第57回NHK紅白歌合戦
『第57回NHK紅白歌合戦』(だいごじゅうななかいエヌエイチケイこうはくうたがっせん)は、2006年12月31日(日)にNHKホールで行われた57回目となるNHK紅白歌合戦で19:20 - 23:45まで生放送された(21:25 - 21:30はニュースのため中断。BShiは別番組)。双方向対応番組。今回から二部制はとられていない。 放送メディア海外向けには、NHKワールド・プレミアム・NHKワールド・ラジオ日本。ただし、著作権処理や電波運用の関係で、一般視聴者が直接受信できるNHKワールドTVでは放送されなかった。また、ラジオはアジア大陸と東南アジア地域のみが生放送で、それ以外の地域は時差放送となった。 放送まで
死亡事故放送当日の最終リハーサル中に、仲間由紀恵の横にプラカードを下げ出演者の代役で立っていたNHK制作局エンターテインメント番組担当の56歳の男性職員が舞台上で意識を失い倒れるという事故があった。この職員は、翌1月1日に搬送先の病院でクモ膜下出血により死亡した。 当日のステージこの年から『日本レコード大賞』が1日繰り上がりの12月30日開催となったため、多くの出場者が参加しやすい状況となった[注 1]。 歌手紹介のテロップに「出場回数」の項目および「出身地」の項目(3人以下のグループのみ)が復活した。また、曲終了時にも小さくタイトルと歌手名が表示された。 前半
後半
DJ OZMAのパフォーマンス38番手のDJ OZMAが歌唱した「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」は、ショーを売り物にする酒場「ショーパブ」(大人の遊び場)での演舞が元ネタとなっている楽曲のため“脱ぎパフォーマンス”で有名であり、事前のスポーツ新聞の取材に対して紅白用の特別な“脱ぎパフォーマンス”を行う事を公言していた。 当日のステージでは、最初は通常の衣装で登場したものの、曲の中盤でOZMAが簡易脱衣場[注 3]に入って衣装を脱ぎ、曲の後半はボクサーパンツ1枚の半裸になって登場した。またサンバ・カーニバル風の衣装を着用していたバックダンサーも、OZMAの脱衣を契機に次々と衣装を外し、一見トップレスの姿となった。これは実際には裸体風のボディスーツを着用していたものであったが、精巧に作られており、テレビ(特にアナログやワンセグ)の画面を通じた視聴者には裸体と誤認した人も少なくなかったため、出番直後から苦情が殺到し、徳永英明の歌唱後に三宅が謝罪するに至った(その際、会場からは笑いが起こった)。また、歌唱後には仲間や横峯親子が困惑しながらコメントする一幕もあった。 早速紅白終了後に放送された『2007年新春生放送 年の初めはさだまさし』で、OZMAの2組後の出番だったさだまさしが当該のパフォーマンス、そしてOZMAの直後に歌唱したアンジェラ・アキを労い絶賛したことを始めとして、年明け以降の紅白に関する話題はこのボディスーツの件に集中し、年初のスポーツ紙や民放各局の情報番組・ワイドショーで大きく取り上げられた。NHKはこの件に関し、公式サイトで経緯を説明、1月4日には当時NHK会長の橋本元一が新年の職員挨拶の中で改めて謝罪した。 1月10日、所属事務所とレコード会社がNHKを訪れ、一連の経過について謝罪。OZMAからのコメントはないものの、同一人物である綾小路翔(氣志團)のブログに「モラルは大事」とコメントがあった。 1月11日には橋本が定例会見でOZMAのパフォーマンスについて釈明を行った。その要旨は次の通り。
1月14日OZMAが自分のブログで謝罪を表明。同時に紅白のプロデューサーの実名を挙げて対応を批判。NHK側が責任逃れをしていると指摘した。 結果的にNHKに対する苦情は2000件近くに上った。放送倫理・番組向上機構(BPO)にも100件を超える苦情が寄せられ、回答を求められた。また、OZMA本人もこのパフォーマンス問題のため、翌年の第58回に関しては早くから「辞退」を宣言していた[注 4]。 OZMAと同一人物であることを明かした後、綾小路は2017年(平成29年)8月4日にフジテレビ系列で放送された『ダウンタウンなう』に出演した際に「歌った後、全員で『やった!』と喜んでいたけど、北島三郎先生にだけは伝えていなかった。ダッシュで(別棟にあった)楽屋に走って、先生に『ありがとうございました』と言ったら、先生は本番見ていなくて『成功したか?』とだけ聞かれて。そうしたら、楽屋のテレビにアナウンサー(三宅)が『今のはボディースーツです』とお詫びしているのが流れちゃって」と当時の舞台裏を語った[8]。 結果優勝は前回に続き白組。対戦成績は紅組28勝・白組29勝となり、第18回(1967年(昭和42年))以来38年ぶりに白組の勝ち越しとなった。 審査方法は、前回の方法を踏襲しつつ、前々回のボールによる最終判定を復活させた。要旨と結果は次の通り。
途中審査のトラブル(BShiのみ)があったが、紅白の票差は拮抗した。しかし、中間のワンセグ・デジタルテレビ審査以外はすべて白組が勝ったため、白組にボールが大量に入った。それが白組優勝の要因となった。 優勝旗授与は渡辺謙が行った。特別審査員が渡すのは第29回(1978年)以来で、以降第70回(2019年)までこれが続けられた。 司会者
前回は司会の区別を設けない体制であったため、第55回以来2年ぶりに司会ポストを分ける形に戻った(第71回<2020年>まで。第72回<2021年>以降は再び司会の区別が廃止)。仲間は2年連続2回目、中居は第49回(1998年)以来8年ぶり3回目、三宅は第53回(2002年)以来4年ぶり3回目、黒崎は初司会。 仲間・中居の両組司会起用は司会発表前日に『スポーツ報知』が独占スクープしていた。中居の司会起用並びに仲間・中居の共同司会は前回でも各メディアで取り沙汰された[9]。 前回司会を務めたみのもんたは2年連続司会に意欲を見せ、またシングル「夜の虫」も発売して「歌手と司会での出場」を公言していた[10][11][注 5]が、叶わなかった。今回司会に落選したみのは司会発表直後、「司会は隔年でやるのがいい。来年は是非やりたい」と翌年の第58回の司会就任に意欲を見せる発言を行った[12]。しかし、以後もみのの紅白司会再登板は実現していない。また、本紅白の司会発表後、『週刊文春』が「みのの司会続投案はあったが、前回の本番終了後、みのが番組側を批判する発言を行った[9]ため、見送りになった」と報じた。 同じく司会発表前には『ZAKZAK』(2006年11月10日付)がこの年プロ野球選手を引退した新庄剛志の白組司会起用が急浮上していると報じていた[注 6](新庄本人がNHKに自身を紅白の司会に起用するようアプローチをかけていた[13]。また、ゲスト審査員になるとの報道もあった)。その他、SMAPが全員で司会(「メンバーが紅組・白組の司会を分担する形式でのものを検討しつつも交渉は難航すると見られる」とも伝えられていた)をするとの報道もされていた[14]。 今回から第70回(2019年)まで組司会(第58回のみ紅組司会、それ以外は白組司会)にジャニーズ事務所所属タレントが起用された。 仲間は今回で一旦紅組司会を退いたが、第59回(2008年)、第60回(2009年)でこの座に復帰している(第58回も応援ゲストとして出演し、一青窈と秋川雅史の曲紹介を担当[注 7][注 8])。 SMAPは前回白組トリおよび大トリを務めたが、同リーダーの中居が今回から第60回まで組司会に起用された都合でこの4年間SMAPは白組トリを務めることがなかった[注 9]。なお、中居が組司会を退いた第61回(2010年) - 第64回(2013年)において、SMAPは再び白組トリおよび大トリを務めた。 メイン演奏審査員
出場歌手紅組、 白組、 企画、 初出場、 返り咲き。
※カッコ内は出場回数。12月27日に出演順が発表された。 「みんなのうた45年!キッズショー」の曲目・歌手は次の通り。
選考を巡って出場が有力視されながら本人が辞退または落選した歌手は次の通り。
ゲスト出演者特別審査員
スペシャルゲスト演奏ゲスト
応援ゲストなど
主要スタッフ所属部署と担当番組は放送当時のもの
視聴率地上波アナログ・デジタル総合テレビでの視聴率は、関東地区で第1部が30.6%(前回35.4%)、第2部が39.8%(前回42.9%)となり、第1部はワースト記録タイとなり、第2部も第55回(2004年(平成16年))に次ぐワースト2位となった。また、関西地区でも第1部が28.5%で過去最低タイ、第2部が37.6%とワースト記録を更新している。 ただし、上記の数字にはBShiとBS2の視聴率はカウントされず、全体でどれだけの人々が紅白を視聴したかは正確に把握されていないのが実情である。報道に対して番組責任者は「相当数の方にお楽しみ頂けたと考えている」とコメントした。 歌手別視聴率は昨年に続いてSMAPが最も高く、登場時にすでに47.1%、1分後には1.2%上回る48.3%を記録し、そのまま歌い終わるまで48%台をマークした。過去10年では歌手別最高視聴率をマークした回数はSMAPが最多である。第2位は倖田來未の47.3%だった。また、ハプニングを起こしたDJ OZMAは43.8%を記録した。 なお、番組の著作権や出場歌手の肖像権などの事情もあり、前回同様、総合テレビの再放送は行われなかった。 裏番組としては、TBSの『K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』は第2部が関東地区では19.9%(前回14.8%)の高視聴率を記録した。 脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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