ケンタウリス
ケンタウリス(古希: Κενταυρίς, Kentauris)は、女性のケンタウロスである。ケンタウロスの女性形であり、複数形はケンタウリデス(古希: Κενταυρίδες, Kentaurides)。ギリシア神話において、ケンタウロスの一員として初めて登場したケンタウリスは、文献ではたまにしか言及されていないが、ギリシア美術や古代ローマのモザイク画には頻繁に登場する。文献に最も頻繁に登場するケンタウリスは、ケンタウロスのキュラロスの妻であるヒュロノメーである。 名前固有名詞としてのケンタウリスは、特にケンタウロイ族の女性を指し、英語では一般名詞の centaurs として表現される。英語では、 Centauress がより一般的だが、 centaurelle や centaurette が使われることもある。 文学的描写修辞学者大ピロストラトスによる『エイコネス』では、ケンタウリスについて以下のような簡単な記述がある。
詩人オウィディウスによる『変身物語』では、ヒュロノメーについて以下のような簡単な記述がある。
ウィリアム・シェイクスピア作の『リア王』第4幕第6場124~125行では、ケンタウリスを以下のように指している。 上半身は女性ながらも、 その他の登場作品イギリスのランバート家では、左手にバラを持った女性のケンタウロスを紋章として用い、記念碑に描いていた。しかし、この紋章の権威を確立することができず、18世紀になって弓を持った男性のケンタウロスに変更されたという[3]。 ウォルト・ディズニーの映画『ファンタジア』では、ベートーヴェンの「田園交響曲」がギリシア神話の場面で描かれているが、その中で男女のケンタウロス(スタジオでは「ケンタウレット」と呼ばれている)が登場する。ケンタウロスは様々な場面で登場するが、中には1940年当時の流行的な女性のマナーを身につけている姿も描かれている。また、ケンタウレットは青をはじめとする人肌以外の色で描かれており、当初は胸がない状態で描かれていたが、ヘイズ・コードの適用により、アメリカ映画製作配給会社はアニメーターに胸を花輪で覆うことを強要したという。1960年代に人種的ステレオタイプに対する考え方が変わったことで、黒人のケンタウレットが他の人を待っているシーンがカットされた[4]。 フォークアルバム『From The Beggar's Mantle』に収録されている、バーバラ・ディクソンが歌った『Witch Of The Westmoreland』という曲には、慈悲深い魔女が登場する。この曲では、「半身が乙女の形をしていて、漆黒の牝馬の体をしている」と説明されている。 沼正三の小説『家畜人ヤプー』には、雌の一卵性双生児のヤプーを合成手術によりケンタウリス状にした「セントーア」が登場する。 2000年代後半以降、日本における萌え擬人化ブームの一環として、『モンスター娘のいる日常』や『セントールの悩み』など、いくつかの日本のアニメや漫画にケンタウリスが登場している。 脚注
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