何者『何者』(なにもの)は、江戸川乱歩の著した100ページほどの中編本格推理小説。『時事新報』夕刊に1929年(昭和4年)11月27日号から12月29日号まで連載された。 明智探偵が活躍する、いわゆる明智小五郎ものの一つである。 あらすじ「私」は、友人・甲田伸太郎と、2人の友人である結城弘一の鎌倉の家で学生生活最後の夏休みを満喫していた。ある日の夜、弘一が父親の書斎で狙撃され足に重傷を負った。どうやら強盗が書斎の窓から侵入して物色しているところに弘一が入り、彼が足を撃たれた直後に甲田が書斎前を通りかかって殺人には至らなかった。だがピストル強盗は、机の現金よりも価値のない金色に光るものばかり盗んでいった。弘一は持ち前の探偵趣味を生かし、入院先のベッドで「私」や波多野警部などから巧みに情報を得ながら、事件を解決へと導いていく。その推理は何処にも瑕疵のないものと思われたのだが、謎の男・赤井さんによってその推理は覆されるのだった…。 主要登場人物
評価江戸川乱歩によれば、「(動機に)一つの独創があり、自分ではよく出来た作と思つてゐたのに、全く反響がなかつた」という[1]。 備考作中に『明智小五郎探偵談』という書物が登場し、結城弘一が「この男はいやに理屈っぽいばかりだ」とけなす場面がある。これは架空の書物であり、当時、明智小五郎の名を冠した書籍はまだ存在していなかったが、その後、『名探偵明智小五郎』(先進社、1930年4月)が刊行され、『何者』が初収録された(他に『D坂の殺人事件』から『屋根裏の散歩者』までの5短編と、『一寸法師』を収録)[2]。 真犯人が明かされる最終章の見出しは「THOU ART THE MAN」となっており、これはエドガー・アラン・ポーの短編小説『お前が犯人だ』の原題と同じである[2]。 テレビドラマ
原作では赤井の正体は読者に対しても結末まで伏せられているが、このドラマ版においては、赤井の正体は視聴者には最初から明らかにされている。
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