俺たちの箱根駅伝
『俺たちの箱根駅伝』(おれたちのはこねえきでん)は、池井戸潤の小説。『週刊文春』(文藝春秋)に2021年11月11日号から2023年6月15日号まで連載され、2024年4月24日に同社から上下巻の単行本が刊行された[1]。 箱根駅伝本選での活躍を目指す大学陸上競技部のランナーたちと、中継を担うテレビ局の裏側を描く群像劇。 箱根駅伝本選を目指す予選会から本選までの様子を描いた第一部(単行本上巻)と、箱根駅伝本選の様子を描いた第二部(単行本下巻)からなる二部構成。池井戸の単行本で上下巻が同時発売されるのは本書が史上初となる[2]。 2024年4月24日、単行本の発売と同時に浅木俊之の朗読によるオーディオブックがAudibleから配信されている[3]。 制作背景箱根駅伝のテレビ中継を視聴する程度であった池井戸が、2014年ごろに箱根駅伝に関する本を作った編集者から中継ポイントに1箇所だけ「小涌園前」という旅館の実名が付けられたエピソード[注 1]を教えられ興味を惹かれ[2]、その後、箱根駅伝の完全中継を企画した初代プロデューサー・坂田信久をはじめとする番組制作の関係者から直接話を聞く機会に恵まれ[4]、当時技術的に中継が困難で局からGOサインがでなかった駅伝中継の企画を成功させたテレビマンたちの偉業を多くの人に知ってもらうべきと考え、箱根駅伝の中継に奮闘するテレビクルーたちの物語の創作に着手する[4]。だが、箱根駅伝を描くにあたり、主役のランナーたちの物語を避けて通るわけにはいかず、実在のチームを舞台に物語を書くには難しく、架空の大学名を並べても読者が感情移入しづらいとのジレンマに陥り、6 - 7年の間構想が行き詰まるが[5]、ジレンマを解消できる新しい切り口[注 2]を思いつき、連載に漕ぎつけている[5]。 連載中は過去の大会の録画を繰り返し見たり現地にも足を運ぶなどして執筆し、連載開始前に訪問した関東学生陸上競技連盟や放送を手掛ける日本テレビの関係者から「ゴールする」ではなく「フィニッシュする」といった陸上競技用語の使い方から、フィニッシュ後に倒れ込んだ選手にチームメイトが駆け寄る描写に「あのエリアには救護員しか入れない」などといった実際のルール、「立ちはだかるような坂道」と描写した箇所への「ここの坂はそれほどではない」など細部にわたる指摘を受け、単行本化の際にはそのような箇所を修正し、連載時にはなかった選手たちの絆を確かめる感動のシーンも加筆され、700ページを超える大作を完成させている[6]。 あらすじ
登場人物明誠学院大学 陸上競技部箱根駅伝本選出場から遠ざかり返り咲きを目指す古豪。
大日テレビ千人体制で箱根駅伝の中継を担うテレビ局。
関東学生連合チーム箱根駅伝本選出場を逃した大学から選抜された選手で編成される本選出場チーム。
書籍情報
オーディオブック2024年4月24日よりAudibleにて浅木俊之が朗読するオーディオブックが配信されている[3]。 関連項目
脚注注釈出典
外部リンク
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