2010年のポルトガルグランプリ (ロードレース)
2010年のポルトガルグランプリは、ロードレース世界選手権の2010年シーズン第17戦として、10月29日から31日までポルトガルのエストリル・サーキットで開催された。 概要エストリルは週末を通して悪天候に見舞われ、土曜日の予選セッションは全クラス中止になった。そのためスターティンググリッドは3回のフリー走行のタイムにより決められ、MotoGPクラスはホルヘ・ロレンソ、Moto2クラスはガボール・タルマクシ、125ccクラスはブラッドリー・スミスがそれぞれポールポジションとなった[1]。 Moto2クラスMoto2クラス決勝では、テクノマグCIPチームで富沢祥也の後継として今回から参戦を開始した2010年のスーパースポーツ世界選手権王者、ケナン・ソフォーグルが序盤から速さを見せ、3周目にトップに立つと後続との差をどんどん広げて独走態勢を築き、グランプリデビュー戦優勝を成し遂げるかに見えた。しかしメカニックのミスにより左のハンドルバーが緩むトラブルに遭い、またリヤタイヤのグリップも徐々に失い[2]、19周目にはステファン・ブラドルにトップの座を奪われた。その後ブラドルはアレックス・バルドリーニとの激しいバトルを僅差で制し、Moto2クラス初優勝を遂げた。2位のバルドリーニはグランプリ143戦目にして初の表彰台獲得となった。9台の大集団で展開された3位争いはアレックス・デ・アンジェリスが制し、4位にはスコット・レディング、ソフォーグルは5位で初戦を終えた。 チャンピオンシップでは、ライダーズランキング3位のアンドレア・イアンノーネは34番グリッドから怒濤の追い上げを見せて19周目には4位にまで上がるが、その後転倒を喫してノーポイント。同2位のフリアン・シモンは12位で完走し、両者の差は6ポイントとなった。マニュファクチャラーズランキングでは、トップだったモリワキはMoto2初代王者のトニ・エリアスがシーズン初の転倒リタイヤを喫したこともあってノーポイントに終わり、スッターに逆転を許し、10ポイント差を付けられた[3]。 MotoGPクラスMotoGPクラス決勝ではスタート前から波乱が起きた。5番グリッドからスタートするはずだったベン・スピーズがサイティングラップ中に転倒を喫して左の足首を脱臼し、レース欠場となったのである。 レースはフィアット・ヤマハのホルヘ・ロレンソとバレンティーノ・ロッシの二人が他を大きく離し、マッチレースが展開された。4周目にロレンソからトップを奪ったロッシが徐々に差を広げ、一時は2秒近い差を築いていたが、17周目にはロレンソが再逆転。そのまま逃げ切ってシーズン8勝目を果たした。3位にはクラス初表彰台獲得を狙っていたマルコ・シモンチェリとのバトルを僅差で制したアンドレア・ドヴィツィオーゾが入った。また今回より、カルロス・チェカがミカ・カリオの後任としてプラマック・レーシングからMotoGP復帰を果たしたが、ウェットセッション続きでドライコンディション時のライディングポジションが決められなかったことから右腕にひどい痛みを抱えることとなり、レース半ばにしてピットイン・棄権となった[4]。 マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップでは、今回のワンツーフィニッシュによってヤマハの3年連続となるタイトルが確定。ライダーズランキング2位争いでは今回から決勝レース復帰を果たしたダニ・ペドロサが8位でフィニッシュし2位の座を維持、ロッシが3位にランクアップし19ポイント差で追う形となった。ケーシー・ストーナーは今回転倒リタイヤに終わったことで4位にランクダウン、2位獲得の可能性が消えた[5]。 125ccクラス125ccクラス決勝では、トップを走るニコラス・テロル(ポイントランキング2位)を、11番グリッドスタートだったが2周目には2位にまでジャンプアップしたマルク・マルケス(ポイントリーダー)が追い上げる展開となっていた。しかし7周目に雨が降り始めたために赤旗が掲示されてレースは中断、6周目終了時点の順位をグリッドにして、9周の再レースがおこなわれることとなった。 コースの一部にのみ雨が降る難しいコンディションとなった再レースのスタート前、マルケスはサイティングラップ中に転倒を喫しカウルを大破させてしまう。その後大急ぎでピットに戻るが、ピットレーン閉鎖時刻までに再コースインすることが出来ず、最後尾17番グリッドからのスタートとなってしまった。しかしマルケスはロケットスタートを決めて5番手で1コーナーをクリア、1周目終了時点では3位にまで順位を上げた。その後スミス、テロルと3台でトップ集団を形成し、ファイナルラップにはテロルと何度もトップを入れ替える激しいバトルを制してシーズン10勝目を遂げた。 これでマルケスはテロルに17ポイントのアドバンテージを持って、最終戦バレンシアGPを迎えることとなった。また再レースでは多くのライダーがスリックタイヤを選択する中、ランキング3位のポル・エスパルガロはレインタイヤを履く賭けに出たものの、結果は10位に終わってチャンピオン獲得の可能性が消えた[6]。 MotoGPクラス決勝結果
Moto2クラス決勝結果
125ccクラス決勝結果
脚注
参考文献
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