ダニエル・リチャード・ダフィー(Daniel Richard Duffy, 1988年12月21日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ゴリータ出身のプロ野球選手(投手)。左投左打。MLBのテキサス・レンジャーズ傘下所属。愛称はBear(クマ)[1]。
経歴
プロ入りとロイヤルズ時代
2007年のMLBドラフト3巡目(全体96位)でカンザスシティ・ロイヤルズから指名されプロ入り。
2009年にはオールスター・フューチャーズゲームに選出されるなど順調なキャリアを歩んでいたが、2010年の3月に「人生を見つめ直す」として突如引退を表明[2]。周囲を驚かせたが、6月になって復帰を発表した[3]。
2011年5月18日のテキサス・レンジャーズ戦で先発し、メジャーデビューを果たした。6度目の先発登板となった6月14日のオークランド・アスレチックス戦で6回2失点でメジャー初勝利を挙げた。1年目の最終成績は20試合に先発登板して4勝8敗、防御率5.64、87奪三振を記録した。
2012年は5月に左肘の靭帯を断裂してトミー・ジョン手術を受け、僅か6試合の登板でシーズンを終えた[4]。
背番号はメジャーデビュー以来23だったが、2013年から41に変更となった。
2014年3月1日にロイヤルズと1年契約に合意した[5]。同年は開幕をマイナーで迎えたが、すぐにメジャー昇格を果たし、5月からは先発ローテーションに定着した[6]。先発ローテーションに入ってからは度々好投を見せ、ぎりぎり二桁勝利に届かず9勝止まりだったものの、防御率は2.53という優れた成績をマークした。チームはポストシーズン進出を果たすと、リリーフとして出場選手登録され、救援勝利でポストシーズン初勝利を挙げた。
2015年も先発ローテーションで投げ、30試合中24試合で先発登板したが、ルーキーイヤー以来の悪い値となる7勝8敗、防御率4.08に終わった。チームは地区優勝を成し遂げ、2年連続でポストシーズンに出場すると、再びリリーフとして自身2勝目を飾った。ニューヨーク・メッツとのワールドシリーズではリリーフで3試合を1失点に抑え、チームの優勝に貢献した。
2016年は左のリリーフとして起用されていたが、途中から先発ローテーションに加わり、8月11日のデトロイト・タイガース戦で10勝を挙げて、自身初の二桁勝利となった。最終的には先発で26試合、リリーフで16試合に登板、179.2イニングに投げてキャリア初の規定投球回到達を果たした。12勝3敗、防御率3.51に加え、投げたイニング数を上回るアメリカンリーグ9位の188奪三振を奪い、エース格の1人として活躍した。
2017年開幕前の2月9日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアメリカ合衆国代表に選出された[7]。1次ラウンドでは3月12日のカナダ戦、2次ラウンドでは3月18日のドミニカ共和国戦と負ければ敗退決定の2試合に先発し、いずれも勝利投手となった。チームは3月22日の決勝プエルトリコ戦に勝利し、初の優勝を果たした[8]。
シーズンでは8月26日に左ひじ痛で故障者リストに登録されたが、翌27日にカンザス州オーバーランドパークで飲酒運転の容疑で逮捕されていたことが29日に球団から公表された[9]。シーズントータルでは、離脱の影響によって24試合登板・146.1イニングに留まり、9勝10敗、防御率3.81と2年連続二桁勝利及び規定投球回到達はならなかった。
2019年シーズンの前には、潜在的なチームの投手の礎になれると思われていた[10]。しかし、左肩の圧迫感により故障者リストで開幕を迎えた。4月26日に復帰を果たした[11]。復帰後は、ロイヤルズの先発ローテーションを一貫して守り、6月22日のミネソタ・ツインズ戦ではシーズン最高の8回を投げた[12]。8月にはハムストリングの緊張で故障者リストに入り、1登板しかできなかった[13]。その怪我によって約1ヶ月の離脱を余儀なくされたが、9月に戻ってからは先発で復帰して5先発で2勝を挙げた[12]。このシーズンは、7勝6敗で防御率4.34を記録して115奪三振で130回と2/3回を投げた[14]。
2021年からはかつてヨーダノ・ベンチュラが背負っていた30に背番号変更した。
ドジャース傘下時代
2021年7月29日に金銭または後日発表選手[注 1]とのトレードで、ロサンゼルス・ドジャースへ移籍した[16]。移籍後は故障者リストで過ごし、登板がないままオフの11月3日にFAとなった[17]。
2022年3月18日にドジャースと300万ドルの単年契約を結んだ[18]。2023年は700万ドルのチームオプションとなる[19]。この年は傘下のマイナーチームで実戦復帰したが、メジャーでの登板はなかった。オフにチームオプションを破棄され、FAとなった[20]。
投球スタイル
投球データ(2021年レギュラーシーズン)[21]
球種
|
割合
|
平均球速
|
最高球速
|
%
|
mph
|
km/h
|
mph
|
km/h
|
フォーシーム
|
43.4
|
93.7
|
150.8
|
97.3
|
156.6
|
スライダー
|
18.2
|
83.4
|
134.2
|
87.3
|
140.5
|
チェンジアップ
|
15.4
|
85.2
|
137.1
|
88.5
|
142.4
|
シンカー
|
12.2
|
93.6
|
150.6
|
96.4
|
155.1
|
カーブ
|
10.8
|
77.3
|
124.4
|
81.6
|
131.3
|
オーバースローから最速100.2mph(約161.3km/h)[22]・平均93.7mph(約150.8km/h)の速球(フォーシームとツーシーム)を軸に、平均77.3mph(約124.4km/h)のカーブ、平均85.2mph(約137.1km/h)のチェンジアップを使用する[23]。
2012年のフォーシームの平均球速は95.3mph(153.4km/h)だった[24]。2013年以前は与四球率が高く課題となっていたが、2014年に与四球率は3.2、2016年には2.1となり改善された。
通算対左被OPSは.556なのに対し、通算対右被OPSは.765と右打者を苦手としている。
2015年まではフォーシームとカーブの2球種を主体とした投球スタイルだったが、2016年からはあまり投げていなかったツーシーム、チェンジアップの割合を増やした。2017年にはフォーシームを以前の約半分ほどに減らしてツーシームを主体とすると、これまでほとんど投げていない約130km/h前後のスライダーを前面に押し出す投球スタイルとなった。一方で、代名詞だったカーブはほとんど投げなくなっている[25]。
詳細情報
年度別投手成績
年
度 |
球
団 |
登
板 |
先
発 |
完
投 |
完
封 |
無 四 球 |
勝
利 |
敗
戦 |
セ 丨 ブ |
ホ 丨 ル ド |
勝
率 |
打
者 |
投 球 回 |
被 安 打 |
被 本 塁 打 |
与 四 球 |
敬
遠 |
与 死 球 |
奪 三 振 |
暴
投 |
ボ 丨 ク |
失
点 |
自 責 点 |
防 御 率 |
W H I P
|
2011
|
KC
|
20 |
20 |
0 |
0 |
0 |
4 |
8 |
0 |
0 |
.333 |
474 |
105.1 |
119 |
15 |
51 |
1 |
5 |
87 |
4 |
1 |
66 |
66 |
5.64 |
1.61
|
2012
|
6 |
6 |
0 |
0 |
0 |
2 |
2 |
0 |
0 |
.500 |
121 |
27.0 |
26 |
2 |
18 |
1 |
0 |
28 |
0 |
1 |
13 |
12 |
3.90 |
1.59
|
2013
|
5 |
5 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
1.000 |
104 |
24.1 |
19 |
0 |
14 |
0 |
1 |
22 |
2 |
0 |
5 |
5 |
1.85 |
1.36
|
2014
|
31 |
25 |
0 |
0 |
0 |
9 |
12 |
0 |
1 |
.429 |
606 |
149.1 |
113 |
12 |
53 |
2 |
5 |
113 |
5 |
0 |
52 |
42 |
2.53 |
1.11
|
2015
|
30 |
24 |
0 |
0 |
0 |
7 |
8 |
1 |
2 |
.467 |
588 |
136.2 |
137 |
15 |
53 |
0 |
9 |
102 |
11 |
0 |
64 |
62 |
4.08 |
1.39
|
2016
|
42 |
26 |
1 |
0 |
1 |
12 |
3 |
0 |
2 |
.800 |
731 |
179.2 |
163 |
27 |
42 |
0 |
7 |
188 |
4 |
0 |
71 |
70 |
3.51 |
1.14
|
2017
|
24 |
24 |
0 |
0 |
0 |
9 |
10 |
0 |
0 |
.474 |
609 |
146.1 |
143 |
13 |
41 |
0 |
4 |
130 |
2 |
2 |
67 |
62 |
3.81 |
1.26
|
2018
|
28 |
28 |
0 |
0 |
0 |
8 |
12 |
0 |
0 |
.400 |
692 |
155.0 |
161 |
23 |
70 |
1 |
4 |
141 |
14 |
0 |
86 |
84 |
4.88 |
1.49
|
2019
|
23 |
23 |
0 |
0 |
0 |
7 |
6 |
0 |
0 |
.538 |
555 |
130.2 |
125 |
21 |
46 |
0 |
8 |
115 |
4 |
0 |
69 |
63 |
4.34 |
1.31
|
2020
|
12 |
11 |
0 |
0 |
0 |
4 |
4 |
0 |
1 |
.500 |
242 |
56.1 |
53 |
10 |
22 |
0 |
2 |
57 |
3 |
0 |
33 |
31 |
4.95 |
1.33
|
2021
|
13 |
12 |
0 |
0 |
0 |
4 |
3 |
0 |
0 |
.571 |
252 |
61.0 |
52 |
6 |
22 |
1 |
0 |
65 |
3 |
0 |
19 |
17 |
2.51 |
1.21
|
MLB:11年
|
234 |
204 |
1 |
0 |
1 |
68 |
68 |
1 |
6 |
.500 |
4974 |
1172.1 |
1111 |
144 |
432 |
6 |
45 |
1048 |
52 |
4 |
545 |
514 |
3.95 |
1.32
|
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
投手(P)
|
試
合 |
刺
殺 |
補
殺 |
失
策 |
併
殺 |
守 備 率
|
2011
|
KC
|
20 |
2 |
15 |
0 |
0 |
1.000
|
2012
|
6 |
0 |
2 |
0 |
0 |
1.000
|
2013
|
5 |
1 |
2 |
0 |
1 |
1.000
|
2014
|
31 |
4 |
12 |
5 |
0 |
.762
|
2015
|
30 |
2 |
18 |
3 |
2 |
.870
|
2016
|
42 |
1 |
18 |
3 |
0 |
.864
|
2017
|
24 |
5 |
12 |
0 |
1 |
1.000
|
2018
|
28 |
4 |
17 |
0 |
0 |
1.000
|
2019
|
23 |
1 |
13 |
1 |
1 |
.933
|
2020
|
12 |
0 |
5 |
0 |
1 |
1.000
|
2021
|
13 |
1 |
5 |
0 |
1 |
1.000
|
MLB
|
234 |
21 |
119 |
12 |
7 |
.921
|
記録
- MiLB
背番号
- 23(2011年 - 2012年)
- 41(2013年 - 2020年)
- 30(2021年)
代表歴
脚注
注釈
出典
- ^ Royals Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月29日閲覧
- ^ Duffy taking leave from baseball
- ^ Royals prospect Duffy returns to club
- ^ Royals pitchers Danny Duffy and Blake Wood both need Tommy John surgery
- ^ “Royals agree to terms with three players on one-year contracts for 2014” (英語). MLB.com (March 1, 2014). March 2, 2014閲覧。
- ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、127頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9。
- ^ USA Baseball Announces 2017 World Baseball Classic Roster Archived 2017年2月12日, at the Wayback Machine. USABaseball.com: The Official Site of USA Baseball (英語) (2017年2月9日) 2017年3月16日閲覧
- ^ American Beauty: USA dominates PR in final World Baseball Classic (英語) (2017年3月22日) 2017年3月23日閲覧
- ^ “Royals pitcher Danny Duffy cited for DUI in Overland Park” (英語). The Kansas City Star. (2017年8月29日). http://www.kansascity.com/sports/mlb/kansas-city-royals/article169961577.html 2017年9月1日閲覧。
- ^ “Royals Remain Optimistic Despite 100-Loss Season” (英語). ESPN. January 11, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。11 January 2020閲覧。
- ^ Nick Sloan. “Danny Duffy to Make Season Debut on Friday, Royals Announce”. KCTV5. April 27, 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。11 January 2020閲覧。
- ^ a b “Danny Duffy Game by Game Stats”. ESPN. January 28, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。28 January 2020閲覧。
- ^ “Danny Duffy Stats, Fantasy, and News”. mlb.com. January 28, 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。11 January 2020閲覧。
- ^ “Danny Duffy 2019 Pitching Game Log”. Baseball-Reference. December 29, 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。7 January 2020閲覧。
- ^ Max Rieper (2021年10月20日). “Royals acquire pitcher Zach Willeman as compensation for the Danny Duffy trade” (英語). SB Nation. 2022年2月27日閲覧。
- ^ “Dodgers Finalizing Deal To Acquire Danny Duffy” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年7月29日閲覧。
- ^ MLB公式プロフィール参照。2022年2月27日閲覧。
- ^ “Press release: Dodgers sign Danny Duffy”. www.mlb.com. 2022年3月21日閲覧。
- ^ “Dodgers To Sign Danny Duffy” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年3月21日閲覧。
- ^ “Dodgers To Decline Danny Duffy's Club Option” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “player” (英語). baseballsavant.com. 2021年11月15日閲覧。
- ^ 2012年シーズン計測
- ^ FanGraphs - PITCHf/x
- ^ Danny Duffy » Statistics » Pitching | FanGraphs Baseball
- ^ “Danny Duffy Pitch Data” (英語). The Baseball Cube. 2017年9月1日閲覧。
関連項目
外部リンク
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1960年代 | |
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1970年代 | |
---|
1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
---|
2020年代 | |
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