踊り子 (列車)
踊り子(おどりこ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)、伊豆急行、東海旅客鉄道(JR東海)および伊豆箱根鉄道が東京駅 - 伊豆急下田駅・修善寺駅間を東海道本線・伊東線・伊豆急行線・伊豆箱根鉄道駿豆線経由で運行する特別急行列車である。 本項は、同一経路で運行されている「サフィール踊り子」などとともに、首都圏と湘南・伊豆半島を結ぶ連絡列車の沿革も記述する。 概要
「踊り子」は、1981年10月に運転を開始した。当列車の登場まで東京と伊豆半島方面を結ぶ優等列車は特急「あまぎ」と急行「伊豆」の二つが運転されていたが、いずれも当列車に統合された。「踊り子」の列車名の由来は、川端康成の『伊豆の踊子』に由来し、一般公募で決定した。 車両は同年1月に登場した185系[注 1]が一部の臨時列車を除き全ての列車に一貫して使用されていた。しかし2021年3月12日に定期列車の運用から撤退し[新聞 1]、3月13日のダイヤ改正以降は「踊り子」の全列車がE257系2000番台・2500番台で運用されている[新聞 2]。 2024年3月16日現在、定期列車として下記の4往復が毎日運転されている[1]。
修善寺駅発着の全ての列車は、東京駅 - 熱海駅間で伊豆急下田駅発着の列車と併結運転を行い、熱海駅で増解結する。 伊豆急下田駅発着と修善寺駅発着ともに臨時列車扱いだが、毎週土日などに定期的に運行される列車が存在する。 号数の付番は、毎日運転および主に土休日に運行されている列車は「1号」から順に、繁忙期のみ運行の臨時列車は「51号」から順に付されている[2]。 臨時列車として、2020年3月14日のダイヤ改正まで大宮駅発着列車が、2021年2月28日まで常磐線我孫子駅発着列車が、それぞれ設定された。 運行概況停車駅2024年3月16日現在の定期列車(4往復)の停車駅および臨時列車の停車駅を記す[1]。
過去の臨時運行区間の停車駅使用車両・編成
大宮総合車両センター所属のE257系2000番台及び2500番台を使用し、グリーン車と普通車で編成されている。グリーン車は9両編成の4号車にある。また臨時列車では波動用の5000番台も一部で使用される。 東京駅 - 熱海駅ては在来線特急列車では最長となる15両編成の列車が設定されていたが、2021年3月13日のダイヤ改正で、E257系統一により14両編成に減車された。2021年改正まで普通車には自由席の設定もあり、伊豆急下田駅発着・修善寺駅発着ともに2両設定されていた[注 2]が、同改正で全車指定席となった[3]。それ以前も前述の我孫子発着を含む一部の臨時列車は全車指定席であった[注 3]。伊豆箱根鉄道駿豆線内は大人200円、子供100円の特急料金が設定されている[注 4]。 田町電車区に所属し特急「あまぎ」等に充当されていた183系は、1985年3月の東北新幹線・上越新幹線大宮駅 - 上野駅間の開通により捻出された新前橋電車区配置の185系の一部が田町電車区に転入したことにより、長野運転所に転出した、2005年に臨時「踊り子」が千葉発着で設定された際に183系が使用されている。 2020年3月14日からはあずさ・かいじへのE353系導入と房総方面の特急列車削減で余剰となった、松本車両センター所属ならびに幕張車両センター所属のE257系にリニューアル工事を施した車両による運用が開始され、翌2021年3月13日のダイヤ改正で185系による運用を全て置き換えた[報道 2][注 5]。 14系客車の普通座席車両のみで編成された臨時列車や、ジョイフルトレイン「サロンエクスプレス東京」を用いた「サロンエクスプレス踊り子」も運行された。
サフィール踊り子
概要2020年3月14日のダイヤ改正より運転を開始した列車で[報道 3]、「スーパービュー踊り子」の後継にあたる。「サフィール(Saphir)」はサファイアを意味するフランス語で、「青く美しい伊豆の海と空」をイメージしている[新聞 3]。「サフィール踊り子」用に新造されたE261系は全車がグリーン車となっており、1号車は「プレミアムグリーン」として通常のグリーン車よりも上位の区分となっている。4号車にはカフェテリアが設置されており、軽食やアルコール類を注文することができる。 東京駅 - 伊豆急下田駅間に1往復が毎日運転の定期列車として設定されている。特定日運行[注 6]の臨時列車として、東京駅(土休日の下りのみ新宿駅発) - 伊豆急下田駅間に1往復が運転される[報道 4]。定期列車として全車グリーン車の列車が運行されたのはJRグループ、国鉄時代を含めても初の事例である。 スーパービュー踊り子と同じくA特急料金が適用される料金体系となっている。購入に際してグリーン個室はみどりの窓口と指定席券売機での発売となる。プレミアムグリーンは運行開始当初、えきねっと等のネット予約サービスが利用できなかったが、2022年現在ではプレミアムグリーンでもえきねっと等のネット予約サービスが利用できる[4]。 新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年4月9日から車内販売及びカフェテリアの営業を休止[報道 5]、その後国内および走行地区の感染状況に応じて再開・再休止の措置が数度にわたり行われ、2021年7月1日の再開[報道 6]以降は、車内サービスが継続して行われている。 停車駅
使用車両・編成
大宮総合車両センター所属のE261系を使用する。 全車グリーン車で、プレミアムグリーン1両、グリーン個室2両、グリーン車4両、カフェテリア1両の8両編成。「踊り子」で可能な座席未指定券の利用、定期乗車券での乗車は本列車では認められていない。 カフェテリアでは食事や飲物・菓子類が提供される。一部は鈴廣かまぼこが使用されている[5]。利用はスマートフォンで事前に注文・支払いができる専用サービス「サフィールPay」による事前予約制であり、当日の予約に余裕がある場合のみ車内で販売される。
臨時列車これらは在来線チケットレス特急券サービスの対象外であり、踊り子・湘南の座席未指定券でも乗車出来ず、通常の特急料金が適用される[6] あたみ土休日に高尾駅から中央本線、南武線、武蔵野線、東海道線経由で熱海駅まで運行される臨時特急列車。2021年に運行を開始した。2017年から2020年の間は、臨時快速列車「ホリデー快速あたみ号」として運転されていた。 全車指定席での設定で、2018年以降は土休日2日間のみの運転となっている。使用車両はE257系5両編成で[報道 7]、「ホリデー快速あたみ号」時代は2018年から2020年の運行には185系6両編成が、2017年の運行には189系6両編成が使用された[報道 8][報道 9]。 「ホリデー快速あたみ号」運行開始前年の2016年11月には、青梅駅 - 小田原駅間(経由路線同じ)で「ホリデー快速湘南号」として運転された。こちらも全車指定席で、189系6両編成が使用された[報道 10]。 2022年からは、運行時期がこれまでの11月に加え、8月にも2日間運行されるようになった[報道 11]。2023年からは、高尾駅発着に変更されるとともに、11月分の運行が取り止められた[報道 12]。 停車駅(特急「あたみ」)高尾駅 - 八王子駅 - 小田原駅 - 湯河原駅 - 熱海駅 停車駅(特急「あたみ」以前)青梅駅 - 河辺駅 - 拝島駅 - 昭島駅 - 立川駅 - 府中本町駅 - 横浜駅 - 大船駅 - 藤沢駅 - 小田原駅 - 湯河原駅 - 熱海駅
使用車両(共通)
下田水仙まつり号・みなみの桜河津桜大宮号下田水仙まつり、河津桜祭りの開催に伴い、池袋発着の3・12号を大宮発着に延長したもの。 停車駅(特急「下田水仙まつり号」「みなみの桜河津桜大宮号」)大宮駅 - 浦和駅 - 池袋駅 - (それ以南は定期列車と同じ) 花火大会臨時列車静岡県内東部で行われる花火大会の開催に伴う臨時列車。「熱海海上花火大会号」「伊東按針花火大会号」として運転される。 使用車両(花火大会臨)
えぼし2023年9月27日 - 28日、30日 - 10月1日に茅ヶ崎公園野球場で開催されたロックバンド・サザンオールスターズの『茅ヶ崎ライブ2023』開催に伴う臨時列車。リーダー桑田佳祐の地元・茅ヶ崎市のシンボルで、サザンの楽曲の歌詞にも登場する「えぼし岩」から命名された[報道 13][注 7]。 停車駅(えぼし)使用車両(えぼし)
185→詳細は「185 (列車)」を参照
その名の通り、185系を使用した鉄道ファン向けの特急列車。横浜 - 伊東間を途中客扱いせずに運行する。 停車駅(185)(川崎駅 - )横浜駅 - 伊東駅( - 伊豆高原駅 - 伊豆熱川駅 - 伊豆稲取駅 - 河津駅 - 伊豆急下田駅) 熱海駅で乗務員交代に伴う運転停車を行う。 使用車両(185)
運行を終了した列車スーパービュー踊り子
「スーパービュー踊り子」は、1990年4月から2020年3月13日まで新宿駅・池袋駅・東京駅 - 伊豆急下田駅間で運転されていた特急列車。 平日は新宿駅 - 伊豆急下田駅間に1本、東京駅 - 伊豆急下田駅間に2往復、伊豆急下田駅 - 池袋駅間に1本が運行されていた。土曜日・休日には新宿駅発の列車が池袋駅発に変更されるほか、新宿駅 - 伊豆急下田駅間と伊豆急下田駅 - 東京駅に各1本運行されていた。さらに繁忙期には1往復が大宮駅発着に延長運転されるほか、東京駅 - 伊豆急下田駅間に下り2本、上り1本、伊豆急下田駅 - 新宿駅間に1本運転されていた。大宮駅発着列車については、「踊り子」と異なり湘南新宿ライン経由で運転されていた。 車内にはJR東日本サービスクリエーションのビューアテンダントが全区間乗務し、乗車時の特急券のチェックと車内サービスを担当していた。 車両の老朽化のため、2020年(令和2年)3月13日をもって運行を終了した。 停車駅括弧書きは一部列車が停車。
使用車両・編成
大宮総合車両センター所属の251系電車が使用されていた。2002年から2003年にかけてリニューアル工事を施工している。グリーン車を含めた全車座席指定席で、特急料金は「踊り子」や「リゾート踊り子」に比べて高額なA特急料金が適用されていた。 各先頭車両は展望席が設けられ、1号車はグリーン席で2列6席、10号車は普通席で3列12席である。後述する「リゾート踊り子」と同様に展望席には特別料金の設定はなく、他の座席と同一料金であった。グリーン車の1・2号車と普通車のうち10号車は2階建車両で、階上は1・2号車がグリーン座席、10号車が普通座席、階下は1号車がグリーン車専用のラウンジと売店、10号車が子供用のプレイルームである。2号車は定員4名のグリーン個室が3室設置されている。そのほかの車両(3号車 - 9号車)はハイデッカー車両である。乗降車口は2・3・5・7・10号車(ドアに窓のある車両)に限定され、乗車時にアテンダントから指定席特急券の改札を受けてから乗車した。終着駅は1 - 10号車すべての扉が開いた。 JR東日本の在来線特急では数少ない1+2配列のグリーン車で、グリーン車で唯一ソフトドリンクとおしぼりを提供した。
リゾート踊り子
「リゾート踊り子」は、1988年7月から東京駅 - 伊豆急下田駅間で運転されていた臨時特急列車。運転開始前の同年5月のゴールデンウィークには、同区間で全席指定席の臨時快速「リゾートライナー21」として運行された。 土休日を中心とした特定日に東京駅→伊豆急下田駅で運転されたが、使用車両の「リゾート21」が「THE ROYAL EXPRESS」に転用され、2016年5月を最後に「リゾート踊り子」は運転を終了した。 停車駅
使用車両・編成
伊豆急行2100系「リゾート21」が使用されていた。運転開始当初の「リゾート21」は普通車のみで編成され、定期列車と異なり全車座席指定席であった。1990年から「リゾート21」用に増備された特別車両「ロイヤルボックス」をグリーン車として連結している。車内販売は行われず、JR線内の特急料金はB特急料金が適用された。 シーリゾート踊り子・フルール踊り子「リゾート踊り子」の姉妹列車で、何れも2100系電車が使用された。 1998年に、夏季の「シーリゾート踊り子」の運転が開始された。当初は1日に朝の下り1本のみだったが、2002年夏季からは夕方の上り1本も運行を開始した。「リゾート踊り子」は伊豆急下田駅を中心として東京駅を午後に出発するダイヤ編成に対して、本列車は1日1往復で東京駅 - 伊豆急下田駅の運行だが東京駅を午前中に出発して東京駅へ同一列車で日帰りが可能なダイヤ編成である。 2002年10月から春季と秋季に「フルール踊り子」が「シーリゾート踊り子」と同様の時間帯で運行されていた。しかしながら2005年夏を最後に夏季は運行されておらず、2006年5月からこの時間帯の列車は「リゾート踊り子」81・82号として運行されていたが、2008年の春季を最後に運行されていない。これらの列車は、従来「ロイヤルボックス」は連結されなかったが、2006年10月運転の「リゾート踊り子」81・82号以降連結されている。「リゾート踊り子」と異なり自由席も設定されていたが、2008年2月に全車指定席へ変更された。 マリンエクスプレス踊り子
「マリンエクスプレス踊り子」は、2012年12月から土休日を中心に東京駅 - 伊豆急下田駅間で全席指定席(グリーン車含む)で運行されていた臨時特急列車である[報道 14]。2020年3月8日に運行を終了した。 停車駅
使用車両・編成
鎌倉車両センター所属のE259系が使用されていた。「マリンエクスプレス踊り子」で使用される車両には、専用のロゴステッカーが装着された。特急料金は「スーパービュー踊り子」や「成田エクスプレス」と同じA特急料金が適用された[9]。
サマーホリデー湘南箱根「サマーホリデー湘南箱根」は、2015年夏休み期間中に千葉駅 - 小田原駅間で全席指定席で運行されていた臨時快速列車である。2016年以降は運転をしておらず、運行を終了したものと見られる。 首都圏対湘南・伊豆半島連絡列車沿革→東京駅 - 静岡駅・御殿場駅間で運転されていた「東海」「ごてんば」などについては「東海 (列車)」を、東海旅客鉄道と小田急電鉄との相互直通列車については「ふじさん」を、湘南方面から東京都心への通勤用着席列車については「湘南 (列車)」を参照
かつて首都圏から伊豆半島へ、丹那トンネル開業前後の東海道本線(丹那トンネル開業前は、同線の国府津駅 - 熱海駅間は「熱海線」と呼ばれた)や伊東線へ向う列車があった。 1949年に週末のみ運転された臨時列車として東京駅 - 伊東駅・修善寺駅間で運行した、準急「いでゆ」が本列車の源流である。1981年10月に153系電車と165系電車から185系へ置換にともない、特急「あまぎ」と急行「伊豆」を統合して現在の「踊り子」となる。 戦前
戦後終戦直後の湘南準急「いでゆ」「いこい」
電車の台頭と列車の増発・名称多様化
新幹線開業後の「伊豆」「あまぎ」およびその列車群
特急「踊り子」の誕生
国鉄分割民営化と「踊り子」の多様化
2000年代の展開
2010年代の展開
2020年代の展開
各列車名の由来東京駅 - 熱海駅・伊豆半島駅間を走る列車の名称は、統廃合されて「踊り子」一種類のみとなった。 (五十音順)
脚注注釈
出典
報道発表資料
新聞記事
参考文献
関連項目
外部リンク
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