米沢市(よねざわし)は、山形県の置賜地方に位置する市。
置賜地方最大の都市で、人口は県内4位。山形県置賜総合支庁の所在地で、上杉氏(米沢藩)の城下町として知られる。
地理
市域は南置賜郡の大半および東置賜郡の一部を加えた範囲に及ぶ。南部及び東部は広い山地に囲まれた盆地で、一般的には米沢盆地と呼ばれている。市南部は幾つもの川が刻まれ、尾根筋と谷筋が東西交互に並んだ複雑な地形である。明治時代まで米沢と会津を結ぶメインルートであった旧米沢街道は県境越えの桧原峠までの市内に船坂峠、綱木峠の2つの峠がある。南端の吾妻連峰一帯は磐梯朝日国立公園となっており、天元台スキー場がある。市街地は市の中北部にあり、最上川の西岸の米沢城址付近に集中している。
気候
寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。降雪量が多く、周辺の自治体と同様に特別豪雪地帯に指定されている。
冬季は-15℃前後の気温が観測されることが珍しくなく、近年でも2012年2月1日に-17.0℃、2013年2月12日に-16.7℃、2013年2月26日に-16.6℃、2018年1月15日に-16.3℃を観測している。
夏季は35℃を超える猛暑日となることもあるが、1日の気温差が大きく、熱帯夜となることは極めて稀であるため、朝晩は過ごしやすい。
- 極値[1]
要素 |
観測値 |
観測年月日
|
最高気温 |
37.7℃ |
2018年8月23日
|
最低気温 |
-18.2℃ |
1978年2月17日
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米沢(1991年 - 2020年)の気候
|
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
|
最高気温記録 °C (°F)
|
13.6 (56.5)
|
17.5 (63.5)
|
22.8 (73)
|
29.9 (85.8)
|
34.7 (94.5)
|
34.7 (94.5)
|
36.5 (97.7)
|
37.7 (99.9)
|
36.8 (98.2)
|
29.6 (85.3)
|
24.6 (76.3)
|
17.8 (64)
|
37.7 (99.9)
|
平均最高気温 °C (°F)
|
2.6 (36.7)
|
3.5 (38.3)
|
7.6 (45.7)
|
15.5 (59.9)
|
22.0 (71.6)
|
25.3 (77.5)
|
28.4 (83.1)
|
29.9 (85.8)
|
25.4 (77.7)
|
19.1 (66.4)
|
12.2 (54)
|
5.5 (41.9)
|
16.4 (61.5)
|
日平均気温 °C (°F)
|
−0.8 (30.6)
|
−0.5 (31.1)
|
2.7 (36.9)
|
9.3 (48.7)
|
15.6 (60.1)
|
19.8 (67.6)
|
23.4 (74.1)
|
24.5 (76.1)
|
20.1 (68.2)
|
13.5 (56.3)
|
7.1 (44.8)
|
1.7 (35.1)
|
11.4 (52.5)
|
平均最低気温 °C (°F)
|
−4.4 (24.1)
|
−4.6 (23.7)
|
−1.7 (28.9)
|
3.5 (38.3)
|
9.7 (49.5)
|
15.0 (59)
|
19.4 (66.9)
|
20.2 (68.4)
|
15.9 (60.6)
|
9.0 (48.2)
|
2.7 (36.9)
|
−1.7 (28.9)
|
6.9 (44.4)
|
最低気温記録 °C (°F)
|
−17.3 (0.9)
|
−18.2 (−0.8)
|
−12.6 (9.3)
|
−5.3 (22.5)
|
0.6 (33.1)
|
6.9 (44.4)
|
7.0 (44.6)
|
11.4 (52.5)
|
5.3 (41.5)
|
−1.0 (30.2)
|
−7.9 (17.8)
|
−14.4 (6.1)
|
−18.2 (−0.8)
|
降水量 mm (inch)
|
159.5 (6.28)
|
101.8 (4.008)
|
85.5 (3.366)
|
67.4 (2.654)
|
71.1 (2.799)
|
114.0 (4.488)
|
177.9 (7.004)
|
151.4 (5.961)
|
128.2 (5.047)
|
117.7 (4.634)
|
105.0 (4.134)
|
158.2 (6.228)
|
1,444.6 (56.874)
|
降雪量 cm (inch)
|
267 (105.1)
|
196 (77.2)
|
103 (40.6)
|
8 (3.1)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
0 (0)
|
7 (2.8)
|
146 (57.5)
|
711 (279.9)
|
平均降水日数 (≥1.0 mm)
|
21.6
|
17.3
|
15.2
|
11.1
|
9.6
|
10.5
|
14.3
|
11.3
|
11.2
|
11.0
|
14.8
|
19.6
|
168.0
|
平均月間日照時間
|
61.5
|
87.1
|
144.5
|
179.9
|
202.2
|
165.3
|
145.7
|
182.6
|
139.6
|
129.8
|
96.9
|
64.9
|
1,595.8
|
出典1:Japan Meteorological Agency
|
出典2:気象庁[2]
|
歴史
旧出羽国南部にあり、鎌倉時代は長井氏の領地、室町時代初期から伊達氏の領地となった。戦国時代(天文の乱の後)に伊達氏の本拠地となる。「独眼竜」こと伊達政宗は米沢城で生まれ、豊臣政権下で岩出山城(現在の宮城県大崎市)へ移封となるまで米沢を支配した。
関ヶ原の戦いで西軍が敗れた結果、会津地方を支配していた上杉景勝は徳川家康に降伏し、減封のうえ北隣の米沢へ移された(「上杉景勝#会津征伐」参照)。以後、江戸時代から明治の廃藩置県までは米沢藩上杉氏の城下町となった。上杉氏の旧本拠地春日山城があった上越市(新潟県西部)との関係が深い。豊臣政権下で上杉景勝が福島城下を領地にしていたことや、江戸時代に年貢米や物資の運搬のため米沢藩米蔵が福島城下に多く立ち並んでいたことから福島市との関係も深い。
年表
行政区域の変遷
人口
|
米沢市と全国の年齢別人口分布(2005年)
|
米沢市の年齢・男女別人口分布(2005年)
|
■紫色 ― 米沢市 ■緑色 ― 日本全国
|
■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性
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米沢市(に相当する地域)の人口の推移
1970年(昭和45年)
|
92,764人
|
|
1975年(昭和50年)
|
91,974人
|
|
1980年(昭和55年)
|
92,823人
|
|
1985年(昭和60年)
|
93,721人
|
|
1990年(平成2年)
|
94,760人
|
|
1995年(平成7年)
|
95,592人
|
|
2000年(平成12年)
|
95,396人
|
|
2005年(平成17年)
|
93,178人
|
|
2010年(平成22年)
|
89,401人
|
|
2015年(平成27年)
|
85,953人
|
|
2020年(令和2年)
|
81,252人
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総務省統計局 国勢調査より
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行政
市長
歴代市長[4]
代 |
氏名 |
就任日 |
退任日 |
備考
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官選米沢市長
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1 - 2 |
大滝龍蔵 |
1889年(明治22年)7月5日 |
1899年(明治32年)7月30日 |
|
3 |
大滝新十郎 |
1899年(明治32年)9月9日 |
1902年(明治35年)6月18日 |
|
4 |
平田駒太郎 |
1902年(明治35年)7月22日 |
1905年(明治38年)2月3日 |
|
5 - 6 |
二村忠誠 |
1905年(明治38年)2月3日 |
1912年(明治45年)1月20日 |
|
7 |
酒井寛助 |
1912年(明治45年)4月23日 |
1914年(大正3年)3月13日 |
|
8 |
深沢忠蔵 |
1914年(大正3年)4月16日 |
1918年(大正7年)4月15日 |
|
9 |
宇佐美駿太郎 |
1918年(大正7年)5月13日 |
1920年(大正9年)6月25日 |
|
10 |
永井秀蔵 |
1920年(大正9年)11月24日 |
1924年(大正13年)11月23日 |
|
11 |
深沢忠蔵 |
1925年(大正14年)3月5日 |
1929年(昭和4年)3月4日 |
|
12 - 16 |
登坂又蔵 |
1929年(昭和4年)3月16日 |
1944年(昭和19年)3月4日 |
在任中に死去
|
17 |
宇佐美辰五郎 |
1944年(昭和19年)5月2日 |
1946年(昭和21年)11月16日 |
|
公選米沢市長
|
18 |
岡村武雄 |
1947年(昭和22年)4月6日 |
1948年(昭和23年)7月7日 |
|
19 - 20 |
高橋広吉 |
1948年(昭和23年)8月5日 |
1955年(昭和30年)12月3日 |
在任中に死去
|
21 - 25 |
吉池慶太郎 |
1956年(昭和31年)1月27日 |
1975年(昭和50年)12月20日 |
|
26 - 27 |
長俊英 |
1975年(昭和50年)12月22日 |
1983年(昭和58年)12月21日 |
|
28 - 32 |
高橋幸翁 |
1983年(昭和58年)12月22日 |
2003年(平成15年)12月21日 |
|
33 - 35 |
安部三十郎 |
2003年(平成15年)12月22日 |
2015年(平成27年)12月21日 |
|
36−37 |
中川勝 |
2015年(平成27年)12月22日 |
2023年(令和5年)12月21日 |
|
38
|
近藤洋介
|
2023年(令和5年)12月22日
|
|
|
警察
消防
紋章
米沢市の「米」の字を図案化し、末広で構成したものである。制定は文献によっては1919年(大正8年)5月19日の米沢大火で米沢市役所を全焼し、文書等を類焼したために不詳であったが[3]、『都市の紋章:一名・自治体の徽章』では1908年(明治41年)9月3日に一般公募によって制定されたとされている[5]。
議会
市議会
→詳細は「米沢市議会」を参照
経済・産業
江戸時代から続く産業として、繊維産業が盛んで、米沢織(米織)とよばれる。米沢紬と呼ばれる紬も、周辺地域と合わせて生産される。明治時代には、米沢高等工業学校が置かれ、大正時代には、同学校教授秦逸三によって帝国人造絹絲株式会社(帝人の前身)が興った。後に、工場用地、用水の問題から米沢工場は廃止されている。1949年(昭和24年)、米沢高等工業学校は山形大学工学部と改組されるが、工学部は米沢キャンパスとして現在も米沢に拠点を置いている。
第一次産業
リンゴ(林檎)、米沢牛、食用の鯉を「米沢の味ABC」としてPRしている(下記参照)。伝統野菜として雪菜が栽培されている。雪国で冬でも育つ野菜として、米沢藩主上杉鷹山が栽培を奨励したと伝わる[6]。
米沢味のABC
米沢の特産品をわかりやすく宣伝するために考案された[7]。
- A - 舘山林檎 (Apple) :寒暖差の大きいこの地に良く合い、濃縮されたような甘酸っぱさが特徴である。品種は主に「ふじ」が有名。
- B - 米沢牛 (Beef) :日本三大和牛の一つ。その発祥と主な生産地は隣町の飯豊町。
- C - 米沢鯉 (Carp) :たんぱく質不足を補うため上杉鷹山が飼育を始めた。
第二次産業、第三次産業
工業出荷額は7331億円(2006年、経済産業省工業統計)で、東北地方4位(郡山市、いわき市、仙台市に次ぐ)。
観光業については後述。
主要企業
本社が米沢市
米沢市に工場・事業所が所在
金融機関
米沢市に本店・支店・出張所等の窓口を置く預貯金取扱金融機関は以下のとおり(2021年12月現在)。
- 括弧内は窓口事務所数(事務所数1の場合は省略) 山形銀行、荘内銀行、きらやか銀行のブランチインブランチは除く。
郵便
- 日本郵便
- 米沢郵便局(集配局)
- 関根郵便局(集配局)
- 万世郵便局(集配局)
- 南原郵便局(集配局)
- 板谷郵便局
- 米沢春日郵便局
- 小野川郵便局
- 米沢中央七郵便局
- 米沢六郷郵便局
- 米沢城南郵便局
- 上郷郵便局
- 米沢大門郵便局
- 窪田郵便局
- 口田沢郵便局
- 米沢松が岬郵便局
- 米沢舘山郵便局
- 米沢駅前郵便局
- 米沢通町郵便局
- 米沢花沢郵便局
- 米沢御廟郵便局
- 米沢城西郵便局
- 米沢丸の内郵便局
- 関簡易郵便局
姉妹都市・提携都市
国内
参考: 姉妹都市の位置(米沢市サイト内)
海外
学校
米沢藩の藩校として1697年に設置された興譲館は、現在の山形県立米沢興譲館高等学校として伝統を受け継いでいる。上杉家歴代の中でも家祖謙信と中興の祖鷹山は特に顕彰され、全小学校の講堂(体育館)には参考画像と同じ肖像画を掲げ、教育が行われる。また、山形大学の工学部は、1910年(明治43年)設立の米沢高等工業学校を前身とする。
- 大学・短期大学
高等学校
中学校
小学校
交通
鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
バス
道路
- 高速道路
- 一般国道
- 都道府県道
空港
※定期航空便は発着しない。旅客の利用が可能な最寄りの空港は山形空港。山形空港をはじめとする空港と米沢市内を直結する公共交通はない。
観光
観光客誘致に力を入れており、米沢出身または縁がある著名人に「おしょうしな観光大使」を委嘱している(「おしょうしな」は「ありがとう」を意味する米沢方言)[8]。
祭事
名所・観光地・遺跡・史跡
参照:城下町ふらり歴史探訪
土産・名産品
- 米沢牛
- 笹野一刀彫(おたかぽっぽ等)
- うまいたれ(平山孫兵衛商店)
- カクリキ味噌(株式会社花角味噌醸造)
- 米沢紬
- 日本酒:雅山流(新藤酒造店)、東光(小嶋総本店)
悪臭問題
2008年(平成20年)12月、市南部の南原地区内の堆肥製造事業所と養豚事業所が原因とされる悪臭が市街地まで達し、多くの苦情が発生した[10]。このため、米沢市議会に特別委員会が設置された。
2014年(平成26年)3月時点で苦情はほぼない状態となっており、特別委員会では「解決まであと一歩」と報告されている[10]。しかし、隣接する住宅への悪臭はいまだ解決されていないため、現在は堆肥製造事業所の業態転換と養豚事業所の移転実現へ向けた市と県の支援と指導が続いている[10]。
著名な出身者
政官界
武士
軍人
財界
学界
報道
文化
その他
脚注
参考文献
- 近藤春夫『都市の紋章 : 一名・自治体の徽章』行水社、1915年。
関連項目
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
米沢市に関連するカテゴリがあります。
- 行政
- 観光