シングルマザーズ
『シングルマザーズ』は、永井愛の作による戯曲。永井主宰の二兎社第36回公演として永井自身の演出により2011年2月20日に初演、同年3月7日発売の『悲劇喜劇』2011年4月号(早川書房)に掲載された。2002年に政府が決定した児童扶養手当削減方針の撤回を求めて活動したシングルマザーたちの実話をもとにした作品。 並びにそれを原案としたテレビドラマ。 概要執筆の契機となったのは、二兎社の制作担当でシングルマザーの女性による母子加算の復活を求める投書が新聞に掲載されたり、児童扶養手当削減方針の撤回を訴える姿がテレビのニュースで放映されたことだった[1]。 あらすじ
2002年、秋。直は派遣社員として働き、12歳の息子を一人で育てながら、シングルマザーの支援団体“ひとりママ・ネット”の事務局長としても活動している。代表を務める燈子と直の目標は国会を動かし、児童扶養手当の削減を撤回させることだった。小さなアパートの一室を借りた事務局には、離婚により裕福な家庭から一転して3人の子供を抱えた貧困生活となった初音や、資格の勉強に取り組むギャルママの水枝も出入りしている。そんなある日、事務局に小田と名乗る男が不意に現れる。小田は、自分は突然いなくなった妻子を捜していると語るが、直は彼がDVの加害者であることを感じ取る。 登場人物
スタッフ
上演
書誌情報テレビドラマ
NHK総合テレビジョン「ドラマ10」にて2012年10月23日から12月11日まで放送された。全8回。内容は社会派ホームドラマで、主演は舞台版と同様、沢口靖子が務める。キャッチコピーは「泣いてる暇なんて、ない!」。 あらすじ(テレビドラマ)
夫の激しいDVから逃れるため、直(なお)は5才の息子涼太と共に身一つで家を飛び出した。海上護衛艦が望める街にたどり着き途方にくれているところを、不動産屋の姉御肌のパートスタッフ久美の援助で身の置き場所を得た直。子ども二人を育てるシングルマザー久美の応援で、直はこの町でシングルマザーとしての一歩を踏み出した。近所のカレーハウス「鴎夢亭(おうむてい)」では、一皿を涼太と分け合おうとしていたのを見かねたオーナー老夫婦一家にも優しくされ、週の一日をそこで働かせてもらえることになり、涼太も孫のように老夫婦になつく。 慣れないパートの掛け持ち生活を始める直だが、仕事中に夫の暴力のフラッシュバックに襲われてパート先の居酒屋からは、もう来なくていいと言われてしまう。そんな中、偶然高坂燈子に助けられた直は後日、藁にもすがる思いで燈子の事務所を訪れる。燈子はシングルマザーをサポートする「ひとりママネット」の代表であり、シングルマザーの大先輩だったのだ。燈子と鴎夢亭、二つの安息所を得た直だが、自分に何の資格も取り柄もないことに気づき、簿記検定そしてパソコン検定の試験勉強に邁進する。涼太は、母のシングルマザー友達である水枝のひとり息子慎之介と一緒に入学式を迎え、母の愛のもとでたくましく素直な小学生に育っていく。 ある日、事務局を小田と名乗る会社員の男性が訪ねてくる。応対した直に、自分を置いて家を飛び出した妻のことについて相談したいと話し出す。妻からの暴力を受けていた、自分はDV被害者だと訴える小田。しかし小田の中にある、自分の元夫と同じDV加害者の影に気づいた直は、激しいフラッシュバックに襲われその場に崩れ落ちてしまう。日を改めて度々訪ねて来て、会の作業を手伝うようになった真面目で礼儀正しい振る舞いの小田ではあるが、自身の過去の行動について真摯に向き合うようにと詰め寄る直。その後小田はDV加害者の更生プログラムに入り、過去の自分を見つめ直す道を歩み始める。 やがて経理の仕事を得て、さらにひとりママネット事務局長の椅子を与えられた直は、仕事も仲間のサポートもと忙しく活動するようになる。そういう直に触発されパソコン検定を目指すもの、簿記検定を目指すものが現れ始め、グループの会員はそれぞれに自立へと活気づいていく。しかし、現実の社会はシングルマザーに対して無理解で厳しく、不況による非正規のリストラ、さらに児童扶養手当削減法案の正立という試練が待ち構えていた。ついに直たちは国会への抗議活動へと向かい街頭演説会を計画するが、マスコミへ露出されれば別れた夫に隠し続けている所在を知られるだろうことに直は心を痛める。 キャスト主要人物
ゲストスタッフ(テレビドラマ)
放送日程
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脚注
外部リンク
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