外見
不明
一般特性
名称 , 記号 , 番号
オガネソン, Og, 118
分類
貴ガス
族 , 周期 , ブロック
18 , 7 , p
原子量
[294]
電子配置
[Rn ] 5f14 6d10 7s2 7p6 (推定)[ 1]
電子殻
2, 8, 18, 32, 32, 18, 8(推定)[ 1] (画像 )
物理特性
密度 (室温 付近)
(推定)13.65[ 2] g/cm3
沸点
(推定)350 ± 30[ 1] K , (推定)80 ± 30 °C , (推定)170 ± 50 °F
臨界点
(推定)439[ 3] K , 6.8[ 3] MPa
融解熱
(推定)23.5[ 3] kJ/mol
蒸発熱
(推定)19.4[ 3] kJ/mol
原子特性
酸化数
0, +2[ 4] , +4[ 4] (推定)
イオン化エネルギー
第1: (推定)975 ± 155[ 1] kJ/mol
第2: (推定)1450[ 5] kJ/mol
原子半径
(推定)152 [ 2] pm
共有結合半径
(推定)230[ 5] pm
その他
CAS登録番号
54144-19-3[ 6]
主な同位体
詳細はオガネソンの同位体 を参照
オガネソン (英 : Oganesson )は、元素記号 Og 、原子番号 118の合成元素 である。2002年にロシア連邦 ドゥブナ のドゥブナ合同原子核研究所 で、ロシアとアメリカ合衆国 の科学者の合同チームにより、加速器 によってカリフォルニウム とカルシウム を当てることによって初めて合成された。原子名が決定するまでは一時的な名称 としてウンウンオクチウムが使われた。2015年12月、国際純正・応用化学連合 (IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合 (IUPAP)の合同作業部会により、4つの新元素の1つとして承認され、2016年11月28日に正式に命名された[ 8] [ 9] 。
オガネソンは、既知の元素の中で最大の原子番号および原子量 を持つ。放射性 を持ち非常に不安定であり、2005年以降、わずか5つ(もしかすると6つ)の294 Ogしか検出されていない[ 10] 。このため、その性質や可能な化合物 等の特徴を調べる実験はほとんど行えていないが、理論計算により、多くの予測がなされている。例えば、オガネソンは第18族元素 であるが、この族の他の全ての元素 (貴ガス )と異なり、非常に反応性が高い[ 11] 。かつては標準状態 では気体 であると考えられていたが、現在はいろいろな説があり、固体 であると考えられている[ 11] 。また、最近では、液体 という説も有力になりつつあるため結局は何であるかはまだわかっていない。周期表 上ではPブロック元素 であり、かつ第7周期元素 の最後に位置する。
名称
重元素の発見において主導的役割を果たした核物理学 者のユーリイ・オガネシアン を称え、彼にちなんだ名称がつけられた。存命の人物にちなんで元素が命名されたのは、シーボーギウム に次いで2例目であった[ 12] 。なお、語尾が「on」なのは、ヘリウム 以外の第18族元素 の語尾が「on」で終わっているため、それに倣っている。
歴史
初期の推論
原子番号118番の元素について最初に真剣に考えたのはデンマーク の物理学者ニールス・ボーア であり、1922年に、その元素は周期表上でラドン の下、7つ目の貴ガスとなるであろうと記している[ 13] 。この後、ドイツ の核化学 者アリスティッド・フォン・グローセ (英語版 ) が1965年に118番元素が持ちうる性質について予測する論文を書いている。これらは極めて初期の予測であり、1922年には元素の人工合成の方法について知られていなかったし、1965年には安定の島 の存在は理論化されていなかった。ボーアの予測から80年経ってオガネソンの合成には成功したが、それがラドンのより重い同族体として振る舞うかどうか等、化学的性質についてはまだ調べられていない[ 14] 。
確認されなかった「発見」
1998年末、ポーランドの物理学者Robert Smolańczuk は、オガネソンを含む超ウラン元素 の合成のための核融合反応 の計算結果を論文として公表した[ 15] 。彼の計算では、慎重に制御された条件下で鉛 をクリプトン と融合することでオガネソンを作ることができ、その反応の融合可能性(反応断面積 )は、シーボーギウムを生成する鉛-クロム の反応と同程度であるというものであった。これは、鉛またはビスマス をターゲットとした反応断面積は、生成する元素の原子番号の増加とともに指数関数的に減少するという予測と矛盾するものであった[ 15] 。
1999年、ローレンス・バークレー国立研究所 の研究者がこの予測を用いてリバモリウム とオガネソンを発見したとPhysical Review Letters 誌で発表し[ 16] 、そのすぐ後にサイエンス 誌でその結果が報告された[ 17] 。この研究者は、以下の反応が起こったことを報告した。
36 86 Kr + 82 208 Pb → 118 293 Og + n
翌年、他の研究所もローレンス・バークレー国立研究所自体もその結果を追試できなかったことが明らかになった後、この論文は取り下げられた[ 18] 。2002年6月、ローレンス・バークレー国立研究所長は、これら2つの元素の発見を最初に主張したのは、ヴィクトル・ニノフ の捏造したデータに基づいていたと発表した[ 19] [ 20] 。より新しい実験結果や理論予測は、やはり鉛やビスマスをターゲットとした反応断面積は、生成する元素の原子番号の増加とともに指数関数的に減少することを裏付けていた[ 21] 。
発見の報告
オガネソン原子の崩壊が真に最初に観測されたのは、2002年、ドゥブナ合同原子核研究所であった。アルメニア 出身のロシアの核物理学者ユーリイ・オガネシアンに率いられたチームには、ローレンス・リバモア国立研究所 のアメリカ人科学者も含まれていた[ 22] 。オガネソン294の崩壊エネルギーが超ウラン元素の合成の際に作られる一般的な不純物であるポロニウム212m のものと一致しているためこの発見はすぐには発表されず、2005年により多くのオガネソンを作った確認実験が行われた後にようやく発表された[ 23] 。2006年10月9日には、カリホルニウム249 原子とカルシウム48 イオンの衝突により[ 24] [ 25] [ 26] [ 27] [ 28]
、合計3つ(もしかすると4つ)のオガネソン原子核(2002年に1つか2つ[ 29] 、2005年にさらに2つ)を間接的に検出したと発表した[ 30] 。
98 249 Cf + 20 48 Ca → 118 294 Og + 3n
オガネソン294の放射性崩壊経路[ 30] 。親同位体と各々の娘同位体ごとに崩壊エネルギーと半減期が示されている。自発核分裂は緑で示されている。
非常に起こりにくい融合反応(反応断面積が)であるため、この実験には4か月の時間がかかり、2.5×1019 個ものカルシウムイオンを含むビームが用いられた[ 31] 。しかし、この検出がランダムな出来事である確率は10万分の1以下であると推定されていることから、この結果は偽陽性 ではないと信じられている[ 32] 。
実験では、3つのオガネソン原子のアルファ崩壊 が観測された。直接の自発核分裂 による4番目の崩壊も提案されている。半減期は0.89ミリ秒と計算されており、オガネソン294はリバモリウム290 に崩壊する。まだ3例しか観測されていないため、観測結果に基づく半減期には、0.89+1.07 −0.31 ミリ秒という大きな不確実性がある[ 30] 。
118 294 Og → 116 290 Lv + 2 4 He
オガネソン294の同定は、キュリウム245 とカルシウム48イオンを衝突させて作ったリバモリウム290と崩壊系列が一致するかどうかを確認することで行われる[ 30] 。崩壊生成物 のリバモリウム290は非常に不安定で、14ミリ秒の半減期でフレロビウム286 に崩壊し、さらにこれも自発核分裂 するかコペルニシウム282 にアルファ崩壊する。さらにこれも自発核分裂をする[ 30] 。
96 245 Cm + 20 48 Ca → 116 290 Lv + 3n
トンネル効果 モデルでは、オガネソン294のアルファ崩壊の半減期は0.66+0.23 −0.18 ミリ秒と予測され[ 33] 、実験的なQ値は2004年に公表された[ 34] 。理論的なQ値の計算ではいくらか小さかったが、ほぼ同等の値であった[ 35] 。
確認
2015年12月、IUPACとIUPAPの共同作業部会は元素の発見を確認し、ドゥブナ合同原子核研究所とローレンス・バークレー国立研究所の共同チームに発見の優先権を与えた[ 36] 。これは、2009年と2010年の2度に渡り、オガネソン294の孫生成物のフレロビウム286 の特性をローレンス・バークレー国立研究所で確認したことと、その他のオガネソン294の崩壊系列を2012年にドゥブナ合同原子核研究所で観測したことを考慮したものである。この実験のゴールは、バークリウム249 とカルシウム48の反応によりテネシン294 を合成することであったが、バークリウム249の寿命の短さのために崩壊生成物のカリホルニウム249 が大量に生成し、その結果、テネシンの代わりにオガネソンが合成された[ 37] 。
2015年10月1日から2016年4月6日まで、ドゥブナ合同原子核研究所では、より重いオガネソンの同位体であるオガネソン295やオガネソン296を作るために、カリホルニウム249、カリホルニウム250、カリホルニウム251の同位体混合物をターゲットとして同様の実験を行った。ビームエネルギーは、252 MeVと258 MeVが用いられた。低いビームエネルギーの方に1原子のみ観測され、崩壊系列は既に観測されたオガネソン294のものと一致した。高いビームエネルギーの方は何も観測されなかった。セクターフレームの糊がターゲットを覆って、蒸発残渣が検出器に達するのを妨げてしまったため、この実験は中止された。この実験は2017年にも行う計画である[ 38] 。2011年、ドイツ のダルムシュタット にある重イオン研究所 が120番元素(ウンビニリウム 、Ubn)を合成する目的でキュリウム248 とクロム54 の反応を行っていたところ、1原子のオガネソン295が観測されたが、実験データの不確実性により、得られたものがウンビニリウム299かオガネソン295かは確定できなかった。このデータからは、オガネソン295の半減期はオガネソン294の0.7ミリ秒より長い181ミリ秒であることが示唆された[ 39] 。
命名
118番元素は、合成元素発見パイオニアであるユーリイ・オガネシアンにちなんで名づけられた。2017年12月28日には、アルメニアでオガネシアンとOg294の崩壊系列を描いた切手が発売された。
未発見元素に対するメンデレーエフ の命名法に基づき、エカラドンという名称でも知られる[ 40] 。1979年、IUPACは未発見の元素に系統名 を与え、発見までの間、118番元素はウンウンオクチウム (英 : Ununoctium )と呼ばれ、Uuo という記号[ 41] で表されることが勧告された[ 42] 。これは化学の授業からテキストまで広く使われたものの、科学者の間では、「元素118」と呼ばれ、E118や単に118という記号で表されることがほとんどだった[ 43] 。
2002年の論文取り下げまで、ローレンス・バークレー国立研究所では、研究所を率いたアルバート・ギオルソ にちなんでギオルシウム(Gh)と名付けるつもりであった[ 44] 。
ロシアの研究者が2006年にその合成を報告すると、新元素の発見者が名前を提案する権利を持つというIUPACの勧告に従い、命名権を得た[ 45] 。2007年、Russian instituteの所長は、ドゥブナの研究所の創設者であるゲオルギー・フリョロフ にちなんだフレロビウムと、研究所の位置するモスクワ州 にちなんだモスコビウムの2つの名前の候補があると述べた[ 46] 。彼はまた、この発見がターゲットのカリホルニウムを提供したアメリカ側研究者の協力によるものだったとしても、ドゥブナ合同原子核研究所内のフリョロフ原子核反応研究所 はこの結果を導けた世界で唯一の施設であったことから、この元素にはロシアにちなんだ名前を与えられるべきであるとも述べた[ 47] 。これらの命名案は後に114番元素(フレロビウム )と116番元素(モスコビウム)にも提案されたが[ 48] 、116番元素の名前は結局リバモリウム に決まり[ 49] 、モスコビウム という名前は115番元素に再度提案されて承認された[ 12] 。
伝統的に、発見時に貴ガスであることが知られていなかったヘリウム を除く全ての貴ガスの名前には、語尾に「オン」("-on")がついている。しかし、発見が承認された当時のIUPACのガイドラインでは、伝統的に語尾が「イン」("-ine")のハロゲン も貴ガスも含め、新元素の名前の語尾は「イウム」("-ium")とすることが要請されていた[ 50] 。系統名のウンウンオクチウムはこの慣習に従っていたが、2016年に公表された新しいIUPACの勧告では、その性質が貴ガスであるかどうかに関わりなく、18族の元素の名前の語尾は「オン」("-on")とすることが推奨された[ 51] 。
2016年6月、IUPACは、発見者のチームはこの元素の名前について、60年に渡り超ウラン元素の研究のパイオニアであるロシア人核物理学者のユーリイ・オガネシアン にちなんでオガネソンと名付ける意向があると発表した[ 52] 。この名前は2016年11月28日に公式なものになった[ 12] 。
モスコビウム、テネシン、オガネソンの命名式典は、2017年3月2日にモスクワのロシア科学アカデミー で行われた[ 53]
。
特徴
安定性と同位体
オガネソンは、「安定の島」(白い円)の少し上にあるため、予測よりも若干安定である。
キュリウム 以降の核種の安定性は、原子番号の増加とともに急激に減少する。原子番号101以降の全ての同位体は半減期30時間以内に放射性崩壊する。鉛以降の元素は、安定同位体を持たない[ 54] 。これは、陽子 のクーロン力 が大きくなり、長い時間自発核分裂が起こらないように強い力 で原子核 を結び付けておくことができなくなるためである。計算によると、他に安定化因子がない場合には、103以上の陽子を持つ元素は存在できないことになる。しかし、1960年代の研究者は、陽子114個、中性子184個に近い原子核は、この不安定性を弱め、半減期が数千年から数百万年に達するということを提案した。まだ科学はこの島まで辿り着けていないが、オガネソンを含む超重元素の存在によりこの安定効果が真実であることが確認され、既知の核種も予測される島の位置に近い原子核ほど指数関数的に長い寿命を持つ[ 55] [ 56] 。オガネソンは放射性を持ち、半減期は1ミリ秒以下であるが、予測される値よりは大きく[ 33] [ 57] 、この島の安定性の考えを補強するものである[ 58] 。
トンネル効果モデルを用いた計算により、アルファ崩壊の半減期が1ミリ秒に近く、中性子の多いオガネソンのいくつかの同位体の存在が予測されている[ 59] [ 60] 。
他の同位体の合成経路や半減期の理論的計算によると、恐らく質量数293、295、296、297、298、300、302等のいくつかの同位体は、合成された質量数294の同位体よりも若干安定であることが示される[ 33] [ 61] 。これらの中で、質量数297の同位体は長寿命の核種を得られる期待が最も大きく[ 33] [ 61] 、この元素の将来の研究の焦点となっている。さらに多くの中性子を持つ質量数313近辺のいくつかの同位体も長寿命を持つ可能性がある[ 62] 。これらのより重い同位体によりオガネソンの化学的性質の解明が期待されることから、ドゥブナ合同原子核研究所は2017年下半期にカリホルニウムの質量数が249、250、251の同位体の混合物をターゲットとして、質量数が295と296のオガネソンを作る実験を行うこととしている。この実験は、オガネソン297の同位体を得るために2020年にも再度行われる。この反応で、オガネソン293と分裂生成物のリバモリウム289の生成も可能である。キュリウム248とチタン50 の衝突による質量数295と296のオガネソンの生成は、2017年から2018年にドゥブナ合同原子核研究所と理化学研究所 で予定されている[ 38] [ 63] [ 64] 。
物理的および化学的性質の計算
オガネソンは原子価 0の18族元素であるが、一般的に18族元素は最外殻のs軌道とp軌道が8つの電子(Heの場合は1s軌道が2つの電子)で埋まっているため、ほとんどの化学反応に対して不活性である。[ 65] 。オガネソンの場合も同様に、7s2 7p6 の価電子 配置 の閉殻 を持つと考えられている[ 11] 。
その結果、閉殻構造を持つ貴ガス、特に周期表の直上にあるラドンと似た性質を持つと考える者もいる[ 66] 。周期表の傾向からは、オガネソンはラドンよりも若干反応性が高いと考えられるが、理論計算ではかなり反応性が高いことが示される[ 4] 。さらにオガネソンは、それぞれ鉛や水銀 のより重いホモログであるフレロビウムやコペルニシウム よりも反応性が高い可能性もある[ 11] 。オガネソンがラドンに比べて高い反応性を持ちうるのは、エネルギーの不安定性と7p小軌道の放射方向への膨張のためである[ 11] 。より正確には、7p電子と不活性な7s電子の間のスピン軌道相互作用 がかなり大きく、オガネソンの閉殻の安定性が著しく低下するからである[ 11] 。また、オガネソンは他の貴ガスとは異なり、相対的に安定化された8sのエネルギー準位 と不安定化された7p3/2のエネルギー準位のため[ 67] 、正の電子親和力 を持つ[ 68] [ 69] 。
オガネソンは、ラドンのほぼ2倍に相当するかなり幅広い分極率 を持つ[ 11] 。他の貴ガスから推測すると、オガネソンの沸点 は320Kから380Kと推定され[ 11] 、これは予測されていた263K[ 70] または247K[ 71] という値とはかなり異なる。
計算には大きな不確実性があるが、恐らくオガネソンは標準状態では気体ではなく[ 11]
、固体であると推測される。もし標準状態で気体であるとすると、他の貴ガス同様単原子 気体であるにも関わらず、最も密度の濃い気体の1つということになる。その高い分極率のため、異常に低いイオン化エネルギー(ラドンの約70%[ 72] である鉛と同程度でフレロビウムより遥かに低い)[ 73] を持つと推測されている。
予測される化合物
四フッ化キセノン は平面四角形型の分子構造を持つ。
四フッ化オガネソン は四面体型の分子構造を持つと予測される。
唯一確認されている同位体、オガネソン294は半減期が非常に短いため、化学的な性質は実験的に調べられていない[ 23] 。同様の理由で、オガネソンの化合物はまだ合成されていない。ただし、理論的な化合物の計算は1964年から行われてきた[ 40] 。元素は、そのイオン化エネルギーが十分に高ければ酸化され難いものであり、そうするとオガネソンも他の貴ガス類と同様に、主な酸化数 は0になると考えられるが[ 74] 、オガネソンはその例には従わないようである[ 14] 。
二原子分子 Og2 の計算では、化学結合相互作用はHg2 で計算されるものとほぼ等価であり、また結合解離エネルギー は6 kJ/molでRn2 の約4倍である[ 11] 。最も著しいのは、結合長 がRn2 よりも0.16 Åも短く[ 11] 、結合相互作用が強いことを示している。一方、化合物OgH+ の結合解離エネルギー(プロトン親和力 )はRnH+ と同程度である[ 11] 。
OgH中のオガネソンと水素の間の結合は非常に弱いと予測され、真の化学結合というよりは純粋なファンデルワールス力 とみなしうる[ 72] 。一方、電気陰性度 が高いことから、例えばコペルニシウムやフレロビウム等よりも安定な原子を作るように考えられる[ 72] 。酸化数+2や+4を取ると、フッ化物OgF2 やOgF4 が存在しうる[ 75] 。7p1/2小軌道の結合が強いため、酸化数+6の状態は不安定である。これは、オガネソンに異常な反応性を与えているのと同じスピン軌道相互作用が理由である。例えば、オガネソンとフッ素 分子の反応によりOgF2 を形成する反応は106 kcal/molのエネルギーを放出し、そのうち約46 kcal/molはこれらの相互作用に由来している[ 72] 。対照的に、RnF2 の場合、形成エネルギー49 kcal/molのうちスピン軌道相互作用の寄与分は約10 kcal/molである[ 72] 。同じ相互作用がOgF4 の四面体形分子構造 を安定化させている。XeF4 やRn4 は平面四角形分子構造 を持つ[ 75] 。Og-F結合は恐らく共有結合 ではなくイオン結合 であり、フッ化オガネソンは不揮発性であると考えられる[ 4] [ 76] 。OgF2 は、オガネソンの高い電気陽性度のため、部分的にイオン化していると考えられる[ 77] 。(恐らくキセノン とラドンを除く)他の貴ガスと異なり[ 78] [ 79] 、オガネソンは塩素 とOg-Cl結合を形成する[ 4] のに十分な電気陽性度を持つと予測されている[ 77] 。
脚注
出典
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関連文献
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関連項目
外部リンク
Element 118: experiments on discovery , archive of discoverers' official web page
It's Elemental: Oganesson
Oganesson at The Periodic Table of Videos (University of Nottingham)
On the Claims for Discovery of Elements 110, 111, 112, 114, 116, and 118 (IUPAC Technical Report)
"Element 118, Heaviest Ever, Reported for 1,000th of a Second ", NYTimes.com.
WebElements: Oganesson
『オガネソン 』 - コトバンク