ヤニック・シナー
ヤニック・シナー (Jannik Sinner, 英語発音: /ˈjænɪk ˈsɪnər/[1]; 2001年8月16日 - ) は、イタリア・サン・カンディド出身の男子プロテニス選手。ATPランキング自己最高位はシングルス1位、ダブルス124位。これまでにATPツアーでシングルス18勝、ダブルス1勝を挙げている。身長191cm、体重77kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。 選手経歴ジュニア時代2歳半で初めてラケットを握り[2]、3歳の頃にテニスを始めた。しかし、幼少期はイタリアスキーのジュニアチャンピオンに輝いた功績を持つほどスキーに熱中し、テニスに本格的に取り組むのは13歳になってからであった[3][4]。 2019年 NextGenファイナルズ初優勝 トップ100入り2月のベルガモ・チャレンジャーの決勝で、ロベルト・マルコーラを2-0で下し、2001年生まれ以降では初めてとなるATPチャレンジャーツアーシングルス初優勝を達成[5]。3月にはITFフューチャーズのトレントとプーラで優勝した。 4月のハンガリー・オープンで予選を勝ち上がり本戦入りし、ATPツアーデビューを果たした。初戦はマーテー・ヴァルクスを2-1で下しATPツアー初勝利。2回戦ではラスロ・ジェレ相手に0-2で敗れた。翌週のオストラヴァ・チャレンジャーでキャリア2度目となるチャレンジャー決勝進出となったが、カミル・マイフシャクにストレート負けし準優勝となった。 5月のBNLイタリア国際でワイルドカードで本戦入りし、マスターズ1000初出場。1回戦でスティーブ・ジョンソンを2-1で下しマスターズ初勝利。2回戦でステファノス・チチパスに0-2で敗れた。ウィンブルドン選手権は予選1回戦でアレックス・ボルトに1-2で敗れ初戦敗退となった。8月初旬のレキシントン・チャレンジャーの決勝でボルトに2-1で勝利し、2回目のチャレンジャー優勝を果たした。同月下旬の全米オープンでは予選3試合を勝ち上がり、グランドスラム本戦初出場を果たした[6]。1回戦で第23シードのスタン・ワウリンカに1-3で敗れた。 10月のヨーロピアン・オープンでは2回戦でガエル・モンフィスを2-0で破り、対トップ50初勝利を挙げた[7]。この大会では準決勝進出を果たしたが、ワウリンカにストレート負けした。翌週のエルステ・バンク・オープン1回戦でフィリップ・コールシュライバーを下したことにより、シングルス世界ランクトップ100入りを果たした。 11月初旬のNext Gen ATPファイナルズではワイルドカード出場し、決勝進出[8]。決勝ではアレックス・デミノーをストレートで下し優勝した[9]。 2020年 ツアー初優勝 トップ50入り全豪オープンでは初戦のマックス・パーセルをストレート勝ちし、グランドスラム初勝利を挙げた。2回戦はマートン・フチョビッチにストレート負けした。2月のABNアムロ世界テニス・トーナメントでは2回戦でダビド・ゴファンを2-0で下し対トップ10初勝利を挙げた。 新型コロナウイルス感染症の世界的流行によるツアー中断中、7月のbett1 ACES(エキシビション)に参加。第一トーナメントでは、準々決勝のトミー・ハースを2-1で下したが、準決勝のドミニク・ティームに0-2で敗れた。続く第二トーナメントでは、準々決勝のカレン・ハチャノフ、準決勝のロベルト・バウティスタ・アグートをともに2-0で下したが、決勝で再びティームと対戦して0-2で敗れた。 9月の全米オープン、1回戦のハチャノフにセットカウント2-0でリードしていたものの、逆転負けを喫した。BNLイタリア国際の2回戦では当時6位のステファノス・チチパスにフルセットで勝利、同大会は3回戦のグリゴール・ディミトロフにフルセットで敗れた。 10月の全仏オープンでは、1回戦で第11シードのゴファンを、4回戦で世界ランク7位のアレクサンダー・ズベレフを破り、ベスト8進出を果たした。この全仏ベスト8入りは2006年のノバク・ジョコビッチ以来の若さである。また全仏初出場ベスト8も2005年のラファエル・ナダル以来である[10]。準々決勝では第2シードのナダルにストレートで負けた。同月行われたbett1HULKS選手権では準決勝アレクサンダー・ズベレフに0-2で敗れベスト4。 11月のソフィア・オープンではヒュースラー、デミノー、マナリノらを下し、ATPツアーで初めて決勝進出。決勝ではバセク・ポスピシルにフルセットの末勝利し、ツアー初優勝を達成した[11]。 2021年 マスターズ準優勝 ATPファイナルズ初出場 トップ10入り1月にアデレードのエキシビジョンマッチに参加。クライノビッチとジョコビッチとそれぞれ1セットマッチで対戦したが、それぞれ3-6, 3-6で敗れた[12]。2月にメルボルンで行われたグレート・オーシャン・ロード・オープンではブキッチ、ベデネ、ケツマノビッチを全て2-0で下すと、準決勝はハチャノフと対戦。3時間を超えるフルセットゲームの末、7-6, 4-6, 7-6でシナーが勝利した。決勝ではトラヴァーリャを7-6, 6-4で下し、ATPツアー2勝目を挙げた[13]。19歳でのツアー2勝目はアレクサンダー・ズベレフ以来である。 全豪オープンでは1回戦で第11シードのデニス・シャポバロフと初対戦して、フルセットの末に敗退。マッチ連勝が10でストップした。3月のマイアミ・オープンではカレン・ハチャノフらを敗った後、準決勝でロベルト・バウティスタ・アグートを下し、初のATPマスターズ1000決勝進出を果たした[14]。しかし、決勝ではフベルト・フルカチュに6-7(4), 4-6で敗れ、準優勝に留まった。 全仏オープンでは4回戦まで進出したが、ラファエル・ナダルに敗れた。ウィンブルドンでは初の本戦入りを果たしたが、1回戦でマートン・フチョビッチに敗れた。ライリー・オペルカと組んだアトランタ・オープンでは決勝でスティーブ・ジョンソン (テニス選手) /ジョーダン・トンプソン組を破り、ダブルスツアー初優勝を果たした。シティ・オープンでは第5シードとして決勝までにエーミル・ルースヴオリ、セバスチャン・コルダ、ジェンソン・ブルックスビーなどの他の若手を下した。決勝でマッケンジー・マクドナルドを破り、ツアー3勝と初のATPツアー500タイトルを獲得。同トーナメント史上初のイタリア人優勝者であり、最年少のATPツアー500と最初の10代のチャンピオンを記録。2021年8月9日に世界ランキング15位を更新。 全米オープンでは3回戦でガエル・モンフィスを7-6(1), 6-2, 4-6, 4-6, 6-4のフルセットで下し、初の4回戦進出。4回戦ではズベレフに6–4, 6–4, 7–6(7)のストレートで敗れた。昨年ツアー初優勝を飾ったソフィア・オープンでは第1シードで出場し、決勝で全米オープンで対戦したモンフィスと再戦して勝利。同大会2連覇を達成し、ツアー4勝目を挙げた。 BNPパリバ・オープンでは3回戦でテイラー・フリッツにストレートで敗れた。ヨーロピアン・オープンでは第1シードとして出場し、1回戦で同郷のムゼッティをストレートで下すと、決勝まで1セットも落とさず勝ち上がり、決勝ではディエゴ・シュワルツマンを6-2, 6-2と圧倒しツアー5勝目を挙げた。11月になると世界ランキング9位を記録し、初のトップ10入りを果たした。パリ・マスターズでは初戦でスペインの新鋭カルロス・アルカラスに敗れた。 Nitto ATPファイナルズはレースランキングで9位になり、出場資格を獲得できなかったが、同ランキング6位の同胞マッテオ・ベレッティーニが第1試合を途中棄権したのちに大会を棄権したため[15]、代役として初出場を果たした。「レッド・グループ」に入り、フベルト・フルカチュに勝利したが、ダニール・メドベージェフに敗れ、1勝1敗でラウンドロビン敗退。年間最終ランキングは10位[16]。 デビスカップ・ファイナルズにイタリア代表として出場。ラウンドロビンではアメリカのジョン・イズナー、コロンビアのダニエル・エラヒ・ガランをそれぞれストレートで下した[17][18]。準々決勝でクロアチアと対戦し、マリン・チリッチに勝利するも[19]、ファビオ・フォニーニと組んで出場したダブルスはニコラ・メクティッチ/マテ・パビッチ組に敗れ[20]、ベスト8敗退となった[21]。 2022年 全豪・ウィンブルドン・全米ベスト8ATPカップではイタリア代表として初出場。単複で活躍して、フランスとオーストリアに勝利するもロシア代表に敗れ、ラウンドロビン敗退。 全豪オープンでは第11シードで出場して、1回戦でジョアン・ソウザ、2回戦ではスティーブ・ジョンソン (テニス選手) 、3回戦ではダニエル太郎、4回戦では第32シードのアレックス・デミノーを破り、全豪オープン初のベスト8入り。準々決勝では第4シードのステファノス・チチパスに3-6, 4-6, 2-6のストレートで敗れた。ドバイ・テニス選手権では準々決勝ではアンディ・マリーを下してホベルト・ホルカシュに敗れた。第11シードで迎えたBNPパリバ・オープンでは4回戦まで進出したがニック・キリオス戦を前に体調不良のために棄権したが、続くマイアミ・オープンでは4回戦でキリオスを下してリベンジを果たして、ベスト8入り。準々決勝ではフランシスコ・セルンドロ戦で1-4の時点で途中棄権。 クレーシーズンに入り、モンテカルロ・マスターズでベスト8入り。準々決勝でアレクサンダー・ズベレフに7-5, 3-6, 6-7(5)で敗れた。マドリード・オープンでは3回戦でフェリックス・オジェ=アリアシムに1-6, 2-6で敗退。BNLイタリア国際ではベスト8入りするも、準々決勝でステファノス・チチパスに6-7(5), 2-6で敗退。第11シードとして迎えた全仏オープンでは4回戦で第7シードのアンドレイ・ルブレフに6-1, 4-6, 0-2の時点で途中棄権をして、ベスト8入りを逃した。 芝シーズンに入り、イーストボーン国際ではトミー・ポールに初戦敗退するも、2022年ウィンブルドン選手権では第10シードとして出場し、1回戦でスタン・ワウリンカを7-5, 4-6, 6-3, 6-2で破り、大会初勝利を挙げた。2回戦ではマイケル・イマーを6-4, 6-3, 5-7, 6-2、3回戦では第20シードのジョン・イズナーを6-4, 7-6(4), 6-3で下して、4回戦ではお互い初のベスト8入りをかけて第5シードのスペインの新鋭カルロス・アルカラスと対決し、6-4, 6-1, 6-7(8), 6-3で勝利し、ウィンブルドン選手権初のベスト8入りを果たした。準々決勝では第1シードのノバク・ジョコビッチと対決して、7-5, 6-2, 3-6, 2-6, 2-6の2セットを先取するも、フルセットの末に敗れた。 クロアチア・オープンでは決勝でアルカラスを6-7(5), 6-1, 6-1の逆転で下し、ツアー6勝目を挙げた。ナショナル・バンク・オープンではパブロ・カレーニョ・ブスタ、ウエスタン・アンド・サザン・オープンではオジェ=アリアシムにそれぞれ3回戦で敗退。そして迎えた全米オープンでは第11シードとして出場。準々決勝で第3シードのアルカラスと対決するも、3-6, 7-6(7), 7-6(0), 5-7, 3-6の5時間に及ぶフルセット熱戦の末に敗れた。今大会でベスト8入りしたことで、全グランドスラムでベスト8入りを記録した。 10月のソフィア・オープンでは準決勝でのホルガ・ルーネ戦中に足を捻ったことで7-5, 4-6, 2-5の時点で棄権した。同月末のエルステ・バンク・オープンで復帰してベスト8入り。準々決勝でダニール・メドベージェフに4-6, 2-6で敗れた。パリ・マスターズではマルクアンドレア・ヒュースラーに2-6, 3-6のストレートで初戦敗退。年間最終ランキングは15位。 2023年 マスターズ初優勝 ATPファイナルズ準優勝 デビス杯初優勝 世界4位1月、全豪オープンでは第15シードとして出場。1回戦ではカイル・エドマンドを6-4, 6-0, 6-2、2回戦ではトマス・マルティン・エチェベリを6-3, 6-2, 6-2、3回戦でのマートン・フチョビッチ戦では4-6, 4-6, 6-1, 6-2, 6-0のフルセットで下す。4回戦では第3シードのステファノス・チチパスと対決して、4-6, 4-6, 6-3, 6-4, 3-6のフルセットで敗れた。 2月、南フランス・オープンでは決勝でマキシム・クレッシーを7-6(3), 6-3のストレートで下して、ツアー8勝目を挙げた。翌週のABNアムロ・オープンでも決勝進出。決勝ではダニール・メドベージェフに7-5, 2-6, 2-6で敗れ、準優勝。 3月、BNPパリバ・オープンでは4回戦でスタン・ワウリンカを6-1, 6-4、準々決勝ではテイラー・フリッツを6-4, 4-6, 6-4で下してベスト4進出。準決勝ではカルロス・アルカラスに6-7(4), 3-6のストレートで敗れたが、続くマイアミ・オープンでの準決勝ではアルカラスを6-7(4), 6-4, 6-2の逆転で下して、ATPマスターズ1000では2年ぶり2度目の決勝進出して、決勝でメドベージェフに5-7, 3-6のストレートで敗れ、準優勝となった。 4月、モンテカルロ・マスターズでは3回戦でホベルト・ホルカシュを3-6, 7-6(6), 6-1、準々決勝でロレンツォ・ムゼッティを6-2, 6-2で下して初のベスト4進出。準決勝ではホルガ・ルーネに6-1, 5-7, 5-7で敗れた。バルセロナ・オープンでは体調不良のため準々決勝の試合前に棄権した。 5月、BNLイタリア国際では4回戦でフランシスコ・セルンドロに7-6(3), 2-6, 2-6で敗れた。全仏オープンでは第8シードとして出場するも、2回戦でダニエル・アルトマイアーに7-6(0), 6-7(7), 6-1, 6-7(4), 5-7のフルセットの末に敗退。 6月、芝シーズンになり、リベマ・オープンとテラ・ヴォートマン・オープンでは両大会ともに準々決勝進出するも、それぞれエーミル・ルースヴオリとアレクサンダー・ブブリクに敗れた。 7月、ウィンブルドン選手権では第8シードで出場して、初のベスト4進出を果たす。準決勝では第2シードかつ前年度覇者のジョコビッチに3-6, 4-6, 6-7(4)のストレートで敗れた。 8月、ナショナル・バンク・オープンでは2回戦で同胞のマッテオ・ベレッティーニを6-4, 6-3、3回戦ではアンディ・マレー(不戦勝)、準々決勝でガエル・モンフィスを6-4, 4-6, 6-3、準決勝でトミー・ポールを6-4, 6-4で下して自身3度目となるマスターズ決勝進出を果たす。決勝ではアレックス・デミノーを6-4, 6-1のストレートで下してマスターズ初優勝を達成し、世界ランキングを自己最高の6位に更新。ウエスタン・アンド・サザン・オープンではドゥシャン・ラヨビッチに4-6, 6-7(4)のストレートで初戦敗退。 9月、全米オープンでは第6シードとして出場。2回戦ではロレンツォ・ソネゴを6-4, 2-6, 6-4、3回戦ではワウリンカを6-3, 2-6, 6-4, 6-2で勝利するも、4回戦では第12シードのアレクサンダー・ズベレフに4-6, 6-3, 2-6, 6-4, 3-6のフルセットで敗れた。 10月、チャイナ・オープンでは準々決勝でグリゴール・ディミトロフを6-4, 3-6, 6-2、準決勝でアルカラスを7-6(4), 6-1で破り、決勝進出。決勝ではメドベージェフを7-6(2), 7-6(2)のストレートで下して、ツアー9勝目を挙げた。上海マスターズでは4回戦でベン・シェルトンに6-2, 3-6, 6-7(5)で敗れたが、続くエルステ・バンク・オープンでは1回戦でシェルトンを7-6(2), 7-5のストレートで下して、リベンジを果たした。そのまま準決勝でアンドレイ・ルブレフを7-5, 7-6(5)で破り、決勝でメドベージェフを7-6(7), 4-6, 6-3で破り、ツアー10勝目を挙げた。 11月、パリ・マスターズでは3回戦のアレックス・デミノー戦を前に棄権した。レースランキング4位で迎えた2023年ATPファイナルズではグループステージで第1試合でチチパスを6-4, 6-4、第2試合でジョコビッチを7-5, 6-7(5), 7-6(2)、第3試合でルーネを6-2, 5-7, 6-4で全勝で決勝トーナメント進出。決勝トーナメントではメドベージェフを6-3, 6-7(4), 6-1で下して、決勝進出。決勝ではジョコビッチに3-6, 3-6のストレートでリベンジされ、初の準優勝飾った。 2023年デビスカップではデビスカップイタリア代表として参戦して、決勝でデビスカップオーストラリア代表のデミノーを6-3, 6-0のストレートで下して、イタリアの47年ぶりの優勝に貢献した[22]。年間最終ランキングは4位。 2024年 全豪・全米初優勝 ツアー通算200勝 デビス杯2連覇 世界1位1月、全豪オープンに第4シードとして出場。最高成績が2022年のベスト8となっていたが、今大会は好調を維持し、1回戦から準々決勝までセットを落とさずに準々決勝で第5シードのアンドレイ・ルブレフを6-4, 7-6(5), 6-3のストレートで破り、大会初のベスト4入りすると、準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチに1セット落とすもののを6-1, 6-2, 6-7(6), 6-3で破り、四大大会初の決勝に駒を進めた[23]。決勝では第3シードのダニール・メドベージェフを3-6, 3-6, 6-4, 6-4, 6-3の大逆転で破り3時間半を超える試合を制して四大大会初優勝を飾った[24]。さらにイタリア人として1968年のオープン化以降では初となる全豪オープンのシングルスタイトルを手にした[24]。 2月、第1シードとして出場したABNアムロ・オープンでは決勝進出。決勝では第5シードのアレックス・デミノーを7-5, 6-4のストレートで下して、今季無傷の15連勝。さらに今大会でツアー通算200勝を記録し、ツアー12勝目を挙げ、イタリア人として史上初の世界ランキング3位を更新。 3月、BNPパリバ・マスターズではベスト4入り。準決勝で第2シードのカルロス・アルカラスに6-1, 3-6, 2-6の逆転で敗れたが、続くマイアミ・オープンでは準決勝で第2シードのメドベージェフを1-6, 2-6のストレートで下し、決勝で第11シードのグリゴール・ディミトロフを6-3, 6-1のストレートで勝利し、自身2度目のATPマスターズ1000優勝を獲得した。さらに大会後にはイタリア人として初の世界ランキング2位を更新した。 4月、モンテカルロ・マスターズでは2回戦でセバスチャン・コーダを6-1, 6-2、3回戦でヤン=レナード・ストルフを6-4, 6-2 でそれぞれストレートで下してベスト8進出。準々決勝で第7シードのホルガ・ルーネを6-4, 6-7(6), 6-3で下して、ベスト4入りするも、準決勝で第12シードのステファノス・チチパスに4-6, 6-3, 4-6で敗れた。 5月、マドリード・オープンでは4回戦でカレン・ハチャノフを5-7, 6-3, 6-3の逆転で破り、ベスト8進出するも、準々決勝でのフェリックス・オジェ=アリアシム戦を前に腰の負傷により、棄権。 6月、全仏オープンでは第2シードとして出場。準々決勝では第10シードのディミトロフを6-2, 6-4, 7-6(3)のストレートで下して、大会初のベスト4進出を果たした。また、この試合中に第1シードのジョコビッチが準々決勝の棄権を表明し、大会後にイタリア人男子史上初の世界ランキング1位に立つことが決まった[25]。準決勝では第3シードのアルカラスに6-2, 3-6, 6-3, 4-6, 3-6のフルセットの激戦の末に敗れた。ハレ・オープンでは決勝でホベルト・ホルカシュに6-7(8), 6-7(2)の接戦で下し、ツアー14勝目を挙げた。 7月、ウィンブルドン選手権では第1シードとして出場し、2回戦でマッテオ・ベレッティーニを7-6(3), 7-6(4), 2-6, 7-6(4)の熱戦で2021年準優勝者の同胞対決を制し、3回戦ではミオミル・キツマノビッチを6-1, 6-4, 6-2のストレートで破り、4回戦で第14シードのベン・シェルトンを6-2, 6-4, 7-6(9)のストレートで下して、ベスト8入りするも、準々決勝で第5シードのメドベージェフに7-6(7), 4-6, 6-7(4), 6-2, 3-6のフルセットの末に敗れた。 8月、昨年初優勝を飾ったナショナル・バンク・オープンでは準々決勝でアンドレイ・ルブレフに3-6, 6-1, 2-6で敗退したが、ウエスタン・アンド・サザン・オープン準々決勝ではルブレフと再戦し、4-6, 7-5, 6-4で下し、リベンジを果たした。準決勝ではアレクサンダー・ズベレフを7-6(9), 5-7, 7-6(4)で破り、決勝進出。決勝ではフランシス・ティアフォーを7-6(4), 6-2のストレートで勝利し、マスターズ3勝目を挙げた。 9月、全米オープンでは第1シードとして出場。準々決勝では第5シードのメドベージェフを6-2, 1-6, 6-1, 6-4で下して、大会初のベスト4進出。準決勝では第25シードのジャック・ドレイパーを7-5, 7-6(3), 6-2のストレートで破り、決勝進出。決勝では第12シードのテイラー・フリッツを6-3, 6-4, 7-5のストレートで下し、大会初優勝を飾り、全豪オープンに続き、今季グランドスラム2冠を達成した[26][27]。 10月、チャイナ・オープンでは第1シードとして出場し、決勝進出。決勝では第2シードのアルカラスとの熱戦(7-6(6), 4-6, 6-7(3))の末に逆転で敗れ、準優勝となったが、上海マスターズでは第1シードとして出場して、順当に決勝進出。決勝では第4シードのジョコビッチを7-6(4), 6-3のストレートで下して、大会初制覇を果たして、マスターズ4勝目及びツアー17勝目を挙げた。 11月、2024年ATPファイナルズにはレースランキング1位として出場。「イリ・ナスターゼグループ」に割り振られ、グループステージではメドベージェフを6-3, 6-4、フリッツを6-4, 6-4、デミノーを6-3, 6-4で下して、予選1位で決勝トーナメント進出。準決勝ではキャスパー・ルードを6-1, 6-2で破り、決勝ではフリッツを6-4, 6-4で勝利して、全試合ストレートで勝ち上がり、ATPファイナルズ初優勝を果たした[28]。 2024年デビスカップではデビスカップイタリア代表のエースとしてシングルスとダブルス両方で活躍し、準決勝ではデビスカップオーストラリア代表のデミノーを6-3, 6-4のストレートで下して、決勝進出。決勝ではデビスカップオランダ代表のタロン・フリークスポールを7-6(2), 6-2のストレートで下して、イタリア代表の2連覇に貢献し[29]、 年間最終ランキング1位のキャリアベストシーズンに花を添えた。 プレースタイルコート上での冷静な様や、オールラウンドなプレースタイルは、ロジャー・フェデラーと比較されることもある[30]。ジョン・マッケンローからは「10年間で最も才能のある若手の一人」と評され、クリス・エバートからは精神的な成熟を称賛されている[30]。 スピン量の多いバックハンドストロークが武器の一つだが、これにはスキーの経験が活きているかもしれないと言及している[31]。 成績
W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし. グランドスラム大会
大会最高成績
主要大会決勝グランドスラムシングルス:2(優勝2回)
ATPファイナルズシングルス:2(優勝1回 準優勝1回)
ATPマスターズ1000シングルス:6(優勝4回 準優勝2回)
ATPツアー決勝進出結果シングルス:23回(18勝5敗)
ATPチャレンジャーツアー・ITFワールドテニスツアー決勝シングルス:7回(5勝2敗)
ダブルス:1回(1勝0敗)
Next Gen ATPファイナルズ
対トップ10経験者戦績1位経験者は太字で表示
脚注
外部リンク
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