Share to:

 

鈴木儀雄

曖昧さ回避 その他の「すずきよしお」の同名の人物については「Wikipedia:索引 すすき#すすきよ」をご覧ください。

鈴木 儀雄（すずき よしお[1]、（1935年〈昭和10年〉[1] - ）は、日本の映画美術監督、娯楽デザイナー。東京都出身[2][3][4]。

経歴

多摩美術大学彫刻科に在学中（1年生、19歳[5]）の1954年に東宝のアルバイト募集を見て、開米栄三の造形助手として初代ゴジラのスーツ製作に参加する[1][6][注釈 1]。1959年に大学を卒業し、3か月契約で東宝特殊技術課の撮影助手となる[出典 1][注釈 2]。その後、1961年より美術スタッフに転向する[出典 2][注釈 3]。

1968年に円谷英二に抜擢され、『マイティジャック』より円谷プロに美術監督（本編）として出向する[出典 3]。それ以降、『戦え! マイティジャック』や『恐怖劇場アンバランス』『独身のスキャット』『ウルトラマンA』『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』といった一連の円谷プロ作品の美術監督を担当する。とくにウルトラシリーズでは本編（特撮以外のドラマパートをさす）と特撮美術の美術の監修も行い、登場するキャラクター（怪獣やヒーローなど）やメカのデザインを総合的に担当し、サイケデリックともいえる斬新かつ奇抜なデザインセンスを発揮してシリーズに新機軸を打ち出し、同時期の同種の特撮番組のキャラクターデザインにも影響を与えるほどであった。

自身の怪獣のデザインについて「怪獣は非調和の象徴で他をよせつけない排他的な存在」として、全身に無数の突起をつけたとコメントしている[11]。

1975年に東宝側より東宝映像に復職を指示される[10][9]。

1980年代から1990年代半ばは 東京ディズニーランドをはじめとしたテーマパークのデザイン、企画、演出も手がける[10][9]。

これらテーマパークの制作の合間に、映像作品の美術も並行して担当している。代表的なものとしては、『ゴジラvsデストロイア』（1995年）の本編美術が挙げられる[出典 4]。監督の大河原孝夫は、前任者の酒井賢が絵画派であったのに対して鈴木は彫刻派であると評しており、Gフォースの作戦室のセットでは陰影をつけることで奥行きを表現している[12][注釈 4]ほか、図面が残っていなかった山根家のセットを第1作『ゴジラ』の映像をもとに再現した[12]。

また、海外の映画では香港映画『北京原人の逆襲』（ショウブラザーズ）の特撮美術、北朝鮮映画『プルガサリ 伝説の大怪獣』の特殊美術（怪獣デザイン含む）を担当した[9]。

短い時期、明星高等学校の講師も務めていた。

2006年には世田谷文学館で第8回世田谷フィルムフェスティバル「不滅のヒーロー・ウルトラマン展」が行われ、鈴木はゴジラやウルトラマンについて子供向けの講演を行なっている[13]。

2024年11月3日には『ゴジラ・フェス2024』に登壇し、『ゴジラ-1.0』の監督を務めた山崎貴との対談にて『ゴジラ』への参加経緯のほか、初代ゴジラのスーツ製作やそれを用いた撮影についてのエピソードを明かしたが、現代ではコンプライアンスを問われそうなエピソードも明かしたため、司会の笠井信輔からすかさず「70年前の撮影所の話です！」と声を大にしてフォローされる一幕もあった[5]。

代表作品（映像作品）

映画

公開年 作品名 制作（配給） 役職
1954年 11月3日 ゴジラ[2][3][4] 東宝
（東宝） 		造形助手
1955年 4月24日 ゴジラの逆襲[3]
1956年 空の大怪獣 ラドン[3]
1959年 4月19日 孫悟空[2] 撮影助手
10月25日 日本誕生[2][3]
1960年 4月26日 ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐[3]
1961年 10月29日 B・G物語 二十才の設計 美術助手
1962年 9月8日 早乙女家の娘たち
1975年 3月15日 新八犬伝 第一部 芳流閣の決斗 芸苑社
（東宝） 		美術
1978年 3月11日 北京原人の逆襲[3][4] ショウ・ブラザーズ 特殊美術
1979年 5月26日 病院坂の首縊りの家 東宝映画
（東宝） 		美術助手
1991年 11月16日 超少女REIKO[4] 東宝映画
（東宝） 		美術
1995年 12月9日 ゴジラvsデストロイア[4]
1998年 7月4日 プルガサリ 伝説の大怪獣[3][4] シン・フィルム
（レイジング・サンダー） 		特殊美術

テレビ

期間 番組名 制作（放送局） 役職
1968年4月6日 - 1968年6月29日 マイティジャック[3][4] 円谷プロダクション
(フジテレビ)		 美術（本編）
1968年7月6日 - 1968年12月28日 戦え! マイティジャック
1970年1月7日 - 1970年3月18日 独身のスキャット 円谷プロダクション
(TBS)
1972年4月7日 - 1973年3月30日 ウルトラマンA[3]
1973年1月8日 - 1973年4月2日 恐怖劇場アンバランス[3] 円谷プロダクション
(フジテレビ)
1973年4月6日 - 1974年4月5日 ウルトラマンタロウ 円谷プロダクション
(TBS)
1974年4月12日 - 1975年3月28日 ウルトラマンレオ

テーマパーク

キャラクターデザイン（代表的なもの）

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 後年のインタビューでは、彫刻科の同級生であった円谷良夫（円谷英二の甥）による紹介と述べている[7][3][8]。また、後年の『ゴジラ・フェス2024』のステージに登壇した際には「良夫に相談して英二への紹介状を書いてもらい、撮影所にて英二と直に会った」との旨を述べている[5]。
  2. ^ 卒業後は高校の美術教師となったが、すぐに辞めたという[7]。資料によっては1958年と記述している[3]。
  3. ^ 美術スタッフに転向して特撮から離れたのは、映画監督を志望していたからであった[8]。結局、監督になることはなかったが、この時の幅広い経験がその後の美術の仕事で役立ったと述べている[8]。
  4. ^ 『スクリーン特編版 ゴジラVSデストロイア特集号』（近代映画社）では「そのデザインの斬新さに、まず目を引かれる」「ゴツゴツとした突起で構成された基地内は、さながら幻想映画の一場面のよう」（p.50）と形容している。また、『ゴジラvsデストロイア』DVDのオーディオコメンタリーでは、司会進行の倉敷保雄が「すごいセットですね」と驚いている。
  5. ^ 「ゴールの伝説」はキャラクターデザインも担当。

出典

  1. ^ a b c
    • 東宝ゴジラ会 2010, p. 200, 「第二章 円谷組スタッフインタビュー INTERVIEW15 鈴木儀雄 渡辺忠昭 久米攻 島倉二千六」
    • 初代ゴジラ研究読本 2014, pp. 192–201, 取材・文 友井健人、中村哲「スタッフインタビュー 鈴木儀雄」
    • VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 45, 「STAFF MESSAGE 鈴木儀雄」
    • 豪怪奔放 2021, pp. 116–119, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 検証：栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史―ウルトラマン第二期 編― 05 超獣を超獣たらしめ、そして凌駕する、鈴木儀雄の自由闊達な超感覚デザイン DESIGNER 鈴木儀雄」
  2. ^ a b c d e 東宝ゴジラ会 2010, p. 200, 「第二章 円谷組スタッフインタビュー INTERVIEW15 鈴木儀雄 渡辺忠昭 久米攻 島倉二千六」
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 初代ゴジラ研究読本 2014, pp. 192–201, 取材・文 友井健人、中村哲「スタッフインタビュー 鈴木儀雄」
  4. ^ a b c d e f g h VSデストロイアコンプリーション 2017, p. 45, 「STAFF MESSAGE 鈴木儀雄」
  5. ^ a b c “山崎貴監督が初代「ゴジラ」造形助手の鈴木儀雄氏と対談「着ぐるみ動かず殴られた」70年前の話”. 日刊スポーツ (日刊スポーツNEWS). (2024年11月3日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202411030001732.html 2024年11月3日閲覧。 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 宇宙船159 2017.
  7. ^ a b 東宝ゴジラ会 2010, pp. 202–214, 「第二章 円谷組スタッフインタビュー INTERVIEW15 鈴木儀雄 渡辺忠昭 久米攻 島倉二千六」
  8. ^ a b c d e 「Staff Interview 鈴木儀雄」『別冊映画秘宝 円谷プロSFドラマ大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2013年、67頁。ISBN 978-4-8003-0209-0。 
  9. ^ a b c d e f g h i j 豪怪奔放 2021, pp. 116–119, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 検証：栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史―ウルトラマン第二期 編― 05 超獣を超獣たらしめ、そして凌駕する、鈴木儀雄の自由闊達な超感覚デザイン DESIGNER 鈴木儀雄」
  10. ^ a b c d e f g h i j 『世田谷文学館』所蔵のプロフィールより[要文献特定詳細情報]。
  11. ^ 『ウルトラマンレオ　LD-BOX』の解説書より。
  12. ^ a b c 東宝SF特撮映画シリーズ10 1996, pp. 54–58, 「インタビュー 大河原孝夫」
  13. ^ “土曜ジュニア文学館「ウルトラ怪獣をデザインしよう！」”. 世田谷文学館 (2006年8月12日). 2006年7月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月14日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 豪怪奔放 2021, pp. 32–57, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 ウルトラマンA」
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj 豪怪奔放 2021, pp. 58–81, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 ウルトラマンタロウ」
  16. ^ 豪怪奔放 2021, p. 83, 「第1章 ウルトラマン 1971-1974 ウルトラマンレオ」.

出典（リンク）

  1. ^ [2][9][6]
  2. ^ [10][9][6]
  3. ^ [8][9][6]
  4. ^ [12][4][9]

参考文献

  • 『ゴジラVSデストロイア』東宝〈東宝SF特撮映画シリーズVOL.10〉、1996年1月26日。ISBN 4-924609-60-9。 
  • 東宝ゴジラ会『特撮 円谷組 ゴジラと東宝特撮にかけた青春』洋泉社、2010年10月9日。ISBN 978-4-86248-622-6。 
  • 『別冊映画秘宝 初代ゴジラ研究読本』洋泉社〈洋泉社MOOK〉、2014年8月24日。ISBN 978-4-8003-0452-0。 
  • 『ゴジラVSデストロイア コンプリーション』ホビージャパン、2017年12月9日。ISBN 978-4-7986-1581-3。 
  • 『円谷怪獣デザイン大鑑 1971-1980 豪怪奔放』ホビージャパン、2021年12月24日。ISBN 978-4-7986-2664-2。 
  • 「70's円谷怪獣リスペクト検証 栄光の怪獣王国、狂乱のデザイン史 第7回 超獣を永遠に超獣たらしめる、鈴木儀雄の超感覚デザイン」『宇宙船』vol.159（WINTER 2018.冬）、ホビージャパン、2017年12月29日、78-81頁、ISBN 978-4-7986-1602-5。 

外部リンク

第1期-第3期 ウルトラシリーズ・主要スタッフ
監修
脚本
監督
特殊技術
美術・造形・光学
音楽
制作
書籍
その他
ウィキメディア・コモンズには、鈴木儀雄に関連するカテゴリがあります。
スタブアイコン

この項目は、映画関係者に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています（P:映画/PJ映画）。
Kembali kehalaman sebelumnya