内閣官房(ないかくかんぼう、英: Cabinet Secretariat[4]、略称: CS)は、日本の行政機関のひとつ。内閣の庶務、重要政策の企画立案・総合調整、情報の収集調査などを所管する[5]。
内閣法に基づき、内閣に置かれる。内閣総理大臣を主任の大臣とし、国務大臣たる内閣官房長官が事務を統括する[6]。
概要
内閣官房の入る内閣府庁舎の所在地は、東京都千代田区永田町一丁目6番1号(通称「本府ビル」[7])。幹部の執務室や内閣広報室など、内閣官房の内部組織の一部は、この庁舎から道を隔てて隣にある総理大臣官邸に置かれる。
内閣官房は、内閣の補助機関であり、内閣総理大臣を直接補佐および支援する機関として、閣議事項の整理、内閣の庶務、行政各部の施策の総合調整、内閣の重要政策に関する情報の収集分析などを行っている[5]。内閣総理大臣を主任の大臣とし、国務大臣たる内閣官房長官が事務を統括する。内閣官房長官は、「総理の右腕」と呼ばれることもあり、組閣の際には真っ先に任命されて、首相の右腕として働く[8]。
官僚組織としては、すべての府省よりも上位に位置する組織[要出典]とされ、官僚のトップである事務担当の内閣官房副長官は副大臣級の認証官であり、総務省、警察庁、厚生労働省、国土交通省の旧内務省系官庁の事務次官経験者が任命されることが多い。
沿革
[9][10]
- 1924年(大正13年)12月20日:内閣所属部局及職員官制(大正13年勅令第307号)を制定して、内閣官房を設置する。
- 1947年(昭和22年)5月3日:内閣法(昭和22年法律第5号)を根拠とする内閣官房を設置する。
- 1957年(昭和32年)8月1日:内閣参事官室、内閣審議室、内閣調査室を設置する。
- 1973年(昭和48年)5月1日:内閣広報室を設置する。
- 1986年(昭和61年)7月1日:内閣審議室、内閣調査室、内閣広報室を廃止して、内閣内政審議室、内閣外政審議室、内閣安全保障室、内閣広報官室、内閣情報調査室を設置する。
- 1998年(平成10年)4月9日:内閣安全保障室を改組し内閣安全保障・危機管理室を設置する。
- 2000年(平成12年)2月29日:情報セキュリティ対策推進室を設置する。
- 2001年(平成13年)1月6日:中央省庁再編により、内閣参事官室、内閣内政審議室、内閣外政審議室、内閣広報官室、内閣安全保障・危機管理室を廃止して、内閣総務官室、内閣官房副長官補室[注釈 2]、内閣情報調査室、内閣広報室を設置する[11]。
- 2005年(平成17年)4月25日:情報セキュリティ対策推進室を改組し、情報セキュリティセンターを設置する。
- 2014年(平成26年)
- 1月7日:国家安全保障局を設置する。
- 5月30日:内閣人事局を設置する。
現任
- この節は、内閣官房ホームページの幹部紹介[12]を参照。
幹部
内閣総理大臣補佐官
組織
首相補佐官・秘書官
その他の組織
内閣官房副長官補のもとに32の組織[19][20][21]が置かれている。
内閣官房副長官補(内政・外交)付
- アイヌ総合政策室
- 郵政民営化推進室
- 沖縄連絡室
- 原子力発電所事故による経済被害対応室
- 国土強靭化推進室
- 拉致問題対策本部事務局[22]
- 2006年(平成18年)9月29日設置。内閣拉致問題対策本部の事務局で、北朝鮮による日本人拉致問題に関する庶務を担当する。
- 行政改革推進本部事務局
- 領土・主権対策企画調整室
- 健康・医療戦略室
- TPP(環太平洋パートナーシップ)等政府対策本部
- 水循環政策本部事務局
- 産業遺産の世界遺産登録推進室
- 観光立国推進室
- 特定複合観光施設区域整備推進室
- 地理空間情報活用推進室[23]
- ギャンブル等依存症対策推進本部事務局
- 就職氷河期世代支援推進室
- デジタル市場競争本部事務局
- 国際博覧会推進本部事務局
- 新しい資本主義実現本部事務局
- 2021年(令和3年)10月15日設置[24]。
- デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
- 2021年(令和3年)11月設置[25]。
- 経済安全保障法制準備室
- 2021年(令和3年)11月19日設置。
- 令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室
- 教育未来創造会議担当室
- 全世代型社会保障構築本部事務局
- 船舶活用医療推進本部設立準備室
- GX実行推進室
- グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室
- 海外ビジネス投資支援室
- 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する検討室
- サイバー安全保障体制整備準備室
- 2023年(令和5年)1月31日設置。
- デジタル行財政改革会議事務局
内閣官房副長官補(事態対処・危機管理)付
過去に設置されていた組織
所管法人
内閣官房が主管する独立行政法人、特殊法人及び特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)は存在しない[31][32]。
財政
2024年度(令和6年度)一般会計当初予算における内閣官房所管の歳出予算は、1016億1014万7千円である[3]。
国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[注釈 4]の東日本大震災復興特別会計を内閣として共管する。
職員
一般職の在職者数は2023年7月1日現在、内閣官房全体で1,169人(男性950人、女性219人)である[33]。
行政機関定員令に定められた内閣官房の定員は、内閣法制局と合わせて、内閣の機関として定められており、特別職17人を含めて1,558人である[1]。
2024年度一般会計予算における予算定員は特別職38人、一般職1,460人の計1,498人である[3]。
内閣官房の一般職の職員は非現業の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として国家公務員法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国家公務員法第108条の2第3項)。
2024年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数について資料[34]に内閣官房の項はない。
脚注
注釈
- ^ 行政機関の職員の定員に関する法律第1条に定める、内閣の機関とは「内閣官房及び内閣法制局」をいう。
- ^ 法令上存在する組織ではない。
- ^ 内閣審議室の役割としては、事務次官会議や政務次官会議の陪席傍聴や多数の審議会の事務局などの通常業務から、主に外交・安全保障・治安問題以外の、その時々の案件を処理していた[26]。
- ^ 国の予算を所管するすべての機関である。なお人事院は予算所管では内閣に属するのでここにはない。
出典
関連項目
外部リンク
|
---|
|
|
団体・関連項目 |
---|
団体 |
セキュリティ全般 | |
---|
司法 | |
---|
警察関連 | |
---|
児童・青少年 | |
---|
金融 | |
---|
産業 | |
---|
その他 | |
---|
|
---|
関連項目 | |
---|
|
|