全日本中学校陸上競技選手権大会(ぜんにほんちゅうがっこうりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい)は、毎年8月下旬に行われる中体連の陸上競技の全国大会である。通称「全中陸上」(ぜんちゅうりくじょう)。開催時期は8月下旬で、開催地は毎年持ち回りとなる。
他に陸上競技における中学生の全国大会としてジュニアオリンピック(10月)があるが、こちらは学年別または生年別で、種目数も限られていて開催地も持ち回りではないといった違いが見られる。
「全中」の名を冠した陸上競技の大会は他に12月開催される全中駅伝(全国中学校駅伝大会)があるが、所謂「全中」と言うと全中陸上を指す場合が多い。
参加資格
各種目には参加標準記録が設定されていて、指定された大会でこの記録を突破しないと出場することができない(参加標準記録と同記録を出した場合は突破と認められる)。逆に参加標準記録を突破しさえすれば各都道府県から(極端な話同一校から)何人でも出場することができる。ただし、4×100mRは各都道府県1チーム(1校)まで(開催地のみ2チーム)。1種目あたりの参加人数が増えすぎた場合、当該種目の参加標準記録が見直されることがある。
参加標準記録突破は指定大会(都道府県中学総体と通信陸上)でのみ有効であり、記録会などで参加標準記録を上回る水準の記録を出しても参加標準記録突破は認められない。ただし、自然災害などで指定大会を開催できなかった場合、代替大会での記録または同年度中のベスト記録をもって参加標準記録の突破を認められる措置が取られる。なお、参加標準記録の突破にはラウンドや順位は問わないので、予選で参加標準記録を突破して準決勝や決勝を棄権しても当該種目の全国大会出場は認められる。
個人種目は1人2種目まで出場が認められているが、2種目に出場する場合、両種目とも参加標準記録を突破する必要がある。都道府県によっては指定大会が2大会とも個人種目が1人1種目の出場しか認められていない場合があり、当該都道府県の選手が全国大会に2種目で出場したい場合、2つの指定大会で別々の種目にエントリーし、なおかつ両大会で参加標準記録を突破する必要がある。
北海道を除く都府県中学総体で上位に入った選手は全国大会の前に開催される地区大会(東北・関東・北信越・東海・近畿・中国・四国・九州)に出場する権利が与えられるが、地区大会の結果によって全国大会の出場権を得ることはない。また、同一都府県で参加標準記録突破者が多い種目においては「全国大会には出場できるが地区大会には出場できない」という事例が発生する。
歴史
- 1974年:第1回大会を開催。
- 1980年:
- この年から開催地が持ち回りとなる。
- 前年まで実施されていた男子100mHが廃止され、新たに男子110mHが実施される。
- 前年まで実施されていた女子80mHが廃止され、新たに女子100mHが実施される。
- 1981年:男子1年100m、男子1年1500m、男子200mが新たに実施される。
- 1988年:男子4×200mリレー、女子4×100mリレーが新たに実施される。
- 1993年:
- 前年まで学年別で実施されていた男子100m(1年・2年・3年)、男子1500m(1年・2年)、女子100m(1年・2年・3年)が共通種目に一本化され、学年別種目は全て廃止される。
- 新たに女子1500mが実施される。
- 2003年:前年まで実施されていた男子4×200mリレーが廃止され、新たに男子4×100mリレーが実施される。
- 2004年:前年まで男女ともに実施されていた三種競技A、三種競技Bが廃止され、新たに四種競技が実施される。
- 2006年:男子砲丸投の規格が前年までの4kgから5kgに変更される。
- 2009年:
- 男子800mの参加標準記録が見直され、2分02秒00から2分01秒50に変更される。
- 女子の2種目で参加標準記録を見直し。100mが12秒64から12秒60に、100mHが15秒14から15秒00に変更される。
- 2011年:
- 参加標準記録の突破を電動計測のみ認めることとし、手動計測による記録は認められなくなる。
- 男子の4種目で参加標準記録を見直し。100mが11秒30から11秒25に、200mが23秒04から22秒90に、400mが52秒04から52秒00に、110mHが15秒24から15秒00に変更される。
- 女子の7種目で参加標準記録を見直し。100mが12秒60から12秒55に、200mが26秒04から25秒90に、800mが2分17秒50から2分17秒00に、1500mが4分40秒00から4分38秒00に、100mHが15秒00から14秒85に、走幅跳が5m30から5m35に、四種競技が2500点から2570点に変更される。
- 2012年:女子四種競技の参加標準記録が見直され、2570点から2600点に変更される。
- 2014年:
- 男子の5種目で参加標準記録を見直し。100mが11秒25から11秒20に、200mが22秒90から22秒75に、400mが52秒00から51秒70に、1500mが4分10秒50から4分08秒50に、3000mが9分02秒00から8分59秒00に変更される。
- 女子の2種目で参加標準記録を見直し。走高跳が1m57から1m60に、走幅跳が5m35から5m40に変更される。
- 2015年:
- 男子800mの参加標準記録が見直され、2分01秒50から2分01秒00に変更される。
- 女子の2種目で参加標準記録を見直し。100mが12秒55から12秒53に、100mHが14秒85から14秒80に変更される。
- 2016年:
- 男子の2種目で参加標準記録を見直し。3000mが8分59秒00から8分57秒00に、走幅跳が6m50から6m55に変更される。
- 女子の3種目で参加標準記録を見直し。800mが2分17秒00から2分16秒50に、走幅跳が5m40から5m45に、四種競技が2600点から2630点に変更される。
- 2017年:男子の2種目で参加標準記録を見直し。400mが51秒70から51秒60に、800mが2分01秒00から2分00秒50に変更される。
- 2018年:女子200mの参加標準記録が見直され、25秒90から25秒80に変更される。
- 2020年:この年は三重県伊勢市で開催予定だったが、新型コロナの感染拡大懸念で初の中止[1]
競技種目・参加標準記録
大会記録
男子
参考
- 過去に行われていた種目、参考扱いの種目
- 学年別種目はいずれも第19回を最後に共通化された。
種目 |
記録 |
名前 |
所属 |
備考 |
回
|
100m |
10秒46 |
小寺慎之助 |
習志野市立第四中学校 |
(+0,1) |
第52回
|
1年100m |
11秒40 |
池上洋二郎 |
山鹿市立山鹿中学校 |
|
第14回
|
1年1500m |
4分14秒1 |
和田仁志 |
駒ヶ根市立赤穂中学校 |
|
第8回
|
2年100m |
11秒02 |
池上洋二郎 |
山鹿市立山鹿中学校 |
|
第15回
|
2年1500m |
4分02秒9 |
和田仁志 |
駒ヶ根市立赤穂中学校 |
|
第9回
|
100mH |
13秒10 |
岡宏彰 |
高松市立玉藻中学校 |
第7回から110mHへ移行 |
第4回
|
800mR |
1分30秒50 |
中里吉雄 青木大輔 古川伸一 人見祐一 |
日立市立豊浦中学校 |
第30回から400mRに移行 |
第24回
|
砲丸投(4 kg) |
19m41 |
高久保雄介 |
守山市立明富中学校 |
第33回から5kgへ移行 |
第28回
|
三種競技A |
3253pt |
鈴木秀明 |
横芝光町立光中学校 |
第31回から四種競技へ移行 |
第29回
|
100m |
11秒43(+2.2)
|
砲丸投 |
14m02
|
走高跳 |
1m94
|
三種競技B |
3348pt |
池田大介 |
日南町立日南中学校 |
同上 |
第28回
|
砲丸投 |
15m25
|
走幅跳 |
6m76(+1.5)
|
400m |
52秒29
|
女子
参考
種目 |
記録 |
名前 |
所属 |
備考 |
回
|
1年100m |
12秒39 |
飛田幸江 |
黒部市立鷹施中学校 |
|
第14回
|
2年100m |
12秒12 |
吉田香織 |
福井市立足羽中学校 |
|
第15回
|
80mH |
11秒80 |
曲渕千裕 |
今治市立上浦中学校 |
第7回から100mHへ移行 |
第5回
|
走高跳 |
1m78 |
佐藤恵 |
新潟市立木戸中学校 |
三種競技Aの内訳 |
第8回
|
三種競技A |
3361pt |
桝見咲智子 |
香川県明善中学校 |
第31回から四種競技へ移行 |
第26回
|
走高跳 |
1m67
|
100m |
12秒84(+0.5)
|
砲丸投 |
14m62
|
三種競技B |
3458pt |
桝見咲智子 |
香川県明善中学校 |
同上 |
第26回
|
走幅跳 |
5m93
|
砲丸投 |
15m41
|
100mH |
15秒06(+0.1)
|
開催地
脚注
参考文献
- 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟七十年史』 財団法人日本陸上競技連盟, 1995年,980 - 985頁
- 日本陸上競技連盟八十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟八十年史』 財団法人日本陸上競技連盟, 2005年
- 朝日新聞社発行『朝日新聞縮刷版8月号』1983年 - 1994年