の渡し」停留所が新設され、土休日の一部(一日38往復ある内の8往復)に限り同停留所まで延長運行されるようになり、アクセスが大きく改善された。この際に矢切の渡し入口停留所は「旧矢切高校」と改められるが、後に旧松戸矢切高校の建物を再利用した矢切特別支援学校が開校したこともあり、2018年に「矢切の渡し入口」に再改称された。なお以前、方向幕時代に「矢切の渡し」表示を準備した事があったが使用されなかった。 松戸八潮線(東武バスと共同運行)
松戸駅から根本・松戸車庫を経て上葛飾橋(旧・松戸三郷有料道路)を渡り、埼玉県三郷市南部の都県境に近いエリアを走ったのち潮止橋を渡ってつくばエクスプレス線八潮駅南口に至る路線である。東京都内の金町営業所が担当する戸ヶ崎線の枝系統として開設されたため長く金町担当だったが、2009年(平成21年)9月1日付で移管された。ちなみに、金町担当時代は東京都内の営業所管轄であるにもかかわらず東京都域を全く走らないという極めて異例の路線だった。 →詳細は「京成バス金町営業所 § 戸ヶ崎線」を参照 農協支所 - 松戸駅間は東武バスの松03系統・松04系統と同じ経路を走り、停留所も同じである。なお、この路線は京成バス担当便の松戸方面行きに限り運賃が前払いとなっていたが、2014年5月1日より八潮方向行きと同様の後払い整理券方式に変更した。 戸ヶ崎線のうち金町営業所に残った金61系統は戸ヶ崎十字路 - 八潮駅南口間でも都内フリー定期や京成バス&タウンバス都内一日乗車券・京成バス&タウンバスIC金額式定期券が利用可能だが、当路線の同区間は利用不可である。これは運賃体系が戸ヶ崎線(均一制)と異なり対キロ制であり、しかも松戸営業所には都内乗り入れ路線がなく、車両の運賃箱が京成バス&タウンバス都内一日乗車券・京成バス&タウンバス東京都内ICカード金額式定期券に対応していない(運賃箱のタイプも違う)ためである。但し、戸ヶ崎十字路 - 八潮駅南口間の区間定期(紙定期券)の場合は戸ヶ崎線・松戸八潮線共に利用可能である。 また、八潮駅延伸時は潮止橋南と八潮駅南口間に停留所が設置されていなかったが、2009年11月1日付で潮止橋北と大正通り入り口の2停留所が新設された。2011年1月31日より松05の一部本数を使い新中川橋を通る松04系統が新設された。同時に東武バスも松04系統を設定し同一区間に2社が運行している(共同運行[4])。 松04系統及び松05系統は、同一路線で京成バスと東武バスにより共同運行されているが、共通定期券は発行されていない。これは京成バスが紙定期券、東武バスが金額式IC定期券と異なるためである。また、現金支払い時の運賃は京成バス・東武バスともに10円単位で同額であるが、ICカード利用時の運賃は京成バスが1円単位、東武バスが10円単位と異なっている。 なお、松5という系統番号が以前に新京成バスの別の路線で使用されていた事がある(2012年12月1日から2020年3月31日までは松戸新京成バスに松5の系統番号が復活していた。)。同様の例として、東武の松01 - 松04と新京成の松1 - 松4がある。(現在は両者とも系統番号が変更されている) →詳細は「松戸新京成バス § 三矢小台線」を参照
三輪野山線
流山ぐりーんバス流山市のコミュニティバスである「流山ぐりーんバス」で一部路線の運行を委託されている。「松ヶ丘・野々下ルート」は南柏駅・豊四季駅といった柏市内を経由するため、京成バスでは唯一柏市を運行する路線でもある。 →詳細は「流山ぐりーんバス § 現行路線」を参照
新松戸駅・松戸駅 - 羽田空港線(空港リムジンバス)
2018年(平成30年)6月2日開通の東京外環自動車道三郷南IC〜高谷JCT間を通行するリムジン路線として、松戸新京成バスや京浜急行バスとの共同で立ち上げた[8]路線である。開設当初、京成バス担当便は奥戸営業所が担当していたが、2019年4月20日より松戸営業所に移管となった。 →「京浜急行バス羽田営業所 § 空港リムジンバス」、および「京成バス奥戸営業所 § 廃止・移管路線」も参照
松戸駅 - 東京ディズニーリゾート線(高速バス)
《松戸新京成バス本社営業所と共同運行》
松戸駅 - 三井アウトレットパーク木更津線
《小湊鉄道白子車庫と共同運行》
廃止・移管路線白井線鮮魚街道から折立で白井流山線に入る路線。1928年(昭和3年)に大江六郎商会の手により松戸〜佐津間から営業を開始、1935年に白井まで延長され路線の基礎ができる。北総鉄道2期線開通と同時の1991年(平成3年)3月31日付で松戸駅と五香駅の間を廃止。さらに1998年(平成10年)6月1日付でちばレインボーバス白井車庫に移管の上、鎌ヶ谷線と改称した。 →詳細は「ちばレインボーバス § 鎌ヶ谷線」を参照
平塚線こちらは終点まで鮮魚街道沿いを行く路線で、1959年(昭和34年)2月1日運行開始。1991年(平成3年)3月31日付で松戸駅と五香駅の間を廃止。ちばレインボーバスの営業開始後も京成電鉄が数カ月間運行したが、1998年10月19日限りで廃止。 沼南ゴルフ場線
1960年(昭和35年)3月10日付で開設。1987年(昭和62年)、下総航空基地までに短縮され廃止。 木下線1970年(昭和45年)、白井車庫開設時に市川営業所から移管。この時に白井車庫を境に西船橋と白井の間が白井線、白井と木下の間が木下線となる。1998年(平成10年)6月1日付でちばレインボーバス白井車庫に移管後、2009年(平成21年)3月31日限りで白井駅と木下駅の間が廃止された。 →詳細は「ちばレインボーバス § 木下線」を参照
八柱線
馬橋線馬橋から国道6号をひたすら南下し東京都台東区の浅草寿町車庫まで行っていた。金町以南は都営バスの69系統(現・草39系統)と同一ルートだった。1969年(昭和44年)に葛飾区役所打ち切りに短縮された後、1971年(昭和46年)頃に廃止。 →「都営バス青戸支所 § 草39系統」も参照
学園線学園線は東松戸駅と松戸市秋山にある聖徳学園を結ぶ通学輸送を目的として2014年9月に開設された路線である。松戸営業所の路線バスでは唯一、東松戸駅に乗り入れていた。利用客のほとんどが聖徳学園(聖徳大学附属小学校・聖徳大学附属女子中学校・高等学校)の生徒と教職員であったため、学校が長期休暇の期間は路線運休となっていた。2021年3月18日の運行を最後に路線廃止となった。 東初石線
西初石線
三輪野山線(廃止)
車両市川営業所や都内、さらに京成トランジットバスといった近隣拠点がいすゞ自動車中心の配車となっているのに対して、当営業所の一般路線車は京成電鉄時代からグループ唯一となる三菱ふそう(新三菱重工→三菱重工→三菱自動車工業→三菱ふそうトラック・バス、MR系→MP100系→エアロスター)が代々選択されてきた。 →「京成バス § 車両」も参照 ボディは当初三菱純正だったが、1978年(昭和53年)から1996年(平成8年)までは都内や市川のいすゞ車と同じ富士重工(現・SUBARUおよび桐生工業)が架装された。このため1984年(昭和59年)登場の初代エアロスターボディは三菱純正、新呉羽自動車工業製共に発注したことがない。2代目エアロスターボディにフルモデルチェンジした後の1997年(平成9年)より再び三菱ふそう純正車体となり、三菱自動車も1998年(平成10年)4月以降納車分は富士重工ボディの架装を認めない方針に転換した。 →「三菱ふそう・エアロスター § KC-MP217/617系」、および「スバルカスタマイズ工房 § 歴史」も参照
2008・2009年度は、三菱ふそうトラック・バスが日産ディーゼル工業製OEM車『エアロスター-S』を主に推してきたが、京成グループは日産ディーゼルとの取引がほとんどないこともあって三菱ふそうから購入しなかった。代わりに日野自動車のブルーリボンⅡ[15]を納車させるが、日産ディーゼル改めUDトラックスのバス車両事業撤退に伴い三菱ふそう自社での大型ノンステップ車生産が再開されることになり、2010年(平成22年)秋導入分から3年ぶりにエアロスターが配車された。 →詳細は「三菱ふそう・エアロスター § エアロスター-S」、および「いすゞ・エルガ § PKG-/PDG-LV234系」を参照 また、2009年(平成21年)の松戸八潮線移管に際して、金町営業所からいすゞキュービックノンステップバス(KC-LV832N)が転入してきたが、ふそうが自社生産を再開した直後のエアロスター(LKG-MP37FM)によって置き換えられた。 →詳細は「いすゞ・キュービック § フルノンステップバス(KC-LV832系)」、および「三菱ふそう・エアロスター § LKG-MP系」を参照
2014年(平成26年)11月、京成バス初となる新型エアロスターQKG-MP38FKが導入された。現行のエアロスター2PG-MP38FKは、2017年11月から納入されている。 配置される大型車は基本的に標準尺だが、 PKG-KV234L2 (ブルーリボンⅡ)や QKG-MP37FK (エアロスター)などといった短尺の車両も多数配置されている。なお、日野自動車に関しては PDG-KV234N2 (標準尺・AT車)も配置されている。 松戸営業所の車両は1997年(平成9年)上期までの納車分は習志野ナンバー、以後は野田ナンバーを付けているが、松戸市がご当地ナンバー第3弾募集に応募し認められたため、2020年4月以降納車分から「松戸ナンバー」に切り替えられる予定である。 →詳細は「千葉運輸支局 § 陸運部門」、および「ご当地ナンバー § 応募地域」を参照
脚注
関連項目 |