ジャスティン・ゲイジー(Justin Gaethje、1988年11月14日 - )は、アメリカ合衆国の男性総合格闘家。アリゾナ州サフォード出身。ジェネシス・トレーニングセンター/エレベーション・ファイト・チーム所属。元UFC世界ライト級暫定王者。UFC世界ライト級ランキング3位。元WSOF世界ライト級王者。
概要
レスリングをバックボーンに持つが、試合ではほとんどスタンドの打撃で戦うストライカータイプの選手であり、体幹の強さから繰り出すフック系のパンチやローキックなどの強烈な打撃を武器にアグレッシブな試合を展開する[2]。また、毎試合と言っていいほど激闘を繰り広げることから「ザ・ハイライト (The Highlight)」の異名を持ち、UFCでの13試合中11試合でファイトボーナスを受賞している名勝負製造機である。
来歴
アリゾナ州サフォードでドイツ系の父親とメキシコ系の母親との間に生まれる。4歳からレスリングを始め、サフォード高校時代はアリゾナ州王者に2度なった[3]。北コロラド大学ではNCAAディビジョン1でオールアメリカンに選出された。レスリング部にジョルジュ・サンピエールなどの総合格闘家が出稽古に訪れていた事から総合格闘技に興味を持ち、卒業後の2011年にプロデビュー[2]。
WSOF
2013年3月23日、WSOF初参戦となったWSOF 2でJ.Z.カルバンと対戦し、ドクターストップで1RTKO勝ち[4]。
2014年1月18日、WSOF 8のWSOF世界ライト級王座決定戦でリチャード・パティシュノックと対戦し、右肘打ち連打で1RTKO勝ち。王座獲得に成功した[5]。
2014年7月5日、WSOF 11のWSOF世界ライト級タイトルマッチで挑戦者ニック・ニューウェルと対戦し、右ストレートで2RTKO勝ち。王座の初防衛に成功した[6]。
2015年3月28日、WSOF 19のWSOF世界ライト級タイトルマッチで挑戦者ルイス・パロミーノと対戦し、右ローキックでダウンを奪いパウンドで3RTKO勝ち。2度目の王座防衛に成功した[7]。
2015年9月18日、WSOF 23のWSOF世界ライト級タイトルマッチで挑戦者ルイス・パロミーノと再戦し、右ストレートでダウンを奪いパウンドで2RTKO勝ち。3度目の王座防衛に成功した[8]。
2016年3月12日、WSOF 29のWSOF世界ライト級タイトルマッチでブライアン・フォスターと対戦し、右ローキックで1RTKO勝ち。4度目の王座防衛に成功した[9]。
2016年12月31日、WSOF 34のWSOF世界ライト級タイトルマッチで挑戦者ルイス・ブスカペと対戦し、3R終了時にドクターストップでTKO勝ち。5度目の王座防衛に成功した[10]。
UFC
2017年7月7日、UFC初参戦となったThe Ultimate Fighter 25 Finaleでライト級ランキング5位のマイケル・ジョンソンと対戦。ジョンソンのパンチで何度もダウン寸前に追い込まれるが、スタンドパンチと膝蹴りの連打で2RTKO勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトとパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを同時受賞した[11]。
2017年12月2日、UFC 218でライト級ランキング4位のエディ・アルバレスと対戦。序盤から一進一退の攻防を繰り広げ、ローキックを効かせるものの、3Rに右膝蹴りでダウンを奪われパウンドでKO負け。キャリア初黒星を喫したものの、2試合連続のファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[12]。
2018年4月14日、UFC on FOX 29のメインイベントでライト級ランキング5位のダスティン・ポイエーと対戦。激しい打撃戦を繰り広げるも、4Rにローキックに合わせたカウンターの左ストレートでぐらつき、追撃のスタンドパンチ連打でTKO負け。2連敗となったものの、3試合連続のファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[13]。
2018年8月25日、UFC Fight Night: Gaethje vs. Vickでライト級ランキング10位のジェームズ・ヴィックと対戦し、右ストレートで1RKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞した[14]。
2019年3月31日、UFC on ESPN: Barboza vs. Gaethjeでライト級ランキング6位のエジソン・バルボーザと対戦し、右フックで1RKO勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[15]。
2019年9月15日、UFC Fight Night: Cowboy vs. Gaethjeでライト級ランキング4位のドナルド・セラーニと対戦。1R終盤に右フックでダウンを奪い、立ち上がったセラーニに追撃の右フックで再びダウンを奪いパウンドでTKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞し、3試合連続の1R決着となった[16]。
UFC暫定王座獲得
2020年5月9日、UFC 249のUFC世界ライト級暫定王座決定戦でライト級ランキング1位のトニー・ファーガソンと対戦。2R終了直前に右アッパーでダウンを喫するものの、それ以降は再三に渡って左右のフックとローキックを効かせ、5R終盤に左ジャブでダメージの蓄積していたファーガソンが後退するとレフェリーが試合をストップしTKO勝ち。暫定王座獲得に成功し、ファイト・オブ・ザ・ナイトとパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを同時受賞した[17]。
世界王座陥落
2020年10月24日、UFC 254のUFC世界ライト級王座統一戦で正規王者ハビブ・ヌルマゴメドフと対戦。プレッシャーをかけるヌルマゴメドフに左右フックや右ローキックをヒットさせるものの、テイクダウンを奪われるとマウントポジションから三角絞めに移行され2R一本負け。王座統一に失敗するとともに暫定王座から陥落した[18]。
2021年11月6日、UFC 268でライト級ランキング5位のマイケル・チャンドラーと対戦し、お互いに打撃を効かせ合う死闘の末に3-0の判定勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[19]。
2022年5月7日、UFC 274のUFC世界ライト級タイトルマッチでチャールズ・オリベイラと対戦。開始早々に右アッパーでダウンを奪うも、右ストレートでダウンを奪い返されリアネイキドチョークで1R一本負け。この試合は、オリベイラがライト級タイトルマッチのリミット体重から0.5ポンド体重超過したため王座を剥奪され、ゲイジーが勝利した場合にのみ王座獲得の権利が与えられることとなった。なお、王者が体重超過により王座を剥奪されたのはUFC史上初のケースである[20][21]。
2023年3月18日、UFC 286でライト級ランキング6位のラファエル・フィジエフと対戦。一進一退の打撃戦を繰り広げ、3Rに左ジャブと右アッパーを効かせて2-0の判定勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[22]。
2023年7月29日、UFC 291でライト級ランキング2位の元UFC世界ライト級暫定王者ダスティン・ポイエーと約5年ぶりに再戦し、右ハイキックで2RKO勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトを受賞し、リベンジに成功した。また、この試合でゲイジーはUFC 244のホルヘ・マスヴィダル以来となるBMFベルト(Baddest Mother Fuckerの略。最高にイカしたやつの意)を獲得した[23]。
2024年4月13日、UFC 300で元UFC世界フェザー級王者マックス・ホロウェイと対戦し、試合終了直前に打ち合いを繰り広げた際に右フックで失神KO負け。敗れはしたものの、ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。この試合はゲイジーがUFC 291で獲得したBMFベルトの防衛戦として行われた[24]。
人物・エピソード
- UFCライト級屈指のレスリング実績を誇るのにもかかわらず、UFCでレスリングをほぼ使わないことについて、レスリングはエネルギーを多く消耗しすぎるからで、疲れるならレスリングよりも戦いで疲れたほうがいいと語っている[25][26]。
- ゲイジーのコーチを務めるトレバー・ウィットマンよると、元々ゲイジーは「金を稼ぎたい。このスポーツで金を稼ぐ最も確実な方法はエキサイティングであることなんだ」と、最もエキサイティングな選手になりたいと語っていたが、エディ・アルバレスとダスティン・ポイエーに2連敗してからは、相手に積極的にプレッシャーをかけるスタイルは変わらないものの、リスクを減らすために打ち合いのタイミングをより選択するようになり、スパーリングの方法から変わったという[27]。
- アマチュア総合格闘技で5試合するまで打撃の練習を全くしていなかったと語り、それまで一対一のスパーリングは疎か練習でパンチを打ったこともなかったという[28]。
- ハビブ・ヌルマゴメドフは最も打撃が強かった対戦相手としてゲイジーの名前を挙げており「トラックのように重い打撃だった」と語っている[29]。
- 視力が悪かったためUFCデビュー戦の前に視力矯正手術を受け、それまでは視力が左眼0.3、右眼は0.1ほどしかなかったが、視力1.0に回復している[30]。
戦績
プロ総合格闘技
総合格闘技 戦績
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30 試合
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(T)KO
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一本
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判定
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その他
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引き分け
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無効試合
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25 勝
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20
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1
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4
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0
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0
|
0
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5 敗
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3
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2
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0
|
0
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アマチュア総合格闘技
勝敗
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対戦相手
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試合結果
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大会名
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開催年月日
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○ |
アーロン・カーター |
3R 1:48 TKO(膝蹴り連打) |
Ring of Fire 40: Backlash |
2011年4月16日
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○ |
スコット・クレーヴ |
3分3R終了 判定2-1 |
Ring of Fire 38: Ascension |
2010年6月5日
|
○ |
オースティン・グリーア |
2R 1:56 TKO(パンチ連打) |
VFC 27: Mayhem |
2009年5月1日
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獲得タイトル
- 初代WSOF世界ライト級王座(2014年)
- UFC世界ライト級暫定王座(2020年)
- BMFライト級王座(2024年)
表彰
- レスリング NCAAディビジョン1オールアメリカン(2010年)
- UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(8回)
- UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト(4回)
ペイ・パー・ビュー販売件数
脚注
- ^ JAPAN, UFC. “data-fighter”. UFC日本公式サイト. 2022年10月25日閲覧。
- ^ a b 【WSOF19】やり過ぎゲイジー、3度目の王座防衛戦は穴をつきたいパロミーノと MMAPLANET 2015年3月27日
- ^ 【WSOF06】ジャスティン・ゲイジー 「俺はいつだってハングリー」 MMAPLANET 2013年10月27日
- ^ WSOF 2 results recap: Justin Gaethje vs Gesias Cavalcante fight review and analysis MMA Mania 2013年3月24日
- ^ 【WSOF08】嵐のような猛攻、69秒でゲイジーがライト級王座獲得 MMAPLANET 2014年1月19日
- ^ WSOF 11 results: Justin Gaethje TKOs Nick Newell in network-TV debut MMA Junkie 2014年7月5日
- ^ WSOF 19 Results: Justin Gaethje Defeats Luis Palomino in Fight of the Year Fansided 2015年3月28日
- ^ WSOF 23 results: Justin Gaethje scores 'Knockout of the Year' candidate in wild win over Luis Palomino MMA Fighting 2015年9月19日
- ^ WSOF 29 Results: Justin Gaethje TKO’s Brian Foster Low Kick MMA 2016年3月12日
- ^ Justin Gaethje defends WSOF title, beats late replacement Luiz Firmino 2017年1月1日
- ^ UFC Ultimate Fighter 25 Finale Results: Justin Gaethje TKOs Michael Johnson Bleacher Report 2017年7月8日
- ^ UFC 218 results: Eddie Alvarez knocks out Justin Gaethje in incredible fight Bloody Elbow 2017年12月2日
- ^ UFC on FOX 29 bonuses: Poirier, Gaethje get easiest 'Fight of Night' in history of ever MMA Junkie 2018年4月14日
- ^ UFC Lincoln Results: Justin Gaethje Levels James Vick Cageside Press 2018年8月26日
- ^ UFC on ESPN 2 results, highlights: Justin Gaethje delivers another incredible knockout, lays out Edson Barboza CBS Sports 2019年3月31日
- ^ UFC Fight Night 158 Results: Justin Gaethje Destroys Donald Cerrone (VIDEO) And Earns Forbes 2019年9月15日
- ^ UFC 249 RESULTS: JUSTIN GAETHJE DEMOLISHES TONY FERGUSON TO WIN INTERIM TITLE; CEJUDO STOPS CRUZ AND RETIRES DAZN 2020年5月10日
- ^ UFC 254 results: Khabib Nurmagomedov retires after second-round submission of Justin Gaethje Sporting News 2020年10月25日
- ^ UFC 268 results: Justin Gaethje outlasts Michael Chandler in an incredible three-round war MMA Junkie 2021年11月6日
- ^ Charles Oliveira Beats Justin Gaethje via Submission After Missing Weight for UFC 274 Bleacher Report 2022年5月8日
- ^ UFC 274: CHARLES OLIVEIRA STRIPPED OF LIGHTWEIGHT TITLE AFTER MISSING WEIGHT DAZN 2022年5月7日
- ^ UFC 286 results, highlight videos: Justin Gaethje takes majority decision over Rafael Fiziev Bloody Elbow 2023年3月18日
- ^ Dustin Poirier vs. Justin Gaethje 2 for BMF title headlines UFC 291, full main card announced MMA Fighting 2023年5月16日
- ^ UFC 300 live results, updates: Play-by-play of every fight from Las Vegas MMA Junkie 2024年4月13日
- ^ Justin Gaethje on why he doesn’t use his wrestling: ‘I honestly don’t know’Bloody Elbow 2018年4月29日
- ^ Justin Gaethje explains why he doesn’t wrestle in UFC: It takes up too much energyBloody Elbow 2020年6月22日
- ^ UFC 249: Inside Justin Gaethje's journey from a mining town to MMA stardomESPN 2020年5月7日
- ^ JOE ROGAN EXPERIENCE MMA: JUSTIN GAETHJE & TREVOR WITTMAN MC. 2020年5月30日
- ^ NUR MORE Khabib Nurmagomedov reveals Justin Gaethje ‘hit like a truck’ and was hardest puncher UFC legend faced in his last fight ザ・サン 2021年8月10日
- ^ Dan Hardy: Justin Gaethje’s ‘eyesight was so bad’ he couldn’t see opponent at range Bloody Elbow 2020年5月6日
- ^ UFC 291 PPV Buys Reach 750k, Bring In $40 Million In Revenue The Sports Daily 2023年7月31日
- ^ Midnight Mania! UFC 274 best-selling event of the year, breaks 400,000 PPV buys MMA Mania 2022年5月12日
- ^ Kevin Iole (2020年5月12日). “UFC 249 generates over 700,000 PPV buys on ESPN+”. sports.yahoo.com. 2020年5月12日閲覧。
関連項目
外部リンク
前王者 王座新設
|
初代WSOF世界ライト級王者
2014年1月18日 - 2017年4月27日
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空位 次タイトル獲得者 N/A
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